星のカービィ…それは銀河中で言い伝えられている恐ろしい存在。
なんでも無限の力を持つ伝説のヒーローと呼ばれている。
一国の大王、悪夢、暗黒の一族、道化師、魔術師、侵略者、銀河最強の剣士…などといった強者たちの悉くを打ち破ってきた。
そして、それがこの呆れ返るほど平和な国、プププランドに住むこののほほんとしたピンク玉である事はあまり知られていない。
彼の名はカービィ。別名、ピンクの悪魔。国中の食べ物を奪い去った暴君ことデデデ自称大王をコテンパンのボコボコにしたことがきっかけでプププランドに住むことになった。
食べることとおひるねが好きなのほほんボーイであるが、やるときはやるすごい戦士なのだ。
これは、星のカービィが光を灯す物語___。
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今日は良いお天気日和だった。友達のバンダナワドルディと一緒に朝ゴハンを食べた。
オレンジオーシャンの景色を眺めながら、おしゃべりをした。
偶然デデデ大王とメタナイトも来ていて、四人でお昼ゴハンを食べた。
欠かさずみんなでおひるねもした。
暗くなったので、夜ご飯を食べて家への帰り道を辿っていくといろんな子と出会ってたくさん挨拶をした。
みんなとバイバイをして、お家に帰った。
お月さまが見えるようにカーテンを開けて、いつものふかふかのベッドの上でしっかりとナイトキャップを被って、目を閉じた。
…
…
…
あれ?
夢から目が覚めたら、冷たい床の上で寝ていた。いつものふかふかの暖かいベッドじゃなくて驚いた。
いつのまにかこんなに移動していたのか。ぼくってこんなに寝相が悪かったっけ。
ここはどこだろう?まあ、いいか。とりあえずお腹が空いたし、ご飯を探そう。
そう思い立って寝そべった体勢から起き上がって、歩き始めた。
ピンクのまんまるボディを揺らしながらぽてぽてと歩く彼は星のカービィ。
プププランドが呆れ返るほど平和な国と言われる所以の一つである彼は無限の力を持つが、それと同時に「明日は明日の風が吹く」という座右の銘を持っているとおり自由気儘な人物だ。
カービィは気付けば知らぬ土地にいた。前の冒険のような、別世界の雰囲気をどこか感じていた。
しばらく歩いていると、何かが蠢いているのが見えた。
歪な輪郭をしており、目がまばらについている。カービィは目が覚めて初めて出会う生物を見つけて、話しかけようと近づくがそれはカービィを見た途端急激に害意を表した。
凄まじいほどの咆哮を上げ、カービィに向かって突進する。敵は大きく口を開きその鋭利な歯を見せつける。まん丸なカービィを喰らうつもりだろう。だがしかし、カービィも呼応するようにその口を大きく開き、いつもの、そして得意技___「すいこみ」を披露する。
吸引力の変わらない、ただ一つのブラックホールとも形容されるそのすいこみから逃れられる雑魚敵はいないのである。
異形の敵は本能的に、こいつはやばいと感じ取り踵を返し逃げようとする。だが、遅い。ピンクの悪魔から逃れることはできない。異形はそのピンクの体躯の中に飲み込まれた。
そして星型弾として空の彼方へと吹っ飛ばされていった。
カービィはふぅ、と息をついて再び歩き出す。
彼は今お腹を空かせているのだ。この建物には食べ物はないようだ。ぶち込んだものから料理を生成できるコックをコピー出来るような物や敵は居ないし…カービィは少し気を落とす。ひとまずこの建物から出ようとした。
すると、足音が響いた。
そちらを見ると、カービィの友達、アドレーヌと似たような容姿の、黒髪の人物がそこにいた。彼は恐らく、人間という種族の生き物だろう。カービィは彼の方まで駆け寄ってここがどこか聞くことにした。
黒髪の人物はカービィを視界に入れた途端驚いて構えた。カービィは気にすることもなく話しかけた。
「はーああーい!カービィぽよ!」
「…!?」
目の前の人物はさらに驚いて細い目を見開いた。彼の横にさっきカービィが吸い込んだ敵と同じような雰囲気を纏ったやつが出てきた。もしかして彼も敵なのだろうか、でもこっちを警戒しているだけみたいだし、悪い奴じゃないのかも…とカービィは考える。
「質問に答えてもらおうか。君は呪霊かい?」
「…?カービィ、カービィぽよぅ」
