諦めたPと篠澤広   作:ラ メ ル テ オ ン

56 / 56
56話 一件落着

 

「プロデューサー……会いに来てくれたんですか?」

 

安心して泣きそうになってる美波里の口から出てくる言葉に思わず黒井社長の方を見る。

 

え?話せる状態にするって言ってませんでした?全然俺の言葉聞いてねえし滅茶苦茶泣きそうになってるんですけど……そんな現状に黒井社長は目を逸らしてこっちを見やがらない……まあ…結果出てから走って楽屋に来たもんな……はあ…わかりましたよ。話せる状態に俺がすれば良いんですね。

 

「約束……忘れてないか?」

 

「えっ…?」

 

「勝負に勝った方が何でも言う事聞くんだろ?篠澤はお前に命令したい事ないらしいから代わりに俺が命令しに来たんだよ」

 

「ああ……そうなんですね……」

 

期待を裏切る様な俺の言葉に美波里は俯いて涙を流し始めている。泣くのやめてくれ……考えてきた計画だとここから更に追い込む手筈なんですけど……滅茶苦茶やりにくいって…

 

そんな少し困っている俺に気づいたのか美波里は服の袖で涙を拭うと、

 

「……約束は約束ですからね。私にできる事なら何でもします」

 

覚悟を決めた様な表情で俺の前に立った。

 

さて……星南の交渉の時にも使ったが人に希望を感じさせる為には少し下準備がいる。あの時は篠澤が泣いちゃって全然成功しなかったが……なりふり構わず仕掛けた勝負で負けた絶望の中覚悟を決めた美波里なら大丈夫だ。

 

「じゃあ何を頼もうかな〜何でもしてくれるんだよな?貯金を全部寄越せでも土下座しろでも……お前が篠澤に要求した事でも良いんだよな?」

 

「……はい。何でもやります」

 

「………。」

 

未来を想像してか抑えたはずの涙が出てきそうになってる美波里を見て美波里の後ろにいる黒井社長の圧が強くなる。マジでやりにくい……恐怖で言葉に詰まったらどうするんだよ……

 

「おっけ!覚悟は決めたな?じゃあ俺のお願いの発表だ!」

 

俺は道化を演じた後ひと呼吸おいて、

 

「………美波里、何が何でもトップアイドルになれ」

 

お願いを伝える。

 

「……え?」

 

俺は呆気に取られている美波里に畳み掛ける

 

「今日のライブ本当に凄かったよ。あんなに弱ってたのにあそこまで空気を支配するなんて…きっとプリマステラだってできない。だからお前ならなれる!1年頑張っただけでここまでの実力を身につけてるんだぞ?この調子で頑張れば絶対なれるって!」

 

「ま、待ってください……私の事嫌いになったんじゃ……」

 

「ああ……それ忘れてくれないかな……あの時は俺も感情的だったしさ…思ってない事も口から出てくるだろ?」

 

「……何で?私嫌われてもおかしくない事いっぱいしましたよね?それなのに……何で私を応援して……トップアイドルになれると信じてくれるんですか?」

 

「んなもん決まってる。俺が如月美波里って言うアイドルの1番のファンだからだよ」

 

「……え?」

 

「……何驚いてんだよ。最初会った時に言っただろ?『お前のダンスに魅せられた』ってあの時から俺はずっとお前のファンだぞ?プロデューサーじゃなくなってもそこだけは変わってねえよ」

 

俺が学園長の話に乗らなかったのも謂れのない汚名をひたすら我慢したのも俺が如月美波里と言うアイドルの1番のファンだからだ。アイドルファンが1番優先するべきものそれはアイドルの未来。俺は推しの熱愛報道が出て傷ついても給料日には推しのグッズを買ってしまう側から見れば馬鹿な奴らと大して変わらない。

 

どれだけ苦しめられてもどれだけ怒りに塗れようとも美波里があの時くれた感動は偽りじゃない。どれだけ俺が苦しくても美波里が笑って夢を追いかけられるならそれで良い。

 

「だからステージで笑ってくれ!今日みたいにつまんなそうにステージに立たないでくれ!俺はずっとお前が楽しそうに笑って踊ってるところが見たいんだよ!」

 

