シルヴァと共に騎士が多く集まっている場所へやって来た。
周囲からの視線を感じながらも一際大きな建物へ入り、階段を上ってその一番奥の部屋へ通される。
「こちら、騎士の方達が作戦立案などに使われる準備室でございます」
部屋の中央にはザーウェイを中心とした地図の広げられた台座が置かれ、壁には国の地図が
「騎士隊長をお連れします、少々お待ちください」
「ああ」
窓の外を見下ろせば、広間にて木剣を打ち付け合う騎士達が
中々に
台座に視線を戻すと、作戦立案に使われているであろう様々な色をした
「奴の屋敷の場所や立地が分かれば
「失礼
シルヴァに続き、数人の騎士が部屋の中へと入ってくる。
「では、ワタクシはこれで、
シルヴァが部屋の扉を閉めた事を確認してから、騎士それぞれに目を合わせる。
「私の名はアルマ=リュウガンジ、一時的に騎士団の
「それはさっきシルヴァから聞いたが、一体どういう事だ?
状況が分からないといった様子で、ベガと呼ばれた
それに
「私の事に関してはどこまで聞いている?」
「さっき言った事ぐらいだ、
「そうか、では
改めて名前と、ここに来る事となった
「森の盗賊共が潰されたってのは聞いてたが、お前一人でとはな」
「信じられない……」
「あそこには、かなりの勢力が
「調査隊が調べたおおよその人数ですが、
戦った限りでは、三百人程度は居ただろうか。
「私の話はここまでいいか?作戦の話に
「待ってくれ」
ずっと言葉を発しないままだった
「その前に俺と戦って欲しい」
強さを求める、いい目をしている。
「おい、アベル」
「私は構わない」
未知数の相手に指示を任せるのは、不安があるだろう。
いい機会だ、ここで力への信用を勝ち取る。
「……良いのか?」
「問題ない、場所はそこで構わないな?」
「ああ」
窓から飛び降り
「わっ!」
「きゃ!」
「すまない、
すぐ
「……」
何度か振るって感触を確かめる。
騎士団に採用されているだけあって、耐久性に関してはそれなりのようだ。
これならば、全力で振るいさえしなければ、問題ないく
中央に立ち、木剣を左手に持ち
同様に窓から飛び降り、木剣を持ってきたアベルと
「決着は剣を
「魔術の使用は?」
「自由に使うといい、そこの者、開始の合図を頼みたい」
「へ?俺?」
木剣を左手から引き抜き、アベルの首の位置に切っ先の高さを合わせ正面に構える。
「……じゃあ、試合開始!」
「……ふっ!」
合図と共にアベルが見事な速度で走り出し、一気に距離を詰めてくる。
後少しで
「!」
目を大きく見開いたアベルは顔を後にそらすと、そのまま縦回転をして後に
「いい反応だ、次は
「『アイススプレッド』!」
地面を強く
剣を右手で弓矢のように引き、アベルの首に狙いを定め剣を突き出す。
「っ!」
アベルが剣を横に構え首への一撃を
「ぐあっ!」
吹き飛び地面を転がるアベルを、さらに地を蹴って追いかける。
「クソ!」
アベルは
「
アベルの頭上に巨大な魔法陣が現れ、そこから無数の氷の柱が出現した。
「バカ野郎!ここで上級魔術を使う奴があるか!」
遠くからの怒鳴り声を聞き流しながら、降り注ぐ氷雨の合間を駆け抜けていく。
最小限の動きで氷の柱を避け、目の前を
「
新たな魔法陣がアベルの目の前に現れ、巨大な氷塊が
剣を左手で逆手に持ち、大きく一歩踏み込み、
「なんだと!?」
「このっ――」
「遅い!」
防御の為に構えようとしたアベルの剣を、逆手に持った剣を下から打ち付け
「ここまでだ」
剣をアベルの首元に突き付ける。
「しょ、勝者!……ええと」
「アルマだ」
「勝者アルマ!」
「……良き試合だった」
剣を離し、武器置き場にそれを戻してから、先程
「うおぅ――!一人で盗賊団を潰したって話も
「信じて貰えたようで何よりだ」
「しかし、あれだけの戦いをして息一つ乱れてないとは」
これで他の騎士にも力を見せつける事が出来ただろう。
「では作戦の説明に移っても構わないだろうか」
「ああ、始めてくれ」
地図の前に立ち、赤い
「この中にガルマ=リゾールの城の位置がわかる者は」
「リゾール
騎士が指差した場所に赤い駒をいくつか置いていく。
「おいおい、まさか作戦ってのは」
ベガは
「ガルマ=リゾールの
「リゾール子爵が?」
「どうして……」
騎士達が
それ程の
「――待て、人質だと?」
ベガが
「ガルマ=リゾールは
「!?」
「馬鹿な、そんな事が……」
部屋の中を重い空気が支配する。
「
「なんてこった……」
ベガは頭を抱えると備えられた椅子に腰を下ろす。
「交流でもあったか?」
「戦場で何度か一緒になった事がある、その時の彼はこのような事をする人間には見えなかったんだがな……」
その表情は暗い、
背中を預けたくなるような、信頼に
「ならばここに
「いいや、そんな事で
その目に迷いはない、これならば問題はないだろう。
「ではこれより作戦会議を始めるが、まず前提として聞こう、今動かせる兵はどれほどいる?」
「それなんだがな……」
ベガは言いづらそうに顔を
「動かせる街の騎士は二百人程度しかいねえんだ」
「ふむ」
「しかもこれは、街を警備してる奴も出来るだけ動員した数でな……」
想定していたよりも圧倒的に数が少ない、であれば少し
一人で動くならば大した問題ではない、だが今後の
「それにリゾールはかなりの戦力を持ってる、正面からじゃとてもじゃないが勝てないだろうよ」
確かに正面からぶつかり合えば、多くの被害が出る事は避けられない。
「争わなければ問題は無い」
「どういう事だ?」
「合同訓練を取り付け、向こうからリゾールの土地に迎え入れさせる」
シーランの
「確かに、それなら少人数でも問題は無いか……、それで奴の下へ入り込んだとしてそっからどうするんだ?」
「訓練として騎士同士での
多少
「その後、私はリゾールの居住地に侵入し
「そんな簡単に事が進むとは思えんが……」
「その為にはある一手が
「一手?」
もしリゾールが
「リゾールの下に信頼できる騎士はいるか?出来れば人を
「……隊長格が何人かいるな、任務でも一緒になった事がある」
「ならばその者達にリゾールの事を伝えてくれ、うまくいけば戦力の
「簡単に信じて貰えるかは分からんが、了解した」
言葉だけで裏切らせる事は難しいだろう、だが
「広間に人を集めてくれ、すぐにリゾールの下へ出る」
「分かった、お前ら行くぞ」
「はっ!」
――
「では、すぐにリゾールの元へ竜を飛ばそう」
シルヴァを通して作戦を聞いたシーランは窓を開くと、金の
すると鈴と同じ輝きを放つ小さな翼竜がどこからか表れ、窓枠を足で
シーランは翼竜の首から下げられた黒い
「さあ、届けておくれ」
「ピィイッ!」
「アルマ殿、頼んだぞ……」