アーサー王(史実)がしたこと   作:妄想壁の崩壊

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設定? 知らん。たぶんカーニバル時空かなにかじゃ。

※エピローグⅡの後のおまけです。


おまけ
カルデアでしたこと【おまけ】


 

 

そのロザリオの持ち主が救いを求めているならば、時を超えて、世界を超えて、彼はきっと来てくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問おう、君が私のマスターか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──っしゃあ! 星五鯖来たコレ!」

 

「せ、先輩。危ないですから下がって……!」

 

……なんか思ってたんと違うみたい。

 

 

 

 

それは遡ること、数時間前。

 

人理継続保障機関、フィニス・カルデア。人類の存続のために存在するその組織の中で、今日も今日とて彼女は戦っていた。

 

そんな彼女の名は藤丸立香。ひょんなことから人類最後のマスターとして世界を救うことになった彼女は、相棒であり後輩のマシュ・キリエライトと共に数多の特異点、異聞帯を攻略してきた。

 

そんな彼女は今、最大の危機に見舞われていた──!

 

「あの、マスター。いい加減に私も休みが欲しいんだけど! 毎回毎回、なんで私を連れ回すの? ちょっと聞いてるマスター? 立香? 立香ってばぁ!」

 

美しい金髪を揺らしながら少女──アルトリア・キャスター。略してキャストリアがぷんぷんと怒りを示している。

 

「マスター、こう何度も五体を飛び散らせてると、そのうち自分の体が本当についてるのか分からなくなってくるんだが。重宝してくれるのはありがたいが、そろそろ休みをだな……」

 

ボロボロな霊基の状態を示すかのように松葉杖をついた病人姿のアーチャー、アーラシュが懇願している。

 

「レディ、我々サーヴァントは無論使い魔として召喚される以上、道具として扱われるのが道理ではある。だがしかし、同時に意思を持つ人間でもあるのだからもっと配慮をして欲しい。……おい、聞いているのか、つまり休みをくれと言ってるんだ」

 

諸葛孔明……の、依代となっているエルメロイⅡ世が険しい顔をして苦言を呈している。

 

「はっはっは。いやはや、彼らの言う通りだと私も思うよ。それに私たちと君との絆も十分に深まったわけだし、そろそろ他の子たちの相手をしてあげたらどうかな? いや、別に嫌というわけじゃないんだけど、ね?」

 

花の魔術師マーリンが笑いながら、しかし目だけは真剣にそう語っている。

 

彼らサーヴァントの総意はそう、休みが欲しい、ただその思い一つである。

 

そしてその思いに、無慈悲に藤丸立香はこう答えた。

 

「だめだよ」

 

そして振り返る。

 

「だって──」

 

“しゃくり”と、黄金の果実を齧りながら彼女は言った。

 

「だってこの特異点、あと数時間で閉じちゃうんだよ!? 私まだ素材集め切ってないのに──!」

 

少女の叫びが、青空へと広がった。

 

『ですから、毎日少しずつやりましょうと言ったじゃないですか。先輩』

 

そのとき、立香の前に映像が投影された。そこに映るのはカルデアからオペレーションを務めている彼女の後輩、マシュ・キリエライトである。

 

マシュは敬愛する先輩の無様な姿を前に、“夏休みの宿題に追われる子供ですか。はぁ……”とため息をついた。

 

「だってぇ……他にもやりたいことあって……霊衣確認したりとか……マテリアル見たりとか……みんなとマイルームでお喋りとかしたいじゃんかぁ……!」

 

“邪ンヌとゲームしてたらいつの間にかこんなに時間が経ってたんだもん……!”と謎の言い訳をする立香。邪ンヌから“あんたあの特異点明日までじゃなかったの?”と言われたのに、“あー、あとでやるやる。それより見て、私のキャラメイクめっちゃ良くない?”とか戯れていたのは彼女自身であると言うのに。

 

「あのときに動いていれば……くっ……」

 

そして橙赤色の髪を頼りなく揺らしながら、彼女はバーサーカーのアステリオスが作ってくれたリンゴジュースの入った水筒を取り出し、口に残ったリンゴを胃に押し込んだ。リンゴばっかり食べているのは、これが立香の魔術的なスタミナ(AP)を自然回復以外で補充する唯一の手段だからだ。

 

「ああ、もうあと三十分しかない……三十分で二十周……みんな、行けるよね!」

 

「「「「……」」」」

 

周回性能の高さから選ばれたサーヴァントたちが、立香の視線から気まずそうに目を逸らす。アタッカーは誰でも良いのでシフト制だが、サポーターは替えが利かないので彼らの連勤なのだ。そりゃあ不満も出よう。

