諦めたPと篠澤広   作:ラ メ ル テ オ ン

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作戦会議

 

「初星極月対抗配信?」

 

俺は篠澤に何とか許してもらった後、帰ってきた星南達に計画を説明する。俺の考えた計画は簡単だあの炎上の面子を集めてそれなりに有名なチャンネルで配信をさせ俺の悪評以上に篠澤を有名にする事。

 

「それが一発逆転になるんですの?」

 

「それがなるんだよ。あの動画がバズればバズるほどに広まるものは何だと思う?」

 

「プロデューサーの悪評」

 

「…それもあるけど、正解は動画に出ている全員の顔だ。特に泣いた撫子なんかは滅茶苦茶注目されてるんだよ、現に今NIAランキングで7位になってるし」

 

俺はスマホで撫子と他の3人の順位も確認しながら話す。四音が27位で倉本が68位篠澤が60位ほとんど無名だった倉本と篠澤もここまで上がっている。

 

「まだ始まって3日なのに…すごいわね」

 

「まあほとんどが同情票だろうけどな。ともかくNIA全体で見てもあの炎上は今1番ホットな話題ってわけ」

 

「それで炎上に関わっている奴らを集めて配信をさせると言うわけか…馬鹿らしいありきたりな炎上商法じゃないか。一発逆転になるとは思えんが」

 

雨夜は冷静に現状を分析して俺の計画にケチをつけて来る。

 

「それがありきたりじゃねえんだよな。なんと炎上してるのは俺だから巻き込まれてるアイドルは被害なしで知名度だけ上がってんだよ実際倉本も篠澤も初日と比べると順位が大分上がってる。そこでその知名度を全部集めてさらに顔を売るってわけ」

 

「あら?そう考えると全然ピンチではないような…」

 

俺のいいところだけ切り取った現状報告に倉本は楽観的な事を言う。

 

「今の所はな、でも多分時期に俺が篠澤のプロデューサーってことも俺の去年のやらかしもバレる。そうなった時に篠澤自体がある程度ファンを獲得してないと色々と終わる。だからできるだけ早く形にしないと駄目なんだよ」

 

「ふふ、そんなにピンチだったんだ」

 

「…笑い事じゃないんだって」

 

まだ最悪には陥っていないが時間の問題で最悪に転じる事は目に見えている。だからこの計画はできるだけ早急にやる必要がある…だから世の中に出るまで時間のかかるテレビじゃなくてやろうと思えば即日にできる配信じゃ無いといけない。

 

「貴方の計画は理解したわ。でもその計画には2つ問題点があるわよね」

 

そう言って星南は俺の目をしっかりと見て話し始める。

 

「まず貴方が言うそれなりに有名なチャンネルが提示されてない事。まだ見つけてないんでしょ?」

 

「…そうです」

 

「それにもし場所も企画も準備できたとしても極月学園がわざわざオファーを受けるとは思えないわ」

 

「同感だな。極月学園は初星学園をライバル視している、多少の旨みはあれど放っておいたら勝手に自滅する相手にわざわざ手を差し伸べないだろう」

 

星南と雨夜が俺の計画の穴を的確に見抜いて来る。

 

「まあ極月学園に関しては秘策があるから何とかなるんですが…その…チャンネルの方なんですけど…星南さんに見つけてもらえないかな〜と…」

 

「そこ丸投げなんだ」

 

「貴方ね…」

 

俺のあまりの無茶振りに篠澤でさえ驚いている。星南の協力が必要なのは配信する場所を確保する為だ。もう俺は悪名のせいで営業なんてほとんどかけれない状態。ここだけは星南になんとかしてもらわないと話にならない。

 

「無茶振りなのはわかってます!でもどう頑張っても炎上のせいで俺じゃ探せないんです!星南さん!お願いします!」

 

「ちょ、ちょっと!それやめなさい!」

 

今日もうすでに2回もやって抵抗感が薄れている俺は星南に土下座をしながらお願いする。ここにいる奴は俺以外基本的に育ちがいいから関わりがある奴のこんな情けない姿は見慣れていないだろう。もう手段を選んでる場合じゃないんだ…頼む…哀れんでくれ…

 

しかしそんな俺の情けない格好を意に介さない奴が1人だけいた、

 

「…なるほどな。貴様が担当アイドルを泣かせてまで同情させようとして来た理由がわかった…この無理難題を押し付けるためか」

 

そう雨夜だ。この中でこいつだけは親交を深められてない。だから同情なんてされる訳が無いんだ…

 

「…無理難題って程じゃないですよ?ほら倉本グループのコネを使えば…」

 

「1時間前の話を忘れたのか?倉本グループに貴様がどう思われているかを」

 

「いや…ほら…僕倉本さん馬鹿にされて怒ってるんですしそこを説明すれば…」

 

「誰が説明するんだ?」

 

「…星南さんです」

 

「やはりな…星南断るぞ」

 

「え?ちょっと燕…」

 

雨夜は強引に話を終わらせて俺を生徒会室から出そうとして来る。クソ…やっぱりこうなる…

 

「ちょっと待って!マジで断られたら終わりなんだって!」

 

「知ったことか!そんな状況にした自分を恨め。ただでさえ星南は生徒会に倉本のプロデュースそれにHIFに向けてやる事が多い時期なんだ、貴様に構っている余裕などない!」

 

雨夜はぐうの音も出ない反論を返して来る。クソ…俺で駄目なら、

 

