天才的ミスをする芸人枠、落ち物パズルが義務教育の世界に放り込まれる 作:土下座-アタック!
DT砲の田中にボコボコにされたタコヤキ。次回の戦いでは勝てるのだろうか!タコヤキ、負けないで!
※タコヤキの置きミスはサイコロを使って決めています。変なところで圧勝して短くなったので、続きの戦いや文を繋げました。
戦績を見たクラスメイトから、「未来のプロゲーマー(自称)」を見るような生温かい視線が突き刺さる。タコヤキは明らかに初心者を見るような目に、少し恥ずかしくなった。
(……まぁ、まぁ、一本目は様子見やから。だいたいわかったし、次の試合からは
<カンコーン
次の対戦相手が画面に表示される。そこに現れたのは先ほど「ぷよぷよ5連鎖安定」と噂されていた、西田さんだった。
<『へへっ実力がちがうよ!*1』
(……ぷよぷよか。テトリスvsぷよぷよの異種バトル。2014年のこの環境、まだテトリスの火力が修正される前やし、まぁ負ける要素はない…ほんとに修正前よな?操作が現代と一緒やったから調整完了されてる状態の可能性もあるよな。やっぱ慎重にいこ)
タコヤキは一度深呼吸をして、コントローラーを握り直す。
【READY... GO!】
西田はハードドロップで素早く鍵積みを作っていく。タコヤキはゆっくりと、しかし着実に迷走砲*2を組み立てていく。
最初は西田さんが連鎖を始める前に、タコヤキはそのままTD砲のT-Spin Tripleを撃つ。そして、ドネイト*3を組み始めた。
(ほいほいほほい、おら、ほいほほい、おらおら、食らえ!)
タコヤキは大人げなく、トリプル二回、ダブル二回、さらに組み込んでテトリスを撃つ。
西田は攻撃をする暇もなく半分ほど白いお邪魔ぷよで埋まってしまった。思わず西田がつぶやく。
「うわぁ、なにこれつっよ…」
(まぁまだ発火点*4が下の方にあっとったし、相殺できんのもしょうがないわな。よーし調子上がって来たー!)
タコヤキは乗り気になって火力を貯めていく*5。
西田が二連鎖をするも、タコヤキはそれをわざと受けて相殺せず、貯めておいた火力でT-Spinとテトリスを撃ちまくる。西田が一度ぷよを置くとどんどん埋まっていき、ぷよを消すことさえままならない。
(まぁさすがにな。さっきはひどかったけど、さすがに、さすがにやな?)
その後特に挽回できる様子もなく、西田はタコヤキに完封された。
「オッケーオッケー。さすがに勝てたか…」
タコヤキはクラスの芸人枠になることを上手く回避し、なんとか未来人の威厳を保てた。その代わり大人げなさを手に入れたかもしれないが…
<カンコーン
次の対戦相手が表示される。あずまというネームが表示されている。
<『お相手いたします*6』
<『それじゃはじめようか*7』
(へー、6ボールパズルか。テトリスで対戦したことはないんやけど、今回はどうなんだろな?)
あずまは6ボールパズルを選択し、対戦が始まる。
【READY... GO!】
(どーいう調整になんやろなー、とりま一回撃ってみるか)
タコヤキはDT砲を組んでいく。…組んでいこうとしたが、謎の暴発が3回連続で起こり、セルフハンデを付けてしまった。
(3連暴発とかマ!?S〇GAぁぁぁ!!???)
何らかの作為的な陰謀を感じるミスに、タコヤキは動揺を隠せなかった。その間にあずまはヘキサゴン*8を組み立てる。タコヤキは相殺することもできず、いきなり8列のお邪魔を送られる。
(うーん、相手側の火力高いな。まずい、なんとか挽回しないと)
タコヤキは穴を残したまま積み立て、Iミノを差し込むことで穴を直線にしながら考える。
(こっちの火力がどーなっとるかもわからんし、とりま一旦Tスピンで様子見かな)
タコヤキはホールド*9していたTミノを呼び出し、T-Spin Doubleを放つ。すると、相手の盤面に二段分のボールが降り注ぐ。
(あー、まぁまぁ火力弱いな…まさか調整されてなくて6ボールパズルの方が圧倒的有利だったりする?…あー、でも相殺はしやすいな)
相手の攻撃の演出時間が長いおかげで、ある程度の火力を組み立てることが出来たタコヤキは、相手のピラミッド*10をテトリスで相殺しようとする。が、しかし、2列分送られてしまう。
(うーん、難しいな…受けで火力作りやすいならRENで倒せるか?よし端空けREN組むぞ!)
タコヤキはT-Spinを維持しながら端空けRENを組む。すると、それを見ていたあずまが少し間を開けてからピラミッドを打ち込む。
(相殺してから…もうREN行くか)
タコヤキが10RENほどすると、ストレート*11を三回撃ったのと同じ、6段分盤面が上がった。
(RENけっこう強いけど…まだ上がりきってないな。ダメ押ししたいんやけど、地形ムズいな…)
タコヤキが難儀している間に東は青色のピラミッドを積み上げる。すると、青入りのボールが消えたことでストレートが決まり、一気に10列が送られる*12。タコヤキは二列消しをしてからT-Spin Doubleを決めるが、5列送られてしまう。
(なるほど。相殺できんとすぐ負けるけん、火力を途絶えずに送りたいんやけど、こっち側の火力届くのもけっこう時間かかるから6ボール側でも技組めるんか。キッツいなこれは…てか、あずま6ボール上手すぎん?)