 

「行けるよねぇ!?」

 

結果はそう、お察しであった。

 

とぼとぼとレイシフトを終えてマイルームへと帰投する立香。廊下を歩く途中で彼女は不満を爆発させ、そして吠えた。

 

「うぅ、私だって休みが欲しいよ。サーヴァントは皆自分たちだけ休みがないみたいに言うけどさぁ、そんなこと言ったら私ワンオペだよ!? ワンオペなんだよこんちくしょう! あああ!!! 愛しの後輩と田舎でパン屋を営む日々はどこだ──! ここか──!」

 

「せ、先輩! ああそんな! こんな廊下の真ん中で撫で回さないでください! ああ!」

 

“うりうり、良いではないかぁ!”とマシュを団子みたいに捏ねくり回す立香。通りかかったカルデア職員たちに“またやってるよ……”と呆れられながら、少しして彼女は理性を取り戻した。

 

「はぁ、ふぅ、しかし先輩。皆さんの要望ももっともだと思います。高速周回をしようとすると、必ず彼らの手を借りることになる……ここはせめてもう一つチームを作って、二交代制にし負担を分散するべきではないでしょうか」

 

「良いこと言うね、なすびちゃん。まったくその通りだとも。でも、我々はそれをしていない。一体どうして(Whydunit)? その答えは──そう!」

 

エルメロイⅡ世の口癖を借りた彼女は、“やりたくても出来ないんだよね! 出来ないんだよね! あはは!”と、壊れたラジオのように同じ言葉を繰り返した。

 

そう、良いものは何度も繰り返し使われるのが道理だ。ひとえに性能の高さが、彼らのブラック労働の原因だった。

 

「恨むならば、己の生まれの不幸を呪うが良い。君たちは良いサーヴァントだが、代わりを用意しない運営がいけないのだよ……」

 

「いきなり何を言ってるんですか、先輩」

 

「あははー、なんでもなーい」

 

白目を剥きながら立香は乾いた笑みを浮かべた。リンゴの食べ過ぎで頭がおかしくなってしまったのかもしれない。

 

「……でも、私だって鬼でも悪魔でも魔神柱でもないからさ。できることなら彼らに休みをあげたいよ」

 

「なら、どうしましょうか?」

 

「どうするか、だって? ふふ、その答えは一つ!」

 

立香とマシュはカルデア内に存在する一つの部屋の前に立った。それは英霊召喚システム・フェイトの為の一室たる召喚部屋。俗な言い方をすれば。

 

「つまり、ガチャタイムだね!」

 

ガチャ部屋であった。

 

「よっしゃあ! クラス・ガーチャー、藤丸立香様の腕が光りますよぉ!」

 

「つ、ついに先輩がガチャを引くときが来たんですね。“見て見て、天井分まで貯まったよ!”と言いながら呼符と聖晶石の山の上で飛び跳ねていた景色がずいぶん昔に感じます」

 

「だってそれ実際昔の話だし。なんかもう、ガチャじゃなくて石を貯めること自体が快感になってたからしばらく引いてなかったけど……ふっ、今回はカルデアの大黒柱として、ファミリーを休ませてやるためにいっちょ一肌脱ぐとしましょう!」

 

そう言って彼女が腕を回しながら部屋の中に入ろうとしたとき、“コツン”と、彼女のつま先に何かが当たった。

 

「ん? 何これ? 十字架……にしては変な形だね。マシュの盾みたい」

 

「確かに、私が使う円卓の盾に似ていますね。不思議な力を感じるような、感じないような。しかしなぜ床に落ちて……前に使った触媒でしょうか?」

 

「いや、基本私触媒とか使わないけど。ま、良いや。なんか縁起良さそうだし持っとこ持っとこ」

 

立香はその溌剌とした性格の通りに、些事を気にかけることなく、その聖遺物(・・・)をポケットにしまった。

 

「じゃあよろしく、マシュ」

 

「はい、先輩」

 

白衣を着た姿からぴっちりと体のラインが浮き出た黒い鎧の姿へと変わったマシュが、その手に持っていた大盾を台座に置いた。

 

システム・フェイト。それはデミサーヴァントたるマシュ・キリエライトの持つ宝具、円卓の盾を基盤とした英霊召喚システムである。

 

「召喚サークルの形成を確認。いつでも呼べます、先輩」

 

「よし、それじゃあ景気よく十一連しちゃおう! そーれ!」

 

立香は籠から一息に聖晶石の山を抱えると、それを召喚陣の中に捧げた。そして魔法陣が輝き出す。

 

