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20XX年。世界は核の炎に包まれた......ワケでは無いが、色々と荒廃していた。
科学の発展に着いて行けずにドロップアウトした一部の者達は、とうの昔に地図から消えた廃村を不法占拠。旧世代的第一次産業に従事しながらヒッソリと暮らし世代を重ねていた。
そして、廃村で暮らす人々は精神の安定を求め独自に宗教を生み出し信仰を始めた...
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「外界と隔絶された空間で人が集まれば宗教が生まれるのは当然の理!」
「自明の理ね」
「流石、留学生。難しい言葉を知ってるわ!」
「日本語よ」
2XXX年。何事においても合理的選択が推奨される『科学世紀』の日本国で、貴重な学生時代を筋肉とオカルトに費やした変わり者のふたりが居た。
マエリベリー・ハーン(メリー)――身長187cm 体重98kg。100mを11秒で駆け抜ける健脚が自慢。
「つまり私が言いたいのは、ふたりの筋肉があればこの村に密着した謎多き宗教の秘密を暴けるハズよ!」
「自明の理ね」
「流石、留学生。難しい言葉を知ってるわ!」
「日本語よ」
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そして10時間後――
善は急げ、と早々に荷物をまとめたふたりは、50kgの荷物を背負いロードバイクで片道200kmある村までの道のりを走破する。それも一切の休憩を挟まずに!
「くっ...10時間切りは叶わなかったわ!」
「昨日がレッグプレスの日じゃなきゃ9時間切るのだって余裕だったわ。落ち込まないで蓮子」
「私はコンディションを言い訳にしたくないの!!」
「......そうだったわね。貴女は私が知る誰よりもストイックな女性だったわね」
何はともあれ目的の村に到着したふたりは、早速探索を開始した。
「......人の気配はしないわね」
「ええ。でも建物は綺麗だわ」
雰囲気としては自然文化保護区として整備された村に近い。昼間に管理人が居るだけで生産性など誰も気にしない形だけの村。明確な違いは、田んぼでは無く麦畑が広がってるくらいだ。
「合成食じゃなくて天然のパンを主食にしているのかしら?」
「蓮子!コレ見て!」
メリーが指さす先。そこには、現代ではほとんど見かけない
「きっとコレが謎の宗教に迫る祠よ!」
「流石だわメリー!」
人の気配が無いのがどうした?関心は祠へ向く。
「石像ね」
「パッと見る限りは大日如来像そっくりね。でも、腕が6本あるわ!」
土着信仰などで時折見られる既存の宗教を融合ないし変化させた独自の神像の一種だろう。より詳しく調べようと蓮子が像に触れた時だ...!
「あっ!?」
鍛え上げられた指のピンチ力に耐えられず石像の腕が一本折れた!
「......蓮子」
「ち...違うわよメリー!風化が進んでいて壊れやすかったのよ!」
「そうじゃない...!」
動揺する蓮子に対して冷静なメリーは異変に気付いていた。
いつの間にかふたりの背後に居た杖をつく老人。まるでゲームのイベントを発生させるフラグを回収したかの様に突然出現した老人は、震えた声色で語る。
「な.......なんて事を!.............お主らその像を壊してしまったのか....!!?」
「ああ、あの、ごめんなさ――」
「謝って済む問題では無い!!その像は、
ググググ...!
地面が唸り声を上げ震える。
「メリー!?」
「不味いわ蓮子........アレ!」
メリーが指さす先。地面に亀裂が走り割れ目から1本...2本...3本...そして、遂に6本の腕と仏には程遠い禍々しい顔(推定3m)がふたりを睨み付ける!!
「黄泉大如来様.....黄泉大如来様.....」
土下座めいて頭を地面に擦り付けながら両手を合わせ必死に拝む老人。その無様な格好からは、信仰心よりも生き恥を晒してでも生きようとする生存本能を感じさせる。
だが、老人を蔑む者は居ないだろう。この様な神話的存在を前に人間など生殺与奪権を握られた蟻も同然なのだ。
「いやぁああああああああああああ!!!」
100m11秒の健脚と100kgに迫る体躯が少女を暴走機関車に変える!
「減速」という言葉を知らぬ暴走機関車は、遂に地面を離れ捨て身の飛び蹴りを黄泉大如来の顔へ喰らわせたッ!!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜"ッッッッッ!!!??」
形容し難いおぞましい悲鳴を上げた黄泉大日如来。遅れた蓮子が全体重を乗せた肘打ちを決めると間髪入れずにメリーが540キックで追撃!堪らず退けた黄泉大如来にふたりは立て直す隙を与えない!
「っ!」
「...!」
共にオカルトと筋肉に向き合い続けたふたりに言葉は要らない!左右に別れたふたりは、地面を掴む6本の腕を次々に引っぺがして支えを奪う!
「はぁああああああああ!!」
「やぁああああああああ!!」
米俵を一撃で粉砕するメリーのサッカーボールキックと経穴を的確に狙った蓮子の踵落としが同時に決まる!!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜"????????????????!!?!!?!!?!!?!!?!!?!!?!!?!!?!」
最早それは言葉以前に声なのか?アポカリプティックサウンド(終末の音)と呼ばれる鐘やラッパの様な重低音に近い音を響かせながら巨体を割れ目の中へ沈めて行く!
「やったわねメリー!」
「そうね!私達の筋肉の敵では無かったわね♪」
こうして、オカルトと筋肉を愛するふたりの活躍により世界は救われた。
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「はっ!?」
電気が走ったかの様に飛び起きたメリー。慌てて部屋の電気を付けてみれば見慣れたいつもの光景が拡がる。
瞬時に今が現実であると確かめる為に全身に触れてみれば、187cmも身長は無いし、体重98kgのマッチョでも無い。非力で健康的な普通の女子大学生の身体だ。
「.........なかなか酷い夢ね」
次回は少し遅れると思います。