諦めたPと篠澤広   作:ラ メ ル テ オ ン

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二章 問題だらけのNIA開幕
NIA編開始


「ぜぇ…ぜぇ…新しいレッスン…とっても苦しくて好き…」

 

「それは良かった。トレーナーに無理を言った甲斐があるよ」

 

「本当にお前たちは無茶ばかりするな」

 

レッスン室で疲れ果て倒れた篠澤にスポドリを渡す。今日で新しいレッスンにして1週間。今は新しい曲の振り付けを覚えてもらっているところだ、

 

「で、どうだ?新しい振り付けは覚えれそうか?」

 

「振り付けは覚えた。慣れたらできると思う」

 

篠澤は少しつまらなそうに答える。本当にめんどくさい奴だ…

 

「じゃあ明日から始まるNIAには間に合いそうだな。」

 

「ちょっと待て」

 

休憩中のダンストレーナーが俺に詰め寄る。

 

「な、なんすか…」

 

「お前NIAを舐めてるのか?篠澤の実力じゃまだ無理だろう」

 

N.I.A正式名称は「Next Idol Audition」。次代を担うアイドルを発掘するために開かれている大会のようなもの。それ故特に実績がなくてもアイドルなら誰でも参加できる。

 

かと言ってレベルが低いのかと言われるとそんな事はない。成績上位に君臨するアイドルたちはトップアイドルに劣らない実力を持つ者ばかり。アイドルファンなら誰でも楽しめるそんな大会だ。

 

「別に俺だって優勝できるなんて思ってませんよ。目的は別にあるんで、実は…」

 

俺はダンストレーナーと篠澤にN.I.Aに出る理由を説明する。

 

正直篠澤はやっとライブができるようになっただけでN.I.Aで戦うにはありとあらゆるものが足りていない。それなのにN.I.Aに出場するのは2つ理由がある。

 

1つ目の理由は篠澤広の名前を広めるため。今の所同業者の間では篠澤の名前より俺の悪評の方が広まってるここを何とかしないとどれだけ篠澤が実力を上げようとも仕事が取れない。今年のN.I.Aを足がかりにして来年は自由に動けるくらいの下地を作る。まあ正直これはサブ目標、最悪達成できなくても支障はない。

 

こっちが本題の2つ目の理由、篠澤の実力をきちんと見極めるため。この前のRe;IRISの前座を務めたライブは凄い出来だった。定期試験であれができたなら合格は間違い無いだろう。だが現状一回しかライブをしてないのでできるかどうか判断できない。だからできるだけライブをして実力を図りたいんだが…

 

HIFが来月にある今初星学園じゃライブをするなんて無理だ。でもN.I.Aなら確定で初日とオーディションの際にライブができる。営業も含めればもっと行けるかもしれない。

 

「…つまり現状出るだけ得という事なんですよ」

 

「なるほど…ならいいが。今年は初星学園から出る生徒も例年よりは少ないんだ、去年みたいにうまく行くとは思わない方がいいぞ」

 

「分かってますって俺を信じてくだ…何だよ」

 

篠澤は話に混ざれなくて暇なのか俺の横腹を指で突いてアピールしてくる。

 

「去年は何位だったの?」

 

「聞いて驚けよ。何と2位!」

 

「おお〜すごい」

 

「だろ?俺結構優秀だったんだぜ」

 

N.I.Aは人気投票で順位が決まり最終オーディションで1位と2位が戦う。つまり最後以外基本的には票集めだ。去年は他の初星のアイドルと合同ライブや営業などで爆発的に票を集めて何とか2位を取れたが…

 

「でも…今年は正直俺は何もできないから篠澤に頑張ってもらうしかない。だから相当過酷な道のりになるぞ」

 

悪評のせいで営業できる場所がほとんどない今俺がやる事がない…だから篠澤には負担をかけてしまう…俺の言葉に篠澤は、

 

「ふふ…プロデューサーは本当にやる気を出すのが上手い」

 

やる気に満ちた顔でそう言った。…篠澤のこういう所は本当に助かる。

 

「じゃあN.I.A上位目指して頑張るぞ!」

 

「おお〜」

 

俺の舐めた目算に頭を抱えるダンストレーナーを横目に俺と篠澤は気合を入れる。まだこの時は知らなかった俺のとんでもないミスで悪評が何十倍にも膨れ上がる事を…

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