俺はやるべきことも忘れて自分の言いたいことをぶち撒ける。感情任せに言葉を繋ぐ俺に黒井社長も面を食らっている。

 

「そんなに……そんなに想ってくれてるのに……私……むぐ!?」

 

「美波里〜そうじゃねえだろ?」

 

俺はまた謝ろうとした美波里の頬を引っ張って黙らせる。

 

「1番のファンが今までの事を水に流して応援するって言ってんだぞ?返す言葉はそれじゃねえだろ?」

 

「ふふ……そうですね」

 

美波里は思いっきり自分の頬を自分で叩いた後、

 

「応援ありがとうございます!次のライブ楽しみにしててください!」

 

最高の笑顔で最高のファンサをしてくれた。その笑顔見て俺は波乱まみれのQUINTETがようやく終わってくれた事を実感した。


















色々ありましたが(改めてその節はすみませんでした)これにて4章終了です。これからも投稿頻度はだいぶ落ちると思いますがゆっくりと進めていきます。ただ今匿名投稿で出してるオリジナル作品をメインにしていくのと最初から考えてた見せ場はある程度出し尽くしたのでこの作品は一旦完結と思ってもらっても大丈夫です。現段階で4章を超える展開を考えれてないので面白さのピークは迎えたと思います。それとこっからは原作ガン無視の展開でやりたい放題やっていくのでそう言うのが嫌な人もここで終わらせてください。まあ篠澤に虫喰わせたりしてるんで今更すぎると思いますが笑

では改めて今までお付き合いいただきありがとうございました。この作品処女作だったのでこれから出す作品にも期待していただけると幸いです!


PS、書いてるオリジナル作品気になる人はカクヨムにも出してるのでユーザーページに貼ってるXの方から見てもらえると助かります
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

花海咲季からは逃げられない(作者:幻の大地)(原作:アイドルマスター)

学園卒業から3年。咲季の前から姿を消したプロデューサーが、咲季と再会するところから始まる話です。▼事務所の都合で綺麗で洗練されたアイドルとして振る舞うことを強要されている咲季と、熱意を失いながらも働いているプロデューサーが、偶然再会し、再び運命が交錯していきます。▼不穏な始まりかもしれませんが、ハッピーエンドの予定です。▼更新はちょっとまばらかも。▼※注意書…


総合評価:730/評価:8.75/連載:6話/更新日時:2026年06月04日(木) 22:45 小説情報

TS転生者が初星学園でアイドルになる話(作者:ピンノ)(原作:学園アイドルマスター)

初星学園に通う、やや卑屈で少しだけ捻くれたTS転生者がプロデューサーにプロデュースされてアイドルになる話です。▼アイドル視点ですが、原作の親愛度コミュをベースに話が進んでいきます。▼※原作でぼかされている部分などで、設定の捏造などがあります。もしかしたら、私がただ知らないだけの部分も、ぼかされているんだと解釈して捏造設定をねじ込んでしまっている可能性がありま…


総合評価:2393/評価:8.8/完結:42話/更新日時:2026年06月18日(木) 18:00 小説情報

『SyngUp!』のプロデューサーは足を引っ張ると殺される(作者:プロデューサー科のもの)(原作:学園アイドルマスター)

『学園アイドルマスター』の世界に転移した、元社畜のプロデューサー科1年生が、『SyngUp!』に脳を焼かれてプロデューサーになる話。▼なお、足を引っ張ったら殺される。▼基本土日の20時更新▼※調べ不足なところもあるかもしれませんが、オリジナル設定としてゴリ押す場合があります。▼※『学園アイドルマスター』の最新話までのネタバレがある場合があります。ご注意くださ…


総合評価:11790/評価:9.04/連載:104話/更新日時:2026年06月28日(日) 20:00 小説情報

余命一年なのでグレたアイドルの終活プロデュースして死にます(作者:鯖ジャム)(原作:アイドルマスター)

ついこの間余命一年を宣告されたプロデューサーくんが、アイドル引退したいらしい賀陽燐羽さんの終活を全力でプロデュースしてから死ぬ話です。▼※賀陽燐羽さんの育成ストーリー的なやつです▼※学園アイドルマスターのストーリーの一