諦めたPと篠澤広   作:ラ メ ル テ オ ン

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目標達成

あの後、俺は1週間ほど休む事になった。その間篠澤の事は一条に任せて久しぶりに寝たいだけ寝る怠惰な生活を送った。そして、

 

「ぜぇ…プロデューサー…記録は?」

 

「…7キロ。目標達成してるな」

 

1週間後復帰して早々篠澤の成長を実感する。一条に任せてた間にここまで成長するとは複雑な気持ちだ…

 

「…にしては浮かない顔。嬉しくない?」

 

「嬉しい…嬉しいけど…あいつに預けた途端こんなに成長されるとプロデューサーとしての力量差を感じて複雑なんだよ」

 

篠澤は俺の情けない発言に、

 

「ふふ、安心して欲しい。私の体力不足が劇的に改善されたのには他に理由がある」

 

笑いながら言葉を返す。いい加減一条と比べる癖をなんとかしないとな…俺は卑屈になっていた自分を抑え込んで、

 

「まあ篠澤がそう言うなら素直に喜んどくか!じゃあ女子寮で朝飯食おうぜ」

 

明るく篠澤を朝食へと誘導する。が、

 

「…ん」

 

篠澤は女子寮に向かおうとする俺の前に立ち塞がり腕を広げて何かを要求してくる。

 

「いや…なんだよ」

 

「目標達成したら私を台車を使わずに運ぶ約束。忘れたとは言わせない」

 

篠澤は勝ちを確信しているのかニヤニヤしながら俺の過去の発言を引っ張り出してくる。こいつ…初めて台車で運ぶ時にごねられて適当に言った言葉を覚えてやがった…だが俺も馬鹿じゃない自分の言った事は覚えている。この1週間ただ休んだわけじゃない目標達成した時の対抗策もしっかりと考えていた、

 

「覚えてるよ〜約束は約束だからな」

 

篠澤に倣うように俺もニヤニヤしながら話しかける。

 

「…今日は驚くくらいに素直。何か企んでる?」

 

「病み上がりだからだって〜じゃあ後ろ向いて足広げてくれ」

 

「…?これでいい?」

 

篠澤は俺の軽薄な態度に違和感を覚えながらも俺の指示に素直に従ってくれている。

 

「そうそう。じゃあ…よっこらせ!」

 

俺は開かれた篠澤の足の間に頭を突っ込んでそのまま立ち上がる。

 

「えっ…うわあ!」

 

篠澤は戸惑いながらバランスを取り俺の肩に乗る。そうこれが俺が篠澤を満足させるために考えたご褒美、肩車だ!

 

「よし!じゃあ行くか」

 

「…プロデューサーの意地悪」

 

「なんだよ〜要望には応えてるだろ?」

 

「こういう時はお姫様抱っこが世の常。プロデューサーは乙女心がわかってない」

 

篠澤は話が違うと遺憾の意を表明してくる。だがこれも想定内、

 

「乙女心はわかんねえけど篠澤広の事は理解してるつもりだぞ。しっかり捕まってろよ…せい!」

 

俺は篠澤を肩車したまま思いっきりジャンプをする。肩車をしたままジャンプ…重心が違うせいで着地の時少し転びそうになったがなんとか成功した。クソ危ないがこれで…

 

「おお〜すごい。今まで味わったことのない感覚…」

 

俺の読みどうり篠澤はこの危険な行為で頬を緩ませている。満足そうな篠澤に俺は肩車の利点を捲し立てる。

 

「どうだ?最高にゾクゾクするだろ?これがお姫様抱っこじゃ味わえない感覚だ。それにお姫様抱っこと違って写真を撮られてもアイドル活動にも支障がない。俺の憂いをを断ちつつ篠澤も怖くてゾクゾクできる最強なご褒美だろ?」

 

俺は自分の完璧な論理展開に胸を張る。篠澤も満足している以上並大抵の反論じゃ覆せない流れを作った、しかし篠澤は笑って、

 

「ふふ、プロデューサーは天才、でも1つだけ勘違いしてる、よ。私はプロデューサーに肩車されてもそんなに怖くない」

 

「…なんでだよ」

 

喋り始める。ここで完璧な反論をされるとお姫様抱っこをしなくちゃいけなくなるので俺は恐る恐る理由を聞く。篠澤は俺の顔を覗き込みながら、

 

「プロデューサーはいつも私が怪我をしない様に注意してくれてる。だからこれくらいじゃ怖くない」

 

信頼している事を伝えてくる。俺はそんな事を急に伝えられて思わず、

 

「…本当にめんどくさいアイドルだな」

 

顔を逸らしながら応えた。

 

「ふふ、プロデューサーほどじゃない」

 

「気負って倒れた後だから言い返せねぇ…」

 

そうやって俺達は台車よりも目立つ方法で女子寮に向かった。篠澤の身体作りもそれなりに結果が出てきた今、俺はもう一つの大きな問題に取り掛からなきゃいけないんだが…今は一旦見ないふりでこの瞬間を楽しもう

 

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