「おい、タコヤキのやつ、東とやり合ってるぞ!」
「県大会出た東とやり合ってんの!?うそでしょ!?」
タコヤキはせり上がってきた盤面を、テトリスでそのまま返す。東はそれを見越してか、送られた後にヘキサゴンとストレートを同時に送ってきた*13。さらに、落ちてきたボールでピラミッドが出来上がる。タコヤキはテトリスとT-Spin Doubleを組んで、なんとか耐える。しかし、それでも9列分送られて盤面がもう2列しかない*14。
(あっぶね!あぶね!死ぬところやったわ!課金穴*15やし掘ってテトリス撃つか)
直列になっている一番右端の穴をLミノで3列消去し、相手のピラミッドに合わせてテトリスを撃つ。いや、撃とうとした。
タコヤキの放とうとしたテトリスはずれてひとつ前に落ちて*16しまい、六段の火力をタコヤキは直に受けてしまった。
(ちょ、待て待て待て!! 今のは完全に入ったやろ! Iちゃん、今は実家はいらんって!!Iちゃん*17!!? そこじゃないんよIちゃぁぁん!!!)
タコヤキは県大会に出れる6ボールの猛者にぶちのめされ、あえなく窒息*18してしまった。
タコヤキの目の前には、次のヘキサゴンを華麗に組み立てる東くんのボールと、Iミノが実家という名の墓標が突き刺さった自分の無惨な盤面。 2026年でそこそこ戦えるというプライドは、県大会レベルの6ボールパズルの前で、実家送り*19と共に文字通り粉々に砕け散った。
(あー、終わっちゃった…小学生相手に2敗とかマジか、ちょっとどころじゃないショックなんやけど…)
結果的に評価は微妙で、テトリス芸人を見せつけただけになってしまったタコヤキ。しかし、対戦相手にとっては、タコヤキに向ける目を変えざる負えない者もいた。
「……なぁ、タコヤキ。お前、実はわざと負けてるのか?」
対戦を終えた東くんが、眼鏡を拭きながら近寄ってくる。
「最後のアレ、あんなところにIミノ置くなんて普通じゃありえないけど……しかも最初にハンデ付けてたよね?ドネイトとかは所々でプロみたいな動きしてたけど……わざと変なところに置いて、ハンデつけて楽しんでたのか?」
東くんの純粋な(?)疑問が、タコヤキの心にグサグサと突き刺さっていく。見事に実家*20へ帰還してしまった芸人魂が、東くんには変な方向で評価されてしまっていたのだ。
(東、お前…いい奴やな。でもな、これが俺の通常運転なんよ…。S〇GAに嫌われてる男の末路なんや……)
「ま、まぁな! 朝やし本気出すのもまぁ、まぁアレやし? ちょっと笑いがないと、授業つまらんくなるじゃん?」
精一杯の強がりを言い放つタコヤキ。 すると、東が何か言う前に教卓の先生がパンパンと手を叩きました。
「はーい、朝のテトリーグはここまで!今から入学式が始まるんだけど、みんなは先に番号順で廊下に並んでてほしいな。……タコヤキくん、君はちょっと放課後残ってくれるかな? 君の今日の戦績について、少し詳しく話を聞きたいんだ。それでは、姿勢、礼」
「「ありがとうございました」」
(……終わった。これ、東と同じようにふざけてると思われてるタイプや)
「あー、タコヤキさん、またあとでね」
「おう、ばいばい」
東と軽くさよならをして教卓に行く。先生はタブレットを持ちながら、にこやかな笑みを浮かべている。
(絶対叱られちゃうやんこれ……)
「タコヤキくん?さっきの試合は何かな?」
「ミノが暴発しちゃいました」
「タコヤキくん、嘘はついちゃいけないんだよ?東君に、『ふざけてごめんさい』って言ったかな?」
先生はタコヤキがウソをついていると言わんばかりに、タコヤキに反省するよう促す。
「さっき二人で話して、『しょうがなかったね』って納得してくれました」
「うん、そうだね。でも、毎月テトリス週間の朝にやってるパズリーグだからと言って、ふざけちゃダメなんだよ?わかった?」
(……ふざけてない……ふざけてないんやけど、今のを「本気です」って言ったら、それはそれで悲しすぎる実力になっちゃうやんけ……!)
タコヤキは苦虫をかみつぶしたかのような感情を押しつぶし、反省した子供の声を真似てしゃべる。
「………ごめんなさい。これからは、ふざけずにとりくみます」
「うん、そうだね。じゃあ、入学式もあるから、列に並びに行こうか」
「はい、先生」
タコヤキが謝るのを聞いて、先生は満足そうな笑みを浮かべてうなずいた。タコヤキは社会生活で培った処世術で、難なくこの場をやり過ごし、クラスメイトの列に並びに行く。ここで「S〇GAの陰謀です」なんて力説しても、入学式に遅れるだけなのだ。