色々短編集(エグめ)   作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています

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支配の刻印

 俺は恵まれていた。いや、実際のところは恵まれているなんて自覚はしてなどいなかったが、周りがそう恵まれている。羨ましいというたびにそういうことなんだろうと思っていた。まぁ、俺にとっては普通だが。

 生まれつき持っていた狂器“支配の刻印(ステータス・ボルト)”。それは天命のように俺の状況と合致している能力であった。対価を支払うことで対象と契約を結ぶ。その契約は絶対に遂行しなければならない。そんな能力だ。

 この能力は俺の実家の権力と財力をもってすれば、不当な契約を結ばせ、人を使役することなど容易であり、使った金以上の金を儲けることなど容易かった。

 

「おい。飯。」

「はい。承りました。」

「ははははは。」

 

 こいつもその一人。競合他社との生存競争に負けたレストラン定員の負け犬だ。まぁ、その競合他社も俺の差し金によるものだったがな。

 圧倒的な財力と人材により負け犬の人生を操る快感は何にも変えられないものだ。こんな負け犬でも料理の腕前だけは最高峰だから、使ってやっている。

 路地裏で拾ってやった恩義のために、せっせと働く様子を見ると、あまりにも滑稽で、そんな負け犬のことが面白く感じる。

 

「お前。」

「はい。何でしょうか?」

「俺に食わせろ。」

 

 こいつもまたその一人。アイドルだか何だかで、世間を賑やかせていた。顔が気に入ったから、呼び出して契約を結んでやったのだ。

 最近はこいつで遊ぶのがマイブームであり、最高のおもちゃを手に入れたからには遊び倒してやらないといけない。何より、こいつ自身が契約したことだからな。

 くくく、しっかりと契約に基づいて楽しませて貰わなければな。

 

「それとお前もな。」

「はい。承りました。」

「くくく、くはははははは」

 

 あぁ、最高だ。壁際に立つ総勢十人以上の人間が俺の能力の影響下にあり、そして、自分の意志で契約を結んだのだ。どのような結果になるかも知っておきながら、契約を結ばざるを得ない。

 くくく、凡人というものは辛いものだな。どうしてこうも違う世界に住んでいるのか。くくく、全く分からないなぁ。

 今日はこいつら二人を相手に遊んでやるか。ふはは、今から遊ぶ時間が楽しみだ。遊べばそれだけ金も稼げるしな。飽きたらあいつらに食わしてやればいい。あいつらもそれを契約に俺に従っているしな。

 

 

 

 くくく、こんなことやっていて、警察は何をやっているかって?もちろん、そこも俺は対策済みだ。というか、対策するまでもなかったんだが、念には念をな。

 元々、権力のある家に生まれた以上、警察との癒着なんてものは最初からあって、子供の時にやったヤンチャは父様が処理していた。あの時は若かったよ。

 それが、今となっては警察と契約を結び、自由意志の元で内部情報を勝手に漏らしていくんだ。

 

「それで、バレてないよな?」

「はい。バレていません。」

「くくく、くはははは。」

 

 この中年で茶コートの男は便利なもので、優秀でありながら、何故か現場担当なんてやっていやがった。当時であった時は馬鹿だと思ったものだが、意外と有用価値が高くて、重宝している。

 まぁ、警察というだけあって、内部情報を手に入れるのは簡単だし、それに上手く利用してやれば勝手に捜査を攪乱してくれるという。お得な機能付きだ。

 それをするには自由意志を縛らず、男の性格そのままでないといけないのが、偶に傷だけれど、それを遥かに超える利益を叩きだしてくるから、文句も言えない。俺の有利になるように思考は誘導出来ているしな。

 

「そう言えばですが、最近の計画はどうですか?」

「ん?あぁ、ここの街の有力者は順次支配出来ている。」

「それはよかったですね。このまま、その道を進むように意識を強く持つといいですよ。」

 

 ははは、偶に助言も言ってくるからな。音の鳴る玩具みたいで面白い。他の人形たちはただこちらに順従に従うだけだから、言葉を交わすには面白くない。

 それに、その助言も正しい。道を切り開くのに強い意志は不可欠で、強い意志を持っていること。これこそが、俺の道を成功させるための一番重要な事項でさえある。そう、強く思う。

 

「それと、警察も優秀です。人を疑う心を強く持たなくてはなりません。契約しているとはいえ、どこから話が漏れるかは分かりませんから。」

「くくく、それをお前が言うのか。」

「あっ、そうですね。あはは、聞かなかったことにしてください。」

 

 くくく、ポンコツなんだろうか。偶にこんな風に人間らしいミス、失言をするものだから、この男との会話を止めることが出来ない。

 それに、疑う心を強く持つことが大事なのはもちろん知っている。そんなことを言うやつだから、俺はこいつのことをずっと前から信じているのだ。それ以外の人間を100%信じるなんて、出来るわけない。

 

「では、また私は仕事に戻ります。」

「ああ、今日のことはちゃんと記憶からなくしておけよ。」

「はい。記憶から消去しますね。」

 

 完璧だ。俺の計画を邪魔するものなどいない。この街を、国を、世界を俺の手の中に。その暁にはこの男も俺の組織の幹部にしてやらんこともない。

 くくく、くははははは!!

 

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