人類の、世界の未来を救うため。……救うため? とにかく召喚陣は英霊の座へと接続し、立香の求める英霊へとコンタクトを取る。

 

「──どうか、みんなに休みがあげられるような万能鯖が来ますように!」

 

ちょっと、いや大分過大な要求ではあったが、しかししっかりとその願いは聞き届けられた。

 

そして。

 

「礼装、サーヴァントコイン、礼装、礼装、コイン、コイン、コイン……うぅ、なんかダメそう!」

 

「出てきたコインは対応するサーヴァントの方たちに渡しておきますね」

 

日本生まれ日本育ちな立香は祈った。日本人あるある、困ったときだけ神頼みである。八百万もいるんだから一柱くらいは微笑んでくれるだろう……というかなり適当な信仰心で、立香はひたすら当たりを求めるのである。

 

たぶん、神霊鯖がその姿を見れば眉をひそめて言うだろう。“お前世界を救ってる(ストーリー攻略の)ときと性格違いすぎない?”と。

 

「うぅ、うるさいな! こっちが素なんだからしょうがないでしょ!? ずっとシリアスしてたら心が壊れちゃうのー!」

 

「先輩、それは誰に向けて喋ってるんですか」

 

多くの出会いと別れ、正義と悪、平和と戦い、生と死を見てきた立香。歴史に残らずとも確かに世界の救世主と呼ばれるほどの偉業を成し遂げてきた彼女は、しかし一皮剥けば等身大の少女である。

 

だから彼女はこの瞬間が、英霊が召喚される瞬間が苦手だった。

 

目の前に現れるのは自分なんかよりずっと凄くて偉くて強くて器の大きい英霊たち。そんな彼らが出会って初めにするのはいつも、立香が己のマスターに相応しいかどうか品定めするような目だった。

 

彼女はその度に恐怖する。“次の瞬間、失望されてしまうのではないか”と。英雄王を呼んだときなんかはまさしくそうだった。

 

故に、誰にも聞こえないくらいのほんの小さい声で彼女はいつも弱音を吐くのだ。“どうか、こんな私を受け入れてくれる人が来てくれますように”と。

 

そして──。

 

「……えっと、電気消えちゃったね」

 

「……なにか、問題でもあったのでしょうか」

 

次の瞬間、“ガコン”と大きな音がしたかと思えば、部屋の明かりが消えた。英霊召喚中だと言うのに停電だろうか。

 

否、停電はあり得ない。カルデアは人類最後の砦。そのリソースの管理は徹底されており、たとえメイン電源が落ちようともすぐさまサブ電源に切り替わるようになっている。そうでもなければ、電力の喪失とともにサーヴァントたち全員が現界できず強制退去と成りかねないからだ。

 

故に、この現象が意味するのは。

 

──WARNING! WARNING!

 

──ERROR! ERROR!

 

──CAUTION! CAUTION!

 

すなわち、何者かの干渉があったということ。

 

「な、なになになんなの!? ビースト系の人たちを召喚したときもこんなことなかったよね!? 演出? 演出って言ってよダ・ヴィンチちゃーん!」

 

「こ、こんな現象今までありませんでした! 何かが、何かが来ます! 先輩は私の盾の後ろに……あ、盾は召喚サークルの下でしたね。と、とにかく後ろに隠れてください……!」

 

「う、うん!」

 

けたたましく鳴る警告音と、赤く輝く召喚陣。そして、立香たちの前にソレは姿を現した。

 

人類悪──『 (顕現)』。

 

「問おう、君が私のマスターか?」

 

霧が晴れ、そこにいたのは漆黒の鎧に身を纏いし騎士だった。病的なまでに白い肌、白金の髪、そして頭髪と同じ色をした瞳は鋭く尖り、首元に刻まれた鱗のような紋様からは竜の因子が感じられる。

 

彼は召喚陣から一歩踏み出すと、抜き身の剣のように冷たく鋭い雰囲気を漂わせた見た目とは裏腹に、穏やかな声で立香にそう聞いた。

 

そして彼女は。

 

「──っしゃあ! 星五鯖来たコレ!」

 

警戒する後輩の後ろで呑気にガッツポーズを決めた。

 

「せ、先輩。危ないですから下がって……!」

 

「大丈夫だよ、マシュ。ビースト系みたいだけど、見たところ悪い人じゃなさそうだし。あ、初めまして! 私、人類最後のマスターをやらしてもらっている藤丸立香と言います!」

 

藤丸立香(・・・・)……?」

 

彼女の名前を聞いて、何かを思い浮かべるように竜の騎士が顎を捻る。

 

「……あの?」

 

「いや、何でもない。僕は──」

 

