「プロデューサー……会いに来てくれたんですか?」
安心して泣きそうになってる美波里の口から出てくる言葉に思わず黒井社長の方を見る。
え?話せる状態にするって言ってませんでした?全然俺の言葉聞いてねえし滅茶苦茶泣きそうになってるんですけど……そんな現状に黒井社長は目を逸らしてこっちを見やがらない……まあ…結果出てから走って楽屋に来たもんな……はあ…わかりましたよ。話せる状態に俺がすれば良いんですね。
「約束……忘れてないか?」
「えっ…?」
「勝負に勝った方が何でも言う事聞くんだろ?篠澤はお前に命令したい事ないらしいから代わりに俺が命令しに来たんだよ」
「ああ……そうなんですね……」
期待を裏切る様な俺の言葉に美波里は俯いて涙を流し始めている。泣くのやめてくれ……考えてきた計画だとここから更に追い込む手筈なんですけど……滅茶苦茶やりにくいって…
そんな少し困っている俺に気づいたのか美波里は服の袖で涙を拭うと、
「……約束は約束ですからね。私にできる事なら何でもします」
覚悟を決めた様な表情で俺の前に立った。
さて……星南の交渉の時にも使ったが人に希望を感じさせる為には少し下準備がいる。あの時は篠澤が泣いちゃって全然成功しなかったが……なりふり構わず仕掛けた勝負で負けた絶望の中覚悟を決めた美波里なら大丈夫だ。
「じゃあ何を頼もうかな〜何でもしてくれるんだよな?貯金を全部寄越せでも土下座しろでも……お前が篠澤に要求した事でも良いんだよな?」
「……はい。何でもやります」
「………。」
未来を想像してか抑えたはずの涙が出てきそうになってる美波里を見て美波里の後ろにいる黒井社長の圧が強くなる。マジでやりにくい……恐怖で言葉に詰まったらどうするんだよ……
「おっけ!覚悟は決めたな?じゃあ俺のお願いの発表だ!」
俺は道化を演じた後ひと呼吸おいて、
「………美波里、何が何でもトップアイドルになれ」
お願いを伝える。
「……え?」
俺は呆気に取られている美波里に畳み掛ける
「今日のライブ本当に凄かったよ。あんなに弱ってたのにあそこまで空気を支配するなんて…きっとプリマステラだってできない。だからお前ならなれる!1年頑張っただけでここまでの実力を身につけてるんだぞ?この調子で頑張れば絶対なれるって!」
「ま、待ってください……私の事嫌いになったんじゃ……」
「ああ……それ忘れてくれないかな……あの時は俺も感情的だったしさ…思ってない事も口から出てくるだろ?」
「……何で?私嫌われてもおかしくない事いっぱいしましたよね?それなのに……何で私を応援して……トップアイドルになれると信じてくれるんですか?」
「んなもん決まってる。俺が如月美波里って言うアイドルの1番のファンだからだよ」
「……え?」
「……何驚いてんだよ。最初会った時に言っただろ?『お前のダンスに魅せられた』ってあの時から俺はずっとお前のファンだぞ?プロデューサーじゃなくなってもそこだけは変わってねえよ」
俺が学園長の話に乗らなかったのも謂れのない汚名をひたすら我慢したのも俺が如月美波里と言うアイドルの1番のファンだからだ。アイドルファンが1番優先するべきものそれはアイドルの未来。俺は推しの熱愛報道が出て傷ついても給料日には推しのグッズを買ってしまう側から見れば馬鹿な奴らと大して変わらない。
どれだけ苦しめられてもどれだけ怒りに塗れようとも美波里があの時くれた感動は偽りじゃない。どれだけ俺が苦しくても美波里が笑って夢を追いかけられるならそれで良い。
「だからステージで笑ってくれ!今日みたいにつまんなそうにステージに立たないでくれ!俺はずっとお前が楽しそうに笑って踊ってるところが見たいんだよ!」
俺はやるべきことも忘れて自分の言いたいことをぶち撒ける。感情任せに言葉を繋ぐ俺に黒井社長も面を食らっている。
「そんなに……そんなに想ってくれてるのに……私……むぐ!?」
「美波里〜そうじゃねえだろ?」
俺はまた謝ろうとした美波里の頬を引っ張って黙らせる。
「1番のファンが今までの事を水に流して応援するって言ってんだぞ?返す言葉はそれじゃねえだろ?」
「ふふ……そうですね」
美波里は思いっきり自分の頬を自分で叩いた後、
「応援ありがとうございます!次のライブ楽しみにしててください!」
最高の笑顔で最高のファンサをしてくれた。その笑顔見て俺は波乱まみれのQUINTETがようやく終わってくれた事を実感した。
色々ありましたが(改めてその節はすみませんでした)これにて4章終了です。これからも投稿頻度はだいぶ落ちると思いますがゆっくりと進めていきます。ただ今匿名投稿で出してるオリジナル作品をメインにしていくのと最初から考えてた見せ場はある程度出し尽くしたのでこの作品は一旦完結と思ってもらっても大丈夫です。現段階で4章を超える展開を考えれてないので面白さのピークは迎えたと思います。それとこっからは原作ガン無視の展開でやりたい放題やっていくのでそう言うのが嫌な人もここで終わらせてください。まあ篠澤に虫喰わせたりしてるんで今更すぎると思いますが笑
では改めて今までお付き合いいただきありがとうございました。この作品処女作だったのでこれから出す作品にも期待していただけると幸いです!
PS、書いてるオリジナル作品気になる人はカクヨムにも出してるのでユーザーページに貼ってるXの方から見てもらえると助かります