ヤムチャを撃退してから二日が経った。
俺達は順調にフライパン山に向かって進んでいる。
ブルマはあれからバニー服が気に入ったのか毎日着ている。
「ねえフライパン山はまだなの?」
「もうすぐそこだよ」
「それにしてもなに?この暑さ…!おかしくない?ここ割と北の方なのに…」
「フライパン山の所為だ…」
ウーロンは暑さの原因を知っているようである。
意外に物知りな妖怪である。
「フライパン山はもともと涼景山という凌ぎやすい所だったのだが、十年程前に天から火の精が落ちて来て燃える山となり気候も変わってしまったらしいぜ……見ろ!あの山だ!!」
「ひえええ〜!!」
道の先には燃え盛る山が見えて来ていた。
あれでは近付くのにも苦労するだろう。
一度車を降りてフライパン山を確認する。
「うわ〜これじゃ暑い訳だわ…!!」
「凄えな」
「な、なあもう行くのやめようぜ!牛魔王もいるしよ!!」
「…で、その牛魔王っていうのは何者なのよ」
「お前ほんとに知らんのか!?兎に角無茶苦茶恐ろしい奴で悪魔の帝王と呼ばれているぐらいだぞ!あの山に近付く奴は皆これだ…!!」
ウーロンは首を切るような仕草をする。
ブルマは慄きながらも引くつもりは見せない。
「あの山の天辺を見てみろ。城があるだろ。あれが牛魔王の城でよ。その中にそこらじゅうから集めた金銀財宝が置いてあるもんだから色んな奴が狙ってやって来るんだが、牛魔王が見張ってるからな…」
「じゃあ六つ目のドラゴンボールはきっとあの中ね」
「じゃあ牛魔王はあの城の中にいるのか?」
「いいや、山の麓で城を守っている!牛魔王が子供とピクニックに出掛けている時に山が燃え出しちまったんだからよ!あの火は物凄くてよ!流石の牛魔王も城に帰れないのだ!」
つまりあそこにある財宝は実質的に放置されているということだ。
だからと言って盗む訳にもいかない。
牛魔王に何かしら恩を売ってドラゴンボールを貰うのが一番良いだろう。
「さ!という訳だから今の内に大人しく引き上げようぜ!」
「馬鹿言いなさいよ!ここまで来て!」
「お、お前ら死にたいのか!?幾ら悟空が強くても牛魔王とは桁が違いすぎるんだぞ!」
「そもそも戦う前提で話を進めんなよ。話し合いで解決できるかも知れねえだろ」
「牛魔王がまともに取り合えばな!」
ウーロンは酷く怯えているようである。
最初からビビり過ぎてると相手の性格を見誤る可能性が高い。
牛魔王だって話が通じる相手であるかもしれないのだから偏見は良くない。
「兎に角行ってみようぜ。意外と良い奴かもしれんぞ?」
「ち、畜生…!戦うことになったら真っ先に逃げるからな!」
「好きにしろ」
そうしてビビるウーロンを連れてフライパン山の麓に向かう。
山の麓は建物が幾つか並んでおり、人骨が大量に散らばっている。
「んもう!!ほんっとに暑いわねー!!」
「ア、アホ!デカい声出すなよ!!牛魔王に聞かれるじゃないか!!」
「うん〜成程…あのお城かあ…」
ブルマは暫く考えた末に俺に声を掛けた。
「孫君!あそこからドラゴンボール取ってこれない?」
「行けはするけど盗みはしねえぞ」
「話し合いで解決するかしら?」
「さあな。話して見ねえと分かんねえ……と、危ねえな」
俺は横から飛んで来た斧を掴み取る。
とても大きな斧である。
俺が斧を見ていると影が差した。
振り向くとそこには兜を被った巨体の男がいた。
間違いなく牛魔王である。
「ぎえええ〜!!!」
「おめえたず、こっだらとごでなにすてるだ?まさかおらの宝盗みに来たんじゃねえじゃろな。え!?どんだ!?」
「盗みに来たんじゃねえ」
俺が答えると牛魔王は視線を此方に寄越した。
そして俺の背負っている如意棒に目を付けた。
「お、おめえこの棒…如意棒じゃねえべか…?」
「そうだ。俺の爺ちゃんに貰ったんだ」
「おめえのじっちゃんて…!!孫悟飯か!?」
俺が首肯して認めると牛魔王は大層驚いた様子を見せた。
「アンタ、爺ちゃんのこと知ってんのか?」
「知っとるもなにも武天老師様の一番弟子がおめえのじっちゃんで二番弟子がおらだったんだべ!!いや〜なっつかすいなあー!」
