AI凄すぎてワロタ   作:AI最強時代

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ヘルメット中で軽く血を吐く立香。令呪を使い死の具現、山の翁を召喚する。


スノーフィールド4話目

エンジンの咆哮、結晶が砕ける鋭い音、そして耳を貸さぬ風の音。

それらすべてが混ざり合う狂乱の中、藤丸立香の視界が赤く染まり始めた。

 

「……ッ、ガハッ……!」

 

ヘルメットの内側、透明なバイザーに鮮血が飛び散る。

魔術回路ではない。彼女の「魂」そのものが、ORTという宇宙的質量と、同時に維持している二騎の強力な英霊の魔力供給に耐えかねて悲鳴を上げているのだ。

肺が焼けつくように熱い。心臓は、まるで誰かに握り潰されているかのように激しく脈打っている。

 

だが、彼女の右手はハンドルを離さない。左手の令呪は、彼女の命を代償にするかのように、より一層禍々しく、青白い輝きを増していく。

 

「まだ……まだ、足りない……! あいつに『終わり』を教えるには……これじゃ届かないんだ……!!」

 

立香は、血の混じった唾を飲み込み、三画目の令呪に全ての意志を込めた。

 

「――暗き影より出でよ。晩鐘の音と共に、死を告げに……!」

 

### 幽谷の淵より

 

その瞬間、スノーフィールドの全ての生命が「心臓を止められた」かのような錯覚に陥った。

モルガンの漆黒の雷も、ナポレオンの虹色の砲火も、その一瞬だけは「色」を失った。

 

バイクの背後、影が爆発的に膨れ上がる。

冷たい、あまりにも冷たい。それはORTがもたらす「無機質な死」とは違う、全ての生命が等しく辿り着く「理(ことわり)としての死」の気配。

 

立ち込める死の香気と、どこからか響く重厚な鐘の音。

現れたのは、巨大な黒い甲冑を纏い、髑髏の仮面を被った暗殺者の始祖。

 

**「山の翁(キング・ハッサン)」。**

 

彼はバイクの背後に現れるや否や、実体を持たぬかのように虚空に立ち、その燃えるような双眸で300キロ先の蜘蛛を射抜いた。

 

『――案ずるな、契約者よ。其方の命、まだ尽き果てるには早い』

 

重々しい声が立香の脳内に直接響く。

その存在が顕現しただけで、ORTの周囲に広がっていた結晶化の波が「腐食」するように崩れ落ちた。死を知らぬ怪物に、無理やり「終わりの概念」が押し付けられていく。

 

### スノーフィールド:王の戦慄

 

「……馬鹿な。冠位(グランド)だと……!?」

 

ビルの屋上で、ギルガメッシュが初めてその不遜な笑みを消した。

彼の「全知なるかな神の眼」が、信じがたい現実を映し出している。

一人の脆弱な人間が、異聞帯の女王と、虹の英雄、そして人類史における「死の執行者」までをも同時に現界させている。

 

「……あれは、もはや魔術師の召喚ではない。あれは『人理』そのものの逆流だ。あの娘一人を基点に、積み上げられた全ての歴史があの蜘蛛に牙を剥いている」

 

ギルガメッシュの手が、無意識に虚空に伸びる。「宝物庫」を開くためではない。彼自身の魂が、その「極限の疾走」に呼応して震えていた。

 

「面白い……。面白いぞ、雑種! そのボロボロの体で、神の理を食い破ってみせろ!」

 

### 決戦への加速

 

「ハッサン……お願い……!」

立香の声は、もはや掠れていた。

ヘルメットの隙間から溢れた血が、彼女のカルデア制服の襟を赤く染めていく。

視界は霞み、意識は遠のきかけている。だが、バイクの速度はさらに上がっていた。

 

現在距離、100キロ。

もはや、スノーフィールドからもはっきりと、その「異形」の戦いが見える距離。

 

先頭を駆ける藤丸立香。

左にモルガン、右にナポレオン。

そして背後に、死神そのものである「山の翁」。

 

「……全開で、ぶつける……!!」

 

結晶化しゆく荒野を、血に濡れた少女が征く。

星を喰らう蜘蛛を殺すための、「死」を携えて。




ちゃんとオルトも宇宙から来たと分かってました。
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