天才的ミスをする芸人枠、落ち物パズルが義務教育の世界に放り込まれる 作:土下座-アタック!
4月8日。とある〇tubeの配信にて、誰かが『【大会本戦】凄い人たちとガチトーナメントする』というタイトルでテトリス*1をプレイしている。配信ではぷよテト2のホーム画面が放置されて流れている。画面の中央には、実写で小さく青年が映っていた。茶髪で天然パーマのイケメンな青年であるタコヤキは、神妙な面持ちで深呼吸をしている。タコヤキはヘッドフォンを頭につけ、両腕をぐっと前に伸ばした後にマイクに顔を近づける。
「あ、あ、あ、あ、テストテスト、あ、あ、マイクテスト」
お、きた
タコヤキさんファイトー
初戦突破おめでとー(?)
配信きた
「…うん、ダイジョウブそうやね。という訳でございまして!どうも、みなさんこんにちは。タコヤキ、です。よろよろー」
タコヤキは姿勢を正し、カメラに向きなおって挨拶をする。
こんやき
タコヤキさん頑張れー
こんやきー
こんやき
「というわけでございまして、ついにはじまりました!待ちに待った激闘の最終回、の!最終回の最終回というわけでございまして、涙腺崩壊待ったなしな特別番組…えー勝率が絶望的なメンツとの戦いなわけなんですけど、今日も俺は勝ちに行くから。うん、どんなに強いやつが敵だったっとしても…えー、たとえテトリスの神*2と初戦だとしても!まぁ全力で戦って華々しく散っていこうと思います」
初戦こうさてんが当たり?
がんばれー
最終回多すぎる
え?
タコヤキはコメントの一つが目に入る。タコヤキはぷよテトのレート戦を配信ですることがあるのだが、こうさてんさんはそのレート戦でよく当たる人である。
昔タコヤキの配信中に当たったときは、ネタでサムネに置いていた絶対に実戦では使えないミノ*3の置き方を真似してくるなど、タコヤキの配信でタコヤキから主役を奪うほどすさまじい行為をしてくる人の一人である。
タコヤキは目には入れつつも、大会に向けて気を引き締める。
「これから初戦が始まるまであと…30分は時間あるので、その間にフォーミングアップを済ませておこうと思います」
負けるの前提?
初戦優勝
こんやき
もはやおまけ回で草
「"負けるの前提?"いや、全力で勝ちに行きますよそりゃ!せっかく本戦に行けたんやから全力出すに決まっとるやんけ!」
タコヤキはコメントに対応しながら、練習画面を開く。タコヤキは開始と同時にミスもなくミノを置いていく。
がんばれー
緊張焼き
S〇GA*4消費しなくて大丈夫?
練習してる
「今日は調子いいな。これならこうさてんとでもいい勝負できるかもしれん。よーし大会頑張るぞー、おー!」
上機嫌やな
逆にミスりそう
G〇GAってないけど大丈夫?
…
……
…………
数日後…
時刻は20時。タコヤキは外にいた。いつもなら〇tubeで配信をしている時間帯だが、4月の、つい先週の日曜日にやったテトリスの大会で大負けをしたことで、少し暗い気分になっていた。少しでも気分を上げようと、アニメの主人公のように意味もなく河川敷の遊歩道をぶらりぶらりと歩いていく。街灯に照らされた暗い道に、ほんの少しだけかっこよさを感じたが、ホラーゲームのような雰囲気も感じる。4月なのに少し肌寒い。
「…なんか今日は寒いなぁ、上着くらい羽織っとけばよかったわ…」
タコヤキがぶるぶると身を震わせていると、どこからか風切り音が聞こえてきた。辺りを見渡しても、そんな音が鳴るような物も場所もない。あるのは川と橋と、それから遊歩道の街灯の光や住宅街の窓からもれる光だけだ。タコヤキが不思議に思っていると、ふと、街灯の光に紛れて赤く光る点が2つあるのが見えた。
タコヤキがなんだあれ?と思い目を凝らすと、金属でできた白いそれは、タコヤキめがけて墜落するところだった。
飛行機が、遊歩道に落ちるところだったのだ。凹んだ川の中や平たい住宅街ではなく、ちょうどタコヤキのいる川と住宅街から出っ張っている遊歩道に。
「なんだあれ!?実家*5はテトリスだけにしてくれ!?うわぁぁぁぁぁ!!!!」
タコヤキは絶望的な状況から逃れようと足を動かしたが、見つけるのが遅れたせいで
…ピ……
ピ……ピピ
…ピピピピ、ピピピピ
…アラームの音が聞こえる。タコヤキが目を開くと、木造の屋根と、実家のような安心感が目に入ってきた。どうやらベッドで眠っていたようで、ここは元々タコヤキが〇tubeで顔出しするまで暮らしていた実家であった。
(夢だったんか?実家にいたから実家の夢をみてたんかな…。今何時や…?)
