青春を、取り戻しに   作:打率3割

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よろしくお願いします


プロローグ

 

俺の名前は伊奈レイジ。20歳の()カイザーPMCの傭兵だ。

 

たった今、あのプレジデントとかいうタコ野郎に辞表を叩きつけてやった。

 

なぜか?それはアビドスの基地がたった5人に攻められて、しかも理事は見た目ロリの女子高生を誘拐してそれが奪還されて上からもクビになったってこった。

 

それに、あのタコ野郎は何か良からぬことを画策していた。

 

こんな会社は廃れていくだけ。だから早いうちに見切りをつけておいた。あいつは「お前にどれだけの金をかけたと思っているんだ!」とか抜かしていたが銃を突きつけて黙らせてやった。

 

「……これからどうするか………」

 

幸い、俺はあのタコ野郎に良くしてもらっていたから金には困らない。だが、辞めたということは社員寮から出て行かなくちゃならない。

 

俺は元々ゲヘナにいて風紀委員会の委員長をやっていた。卒業後、タコ野郎から声をかけられていたのでカイザーPMCに入社。特別に入社1年目でもその辺の重役と変わらない給料にしてもらっていた。…まぁ、休日自体ほとんどなかったしやりたいこともなかったから金は貯まっていく一方だったが。

 

「ヒナちゃんの家にでもいくか?」

 

駄目だ。ヒナちゃんの近くには横乳がいる。あいつはどーせ「委員長があなたみたいな男性と同じ屋根の下にいたら何が起こるかわかりません!」とか言って許してくれないだろうし。

 

「…めんどくせぇ…」

 

本当にめんどくさい。家を探したりその他の色々がめんどくさかったから社員寮に入ったのに……

 

こんなにめんどくさいのは()()()がいた時以来だろうか。

 

そう考えながら歩いていると古びた店頭に並んでいる一台のバイクが目に入った。

 

1800ccと書かれたエンジンは前輪の後ろにあり、横に飛び出すように突出していた。そのエンジンからは後輪までマフラーが伸びていた。

 

そのバイクの前にある丸目一灯のヘッドライトライトがまるで俺を射抜いているようだった。

 

「…かっけぇな…」

 

俺は柄にもなくそんなことを呟いた。

 

「お、兄ちゃん。そいつに興味あるんか?」

 

そのバイクを見ながら立ち止まっていると店主と見られるティアドロップのサングラスをかけた猫の獣人に話しかけられた。

 

「…まぁ、少し」

 

「はっはっは!こいつはな、俺のfavoriteなんだ!」

 

はっはっはと笑いながらキャラが濃い店主は続けた。

 

「コイツはレアな分、値段は嵩んじまうが…見た目は最高だろう?」

 

「そうですね…」

 

「コイツを見つけた時はまるで夢を見ているかのようだったよ……」

 

 

 

店主長話中…

 

 

 

その後、店主の長話に付き合わされ結局ホテルを取った。

 

ホテルの部屋に入ると俺はベッドにダイビングして体を預けて今日のことを思い出した。

 

「…バイク、か…」

 

バイク

 

二輪の乗り物で街を歩けば見かけるごくありふれたもの。

 

だが、あのバイクは何か違った。

 

あの店にはあれ以外のバイクは沢山あったが俺にはあのバイクしか目に入らなかった。

 

普段目につかないようなものなのに、あれだけは輝いて見えた。

 

「……なんでだろうな」

 

元から好きなものなんてなかった。

 

高校時代はあの万魔殿のバカや不良どものせいでまともな時間も取れなかったし、休日もろくになかった。

 

働いて、アイツを収めて、不良どもを鎮静化させて、寝て、起きての繰り返し。

 

仕事以外のことにリソースなんて割いてたらアイツが暴走する。……一回暴走してとんでもねぇ兵器作ってたが…

 

それでもなんとか卒業して、あのゲヘナ(俺の青春を奪った場所)を後輩に押し付けて。

 

その時、罪悪感はあったと同時に、謎の解放感と喪失感を覚えた。

 

そして、あのタコ野郎の元に置かれた。

 

その後の俺は自分から意見することを忘れていた。

 

命令され、単独で相手組織を潰して、ブラックマーケットに新しく競合相手になりそうな会社が出てきたら潰しに行って。

 

表に出たら確実に後ろ指を指されるような悪い事をしてきた。

 

だが、俺はそれを頭で分かっていながら「めんどくさい」と思いながらずっとやり続けてきた。

 

「……最低だな」

 

自分で思い出して嫌悪感が出てきた。

 

だが、あんなことを続けていたある日、俺にとっての大きな出来事が訪れた。

 

そう、アビドス廃校対策委員会だ。

 

あのクソデブが胡散臭いひび割れ黒卵とピンク髪の生徒を誘拐して、それを助けにきた4人の生徒と1人の大人の女性…確か……"先生"だったっけな。

 

あの人達は物怖じすることなく果敢に攻めていき、見事生徒を奪還した。

 

俺はあの光景を忘れることはないだろう。

 

他にも、最近ブラックマーケットで話題になっていた犯罪集団のリーダーや、確かゲヘナで指名手配されていた組織、そして、ヒナちゃんもあそこにいた。

 

全てはあの子……確か、名前は小鳥遊ホシノだったけな?

 

その小鳥遊ホシノのために動いていた。

 

自分たちの場所を守るために。

 

なんと綺麗で美しい光景だったろうか。

 

あの光景を二度と忘れることはないだろう。

 

「……あ」

 

わかった

 

なぜ自分があのバイクに惹かれたのかを。

 

俺はきっとあの人達……特に、先生に憧れているのだろう。

 

自分を貫き通しているあの姿に憧れているのだろう。

 

そして、自分なりに「かっこつけ」たかったのだろう。

 

「………」

 

あのバイクに乗りたい。

 

そして、自分のやりたいことをやりたい。

 

それが、俺なりの「かっこつけ」なのだから。

 

「……明日もまだあるかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

 

「お、昨日の兄ちゃんじゃねぇか。どうした?」

 

「あのバイク、まだありますか?」

 

「ああ、まだあるぜ」

 

「あれ、買います。」

 

「お、そうか!兄ちゃんなら買うと思ってたぜ!」

 

その後、俺はバイクを小切手で買った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、気をつけろよ!」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふふ」

 

バイクを手にした俺は自然と笑みが込み上げてきた。

 

コイツと一緒にやりたいことを全部やる。

 

それがなんと甘美に聞こえるのだろうか。

 

やりたいこともなく、悪事に手を染めていた人間が足を洗ってやりたいことを全てやる。まるで物語のようだ。

 

ブロロロロロロロロ

 

コイツのエンジンがうなりをあげている。早く走りたくてしょうがないようだ。

 

さあ、失った青春を取り戻しに行こうか。

 

 

 




伊奈レイジ

20歳
身長187cm
体は筋肉質
イケメン、大人の色気がある感じ



ちなみに、バイクの見た目はBMW R18 100 Yearsだと思ってください。

バッドエンドルートを書くかどうか(曇らせ)

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