「待って、当ててみせます。その見た目、その声、そしてその色……もしかしなくてもあなたはアーサー・ペンドラゴン・オルタさんではないでしょうか!」

 

“ビシッ!”と名探偵ぶって人差し指を突き出す立香。その様子に竜の騎士は小さく笑うと頷いた。

 

「厳密には違うが、一応正解と言っておこうか、マスター・立香。僕はアーサー・ペンドラゴンの別側面……と言うより、別の可能性に当たる存在だ。本来は呼ばれるはずがないんだが、いや、ほんとになんで英霊の座なんかに僕の情報が刻まれたのか分からないが、とにかく、呼ばれたからには君の力となろう。よろしく頼む、マスター」

 

「うん、よろしくね! それからこっちは私の相棒で後輩のマシュ!」

 

「あ、はい。流れで紹介されてしまいましたが、マシュ・キリエライトです。よろしくお願いします、もう一人の男性のアーサー王 」

 

“恐縮です”と、マシュはペコペコと頭を下げながらアーサー・オルタの手を握った。何故そのように申し訳なさげに頭を下げるのか、マシュ自身にも分からなかったが思わず彼女はそうしてしまう。

 

まるで彼女の身に宿る英霊が“すいません陛下、散々忠告されたのに昇天しちゃってほんとすいません……”と言うかのように。

 

「いや、そこまで頭を下げなくて良い。今の卿は同じ主に仕える同僚なのだから。……ところでいつの間に性転換したんだい? もしかして卿()マーリンにヤられたのか? ……もし君もヤられたと言うなら、ここにいるマーリンを『 』しに行こうと思うんだが」

 

「あ、あの、アーサー王。私は厳密にはあなたの知る英霊ではなくて……」

 

「……ああ、すまない。今(わか)った。なるほどデミサーヴァント……そんなものがあるのか。成立するために多大な犠牲を費やしただろうに、人間は何とも度し難いな」

 

妙に察しの良い竜の騎士はしみじみとそう呟き、マシュの頭を撫でた。“君は幸せになりなさい、マシュ”と呟きながら。マシュは不思議と父性のようなものを感じ、自然とその手を受け入れてしまう。

 

「なんでしょう……この……ランスロット卿には無かった感覚は……」

 

「そ、そんな! マシュを撫でる特権は私だけのものだったはずなのに!」

 

「ん? マスターも撫でて欲しいのかい?」

 

彼はそう言うと空いていた方の手で立香の頭を“ぽんぽん”と撫でた。

 

「──お父……さん?」

 

すると次の瞬間、わけも分からず呆然としてしまった立香の目から涙が溢れた。

 

「あれ、変、だな。ごめんなさい、変な勘違いをしちゃって……」

 

立香はもう二度と会えないだろう両親の顔を思い出すと、すぐに顔を振って涙を拭った。人類最後のマスターが弱さを見せて良い瞬間など、あまりないのだ。

 

“でもアーサー・オルタとお父さんは全然似ていないのに、ちょっと面影を感じたのはなんでかな?”と、彼女は心の隅で考える。

 

「立香?」

 

もしかしたら、その名前を呼んでくれる声が。

 

「お父さんに似てるからかな……なんてね。よし、それじゃあ早速カルデアを案内するね! アーサー・オルタ!」

 

恥ずかしがるかのように立香は笑って誤魔化すと、アーサー・オルタの手を取って召喚室を出ようとした。

 

「いや、待ってくれマスター」

 

だが、彼はそれを拒否する。

 

だってそうだろう。

 

「どうにも、まだ向こうからこちらに来る者がいるみたいだからね。案内するなら全員同時の方が効率が良いだろう?」

 

召喚はあと三回分残されているのだから。

 

「「えっ」」

 

立香とマシュの、そんな困惑するような声が重なった。

 

人類悪──顕現。

 

「……うふふ、私も来ちゃった!」

 

召喚陣から絹のような髪を靡かせて、一人の女性が飛び出してくる。

 

人類悪──喝采。

 

「……なんだ、余はもう異なる世界の記憶で満腹である。しばらく悪さはせぬから、あと人類が666回滅ぶくらいまでは午睡をさせ──ド、ドライグがいるではないかぁ!?」

 

召喚陣から竜の尾をぶんぶんと振って、一人の少女が飛び出してくる。

 

「さ、三枚抜き!? しかもビースト系祭りじゃん!」

 

「まるでカルデア自体が特異点になったような錯覚を覚えます。……先輩、もしかしなくても、コレって人類の危機ではないでしょうか」

 

「たぶん大丈夫なんじゃないかなぁ……この召喚って危ない人は呼べなくなってるみたいだし」

 