お互い頭上にクエスチョンマークを浮かべて頭を傾げる。どうやら認識がすれ違っているようだ。
うむむ。どうやらここは、アレをするしかないようだ。
「なまえ、なまえっ!」
とりあえず相手のことを知る!これは友達になるにおいて必要だ。知り合えばもう友達なのだから。友達なら警戒することもないだろう。名前は知っておかなくちゃあね。
カービィは友達作戦に出ることにした。
黒髪の人物はしばし考え込み、そして口を開いた。
「…私は夏油傑だ」
「!すぐる?ぽーよっ!」
ふむふむ、すぐるというのか。
「ここにいた呪霊は君が祓ったのかい?」
「じゅれい…?」
カービィは呪霊という名前に心当たりはないが、さっき襲ってきた奴を倒したので、恐らくそいつのことなのだろうと見当をつけてひとまず頷いた。
一方夏油は驚愕と困惑の最中にいた。目の前にいるのは人間でも呪霊でもない、一見可愛らしい姿形をしたピンク玉。正体が掴めない、摩訶不思議の存在。しかしながら内なる莫大なエネルギーの一端を感じて冷や汗をかく。今の自分ではこのピンク玉に敵わないだろうと思わせるほどの実力を、カービィはその内に秘めている。
だがカービィは夏油に対して敵意はない。むしろ友好的な態度である。
ここは敵対するのではなく味方につけた方が良いと判断した夏油は、カービィを連れて呪術高専に向かうのであった。
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「おー傑、おかえり…って、なんだよそれ?」
高専へ戻った夏油を迎えたのは同級生にして無下限呪術と六眼を持つ最強の親友、五条悟。
そしてその隣で頬杖をつく少女は希少な他者をも回復させることが可能な反転術式の使い手、家入硝子。
両名とも夏油の腕の中にいるピンク玉に釘付けである。
五条のその美しい空と宇宙を思わせるような蒼色の六眼に映し出された情報は___まさしくバグであった。
ここにいるのがおかしい、この世の理を覆すかの様な異物。
人間でも呪霊でもなく、この世界に存在しない生命体であるということ。
そして呪霊が最も苦手とする正のエネルギーで構成された存在。彼が呪力を込めずとも、ただ攻撃するだけで呪霊など祓えてしまえるだろう。
そして___五条はカービィの底知れぬ、まさしく無限のチカラを感じ取っていた。
僅か1秒未満で、五条はカービィの異質さを理解した。
家入はというと、あの夏油が可愛いを持っているというのがお笑い草の様で手で口を覆って笑いを隠している。
「ういっ!ぱーやっ!」
カービィはというと、夏油の腕の中で五条と家入に向かって元気よく手を上げて挨拶したのだ。
知らないところに来てわからんことだらけなので、ひとまず色んな人と交流をしたいカービィなのである。あとお腹が空いている。
「呪霊?にしては可愛すぎるか。呪骸?」
「カービィというらしいんだ。任務帰りだったんだけど建物から強い呪霊の気配を感じてね、近付いてみたらカービィが祓っていたんだけど」
「拾ってきたの?」
「まあね」
「なまえー?」
カービィは二人をじっと見つめる。カービィは喋るのは得意ではない。現に単語を言うだけだったり、ぽよと言ったりするだけで流暢に喋ることができない。しかしプププランドに訪れたときよりもだいぶ喋るようになった方だ。大王に食料を掻っ攫われ困っている住民に対し、無言無表情で任せろと言う様に頷くだけだった。
しかし、カービィは言葉を喋るのは得意ではないもののコミュ強で知り合えば友達精神の頭カービィなので基本誰とでも仲良くなれるが。
五条はニヤリと笑い
「俺?五条悟。最強だよ」
「さいきょー?」
「そ。最強」
「さとる、さいきょー!」
「私は家入硝子」
「しょーこ!ぽよーいっ」
なんとも微笑ましい光景である。この空間だけお花畑でピクニックをしているような暖かさに包まれる。これはもう、一種の領域なのではないかと錯覚するほどに…。
ぐうう。
地鳴りのような根深い音が響き静寂が訪れる。
「腹減ってんの?」
無論、音源はピンク玉の腹である。
立てば飯、歩いても飯、凱旋すれば飯のことを考えるくらいには食べることが好きなカービィにとってお腹が空く状態が一番気が滅入る。カービィは悲しそうに、そして困ったような顔をして
「ぽよ…」
と肯定するので、仕方なく五条たちはコンビニへ向かうのであった。
短くて申し訳ないです…。