「し、篠澤が可哀想だろ!離れ離れになると泣いちゃうくらい大好きな俺が落ちぶれちゃうんだぞ!俺が完全に身動き取れなくなったら篠澤のアイドル活動までおわるんだぞ!」

 

「安心しろ。そうなった時は生徒会で面倒を見てやる。貴様はお役御免だがな」

 

全然効果ねぇ…まあ正直こうなる気はしていた。同情作戦は勢いが大事だ、感情は時間が経てば落ち着くもの、その瞬間どれだけ同情して協力しようと思っても1時間も経てば感情の波は落ち着き論理的な思考を取り戻す。そう篠澤が泣いて慰める時間が発生した時点で同情作戦は破綻している…

 

「燕がプロデューサー…ちょっと楽しそう」

 

「ちょ…悲しそうにしてくれよ…」

 

さっきの仕返しか篠澤は嬉しそうに笑っている。断られても出て行く気がない俺に雨夜は強引に外に押し出そうとして来る。

 

「話は終わりだな?じゃあ出ていけ!」

 

「この…冷血女!いいんだな?俺をこの状況で見捨ててもいいんだな?何するかわかんないぞ?」

 

「やれるものならやってみろ。まあ、今の貴様にできることなんてたかが知れてるがな」

 

雨夜は勝ち誇ったように笑って来る。ぐぬぬ…クソ…時間ないのに!俺は、

 

「くっ…絶対承諾するまで頼み込むからな!場所選ばず土下座してやるからな!変な噂が出るまでやるからな!絶対諦めないからな!」

 

絶対諦めない事を表明してできるだけ抵抗しながら雨夜に押し出される。こいつ…力強すぎだろ…

 

「ええい!情けない事言ってないでさっさと他の手段を考えてこい!」

 

そんな俺が哀れに写ったのか同情作戦の効果が出ていたのか、星南は大きくため息ついた後

 

「もう…しょうがないわね。見つけて来てあげるからありがたく思いなさい」

 

この計画に乗ってくれた。

 

「なっ!?星南!?」

 

「えっ?まじ?やっぱ無しとか無しだからな!」

 

「ええ、プリマステラに二言はないわ」

 

そう言って胸を張る星南はプリマスステラに相応しいオーラを纏っている。

 

「星南!こいつを甘やかすな!自分でやらかした事くらい自分で責任を取らせろ!公共の場でアイドルに罵詈雑言を浴びせるなんてプロデューサーとして…いや人間として失格だ」

 

「ええ、そうね。でも私があの場にいたとしても言い返してたと思うの。だからこの事であまり彼を責められないのよ。それに千奈の為に言い返してくれたことは本当でしょうしそんな人を見捨てるわけにもいかないわ」

 

「まあ…それはそうだろうが…」

 

「それに…彼放っておいたら何しでかすかわからないじゃない。頼みを聞いておいて行動を把握していた方がこれ以上事が拗れなくなると思うの」

 

「確かに…こいつをこのまま野に放つのは不安があるが…」

 

俺に否定的だった雨夜は星南に言いくるめられてしまった。あんなに怖かった雨夜が星南にはたじたじだ。すげえ…これがこの学園で一番のアイドル…カッケェ…

 

「ふふ、日頃の行いって大事、だね」

 

「まあ、俺はこの状況を見越して問題児やってるからな」

 

余裕が出て来た俺は篠澤の皮肉に冗談で返す。

 

「やかましい!しかし星南、ただでさえBegraziaの仕事と倉本のプロデュースで忙しいのにこれ以上仕事を増やしたら…」

 

「そうね。だから条件をつけるわ。白草四音と藍井撫子、2人の出演を確約した契約書を持って来なさい。それをこの目で見るまでは私は動かないわ」

 

「わかった。なら今から動いた方がいいな」

 

俺はそう言って立ち上がる。契約書を持ってこいか…なかなかハードな条件だな。この状況でそんな事ができる奴なんてプロデューサー科の中にはいないだろう。

 

もちろんBegraziaといい勝負をしているRe;IRISのプロデューサー、一条でも…だが俺ならできる。プロデューサー科の中で唯一961プロと因縁のある俺だからこそできる。はは、撫子と四音の2人はどんな顔するんだろうな…今から楽しみだ。

 

そんな状況に頬を緩ませていると、

 

「それで聞きたいのだけれど、極月学園に対する貴方の秘策って一体何をするの?」

 

星南が俺の秘策を聞いて来る。

 

「簡単だよ。協力しない方が利益があるって言うなら協力しないと駄目な状況に追い込んでやればいい」

 

俺はそんな星南に少しもったいぶって答えを出し渋る。

 

「…つまり何をするんですの?」

 

「まあ、ようするに…黒井社長を脅す」

 

「え?」

「は?」

「へ?」

 

「「「ええええええええええ!?」」」

 

俺の発言に笑える驚き方をしている生徒会のメンバーを放っておいて俺は篠澤に話しかける。

 

「篠澤、俺学園長に頼み事があるから悪いけど飯食っててくれ」

 

「ふふ、わかった。期待しててもいい?」

 

篠澤は破茶滅茶な計画を楽しんでいるのか目を輝かせながら聞いてくる。俺は、

 

「ああ、こっからはドキドキハラハラの綱渡りだからな今まで以上にゾクゾクできるから楽しみにしてろよ」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

 

期待に応えるように宣言して星南の静止を無視して学園長室に走り出す。必要なものは大体揃った逆転劇の始まりだ!

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