新たなサーヴァントの加入に顔を見合わせる二人。だが、まだ終わりではない。

 

「せ、先輩。まだ来ますよ!」

 

「ええ!? またビースト!?」

 

人類悪──ではないが。

 

「この私を(ビースト)扱いとは。やれやれ、私を呼び出したくせにお前の目は節穴のようですね」

 

「も、モルガン!?」

 

「……はい、そしていいえ。私はアルターエゴのヴィヴィアン、とでも名乗っておきましょうか。しっかりと覚えておきなさい、我が従僕」

 

一気に四騎ものサーヴァントが追加され、部屋がにわかに騒がしくなる。

 

その喧騒は召喚室の異常を感知したダ・ヴィンチちゃんが管制室からすっ飛んできて扉を開け、そして一度扉を閉めてまた開けて“なんかヤバそうなのがいっぱいいる──っ!?”と悲鳴を上げるまで続くのだった。

 

 

 

 

「えっと、ドラコーは──」

 

「ネロ、もしくはネロ・オルタと呼べ、獣の騎手よ。もうドラコーの名はドライグ限定故品切れである」

 

「じゃあネロ・オルタね。ネロ・オルタはアタッカータイプか。強いけど周回向きって感じでは無さそう。次にギネヴィ──」

 

「沙条愛歌と呼んでくださるかしら? それかお母さんでも良いわよ?」

 

「お母さん枠はいっぱいいるので間に合ってます。えっと、愛歌はデバフ系サポーターね。火力を出すにはありがたいけど、周回にはうーんって感じだね。じゃあ次、ヴィヴィアンは……ヴィヴィアン?」

 

「はい、何です? 別に私はそのままヴィヴィアンと呼んでもらって構いませんが」

 

「あ、うん、余計な確認取らせてごめんね。ヴィヴィアンは……おお! ほとんど孔明先生じゃん! 良かったーあの人に休みあげられそうで! そして最後にアーサー・オルタだけど」

 

立香はマテリアルに目を落とし、そして絶句した。

 

「あれ、夢でも見てるのかな? 何これ」

 

第一宝具『遥か彼方の幻想世界(アヴァロン)』──味方に対粛清防御、毎ターンHP回復、毎ターンNP回復を付与。

 

第二宝具『      (カリブルヌス)』──対神秘特攻、即死付与、全体攻撃、自身に即死付与。

 

それはまるで、アーラシュとマーリンとキャストリアを休ませるために生まれてきたような効果の羅列であった。

 

「宝具切り替え系……と。それでもって片方が耐久とNPバフ、片方が全てへの特攻持ちの全体即死ステラね。なるほどなるほど。すぅ──」

 

藤丸立香は大きく息を吸い込み、そして叫んだ。

 

「──周回組は休んで良し!!!」

 

“よっしゃ、助かったぜどっかで会ったような騎士王さん! さて、昼間っから飲んでやろうか、孔明さんよ!”とアーラシュが言う。

 

“ええい、くっつくなアーラシュ・カマンガー! 私は征服王と積みゲーを消化するので忙しい!”と孔明が言う。

 

“やった! ありがとう男で騎士王でオルタな私! じゃ、じゃあ村正を誘って海にでも行こうかな。えへへ……”とキャストリアが言う。

 

彼らは三者三様の反応を示しながら、管制室を去っていった。

 

なお、マーリンは最初から休みを敢行するつもりだったのかこの場にはいなかった。あるいはアーサー・オルタに首を切られることを警戒したか。さすがはグランドクソ野郎である。

 

「というわけで、アーサー・オルタ。私と絆、深めちゃいますか!」

 

「──え?」

 

てってれー! アーサー・オルタ、アウトー! 地獄の周回組入り、けってーい!

 

「あの、マスター! この宝具はほんとに世界を削ってしまう宝具で、そんなポンポン放つようなものじゃ──!」

 

「ノーマルのアーサーも適当に十三拘束外してるし今更でしょ。令呪を以て命ずる──!」

 

崩剣(アンチマター)──『      (どうしてこうなった)』ぁぁぁ!?」

 

 





おわり。

ヴィヴィアン「ああ、従僕。絆の深めすぎには注意してください。でないとお前が四人目になってしまいますので」

愛歌「それと彼を第三再臨にしちゃだめよ? 絶対だめよ? 今は鞘に納まってるから良いけれど……」

ドラコー「こちら側に来て完全に竜になってしまっているからな。うむ、隙を見せたら喰われるぞ貴様? 余としては人類最後のマスターの堕落を見てみたいとも思うがな。くくく……」

立香「???」

読者の皆様は蒼銀のフラグメンツを

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