タコヤキがスマホを開くと、7時を過ぎたところであった。しかし、それは問題ではない。問題なのは、今電源を付けたスマホが何世代も前のスマホであるということだ。
「…。え?………………いや、そんなわけないよな…?」
そのスマホはタコヤキが学生時代に使っていたスマホだった。そんなわけないと思いつつ、タコヤキはスマホでカレンダーを開く。
カレンダーには、『2014年 4月7日 月曜日』と書いていた。
(なんか俺、タイムスリップしとるぅぅ!?)
驚きながらも、テトリスで鍛えられたタコヤキの冷静な心がふと、こんなことを考え出す。
(これ、テトリスで無双できるんじゃね?テトリスの神もプロゲーマーもそんな強くない…っていうか今よりかは強くない時代よな…勝ったんじゃねこれ?大会行こっかな)
あまりにも邪である。まだ研究されていないT-スピンや火力構築*6、未来のテンプレなどを使って無双するつもり満々である。そんなことを考えながらも、タコヤキは実家のリビングへ向かう。
リビングでは家族がテレビを見ていた。しかし、何かがおかしい。タコヤキはお父さんとお母さんとの3人暮らしであったはずなのに、リビングにはもう一人の幼い少年がいた。タコヤキより2歳ほど年下だろうか。
幼い少年がこちらに気づいて目と目があった瞬間、タコヤキに、幼い少年が自分の弟のこうさてんであるという、覚えのない記憶が流れ込んできた。
(ああ~、なんだこれ。なんでお前が俺の弟になってんの?ってかこうさてんとリアルで会うの始めてじゃん。子供の頃のこうさてんってこんな姿だったのか…)
立ち止まって唖然としているタコヤキに疑問を感じたのか、こうさてんが口を開く。
「タコヤキお兄ちゃん、どうしたの?」
「いや、何でもない。こうさてんもどうかしたん?」
「いや、お兄ちゃんはテトリス上手でしょ?だから、またテトリスやりたいなーって思って」
「いやこうさてんの方が上手いだろ。逆に教わることになるわ。逆にな?」
タコヤキはこうさてんと話しながら、朝ごはんを食べることにした。朝ごはんを食べている中、テレビからニュースキャスターの声が聞こえてくる。
『…次のニュースです。世界的大企業のS〇GAが2月6日に発売した新ソフト『パズル&パズル』が、今日から全学校の義務教育に使用されます。学校で支給されるハードウェアは、〇天堂の『スーパーパズルコンピュータ』です。』
(…え?パズルゲーって義務教育なん?ってことはぷよテトもめっちゃ売れてるような世界線ってことか…ってか、パズル&パズルとかスーパーパズルコンピューターってなんだよ。いきなり知らんゲームとか出て来たんだけど?)
タコヤキは突然の別世界感に驚きながらも、朝ごはんを食べ終わる。そのときテレビを見ていたお母さんが時計を見て、タコヤキとこうさてんに声をかける。
「二人とも、もう七時半だから急ぎなさい。テトリス週間だから学校に遅れるわよ」
(テトリス週間?え、何…いやどんな週間やねん?)
「そ、そうだった。朝のパズリーグあるんだ。急ごう。タコヤキ」
(???)
お母さんに言われて今の時間に気が付いたのか、慌てている様子でこうさてんが新出単語を使いながらタコヤキに話しかける。
(パズリーグとかテトリス週間とか…なんやそれ?ってことはパズルゲーが一般化してる世界ってことか?…最高やん)
「おう。ささっといこ」
タコヤキは意気揚々と了承し、こうさてんと学校に行くことにした。
タコヤキ心の声(代弁)「俺のガチの方の弟はどこ行った!?」