「へぇー!武天老師様って誰だ?」
「甲羅を背負った老人でな。地上最強とも呼ばれとるんだ」
「亀仙人の爺ちゃんか!!」
「会ったことあるだか!?」
「ああ。ちょっと前に俺達が探してるドラゴンボールを貰ったんだ。実はアンタのところにもドラゴンボールを譲って欲しくて来たんだ」
「成程!じゃあおめえ武天老師様が今何処に住んでらっしゃるか知ってるだか!?」
俺がブルマの方へ顔を向けると、ブルマは海岸の沖の方だと答えた。
それに牛魔王は喜んだ。
「これで城に帰れるだ!!やっただぁー!!」
「そうか。アンタも城に帰れなくて困ってるんだったな……」
「そうだ。そういえばおめえたずはドラゴンボールとやらが欲しいだよな?」
「ああ。多分アンタの宝の中にあると思う」
「そったらおめえ武天老師様のところへ行って芭蕉扇というのを借りて来てくれねえべか?代わりにドラゴンボールとやらをやる」
「分かった。任せてくれ。すぐに行ってくる」
「あ!!ちょっくら待った」
俺が飛ぼうとした直前で牛魔王が引き留める。
牛魔王は写真を取り出すと俺に見せて来た。
「こんなに上手えこといくと思っでながったから昨日おらの一人娘のチチに武天老師様を探して来てけろって使いに出しちまっただ。途中の道にいると思うから拾って一緒に連れてってけろ」
「コイツがチチか。分かった」
「気は小せえがめんこい娘だど!そんだ!おめえなら嫁にしてやっても良いな!!」
「ほんとか!?そりゃあありがてえ!俺も丁度嫁を探していたところだ!」
俺が喜んで話を受けるとブルマが割って入った。
「ちょっと待った!私も孫君の嫁に立候補するわ!」
「なら二人とも嫁にする」
「え!?二人とも!?」
「強欲な奴だな!気に入った!益々チチを嫁に出したくなっただ」
牛魔王は俺のことを気に入ったらしい。
ブルマは俺の発言に動揺している。
「じゃあ武天老師様のところ行ってくる!」
「おお!気を付けてな!」
そうして俺はフライパン山を出発した。
◇
空を飛んで海の方へ向かうと途中の道で写真で見たチチを発見する。
俺は急降下してチチのもとへ向かった。
「おーい!お前チチだろ?」
「え!?そ、そんだけど…なにもんだ!?おめえは…きょ、今日は良く名前を呼ばれる日だなや〜…わがった!!おめえもおらのこど愛すてるだな!?」
「ん???」
俺は話の繋がりが見えず困惑する。
取り敢えず自己紹介から始めることにした。
「俺の名前は孫悟空だ。チチの父ちゃんに芭蕉扇というのを借りに行くのを手伝ってやってくれって頼まれたんだ。その時にチチを嫁に貰うって話もしたぞ」
「そうだっただか!やっぱりおめえさ、おらのこど愛すてるだな」
「ああ。嫁にするからちゃんと愛すぞ」
「きゃっ!恥ずかしいべ!」
チチは頰に両手を当てて顔を真っ赤に染めた。
初心な性格らしい。
「ほら武天老師様のところに行くから抱えてやる。しっかり掴まれ」
「分かっただ。貴方」
俺はチチを抱えて舞空術で空を飛ぶ。
チチはしっかりと俺の体にしがみ付いている。
武天老師様の住んでいるところを探す為に海へ出る。
途中でイルカと遭遇したので武天老師様の家が何処にあるか聞く。
「ああ。知ってイルカ。あっちにずーっと行ったとこの小さな島に住んでイルカ!」
「教えてくれてありがとな!」
イルカに感謝を伝えて俺は島を目指して飛んだ。
そうしていくと小さな島が見えて来た。
俺は掃除している武天老師様に声を掛けた。
「おーい!!」
「ん?何じゃ誰かと思ったらドラゴンボールをやった小僧じゃないか!!」
「こ、この人が武天老師様け?」
「そうだ。武天老師様元気だったか?」
「おお!元気だよーん!!」
そうして俺は武天老師様こと亀仙人の爺ちゃんと再会したのだった。
・オリ主
ブルマとチチの両方を嫁にすることにした。
戦いばかりではなく話し合いで解決する冷静さも持っている。
・ブルマ
オリ主の発言に動揺しつつ、チチと二人で嫁として生活することを妄想している。
・チチ
オリ主の嫁になることは満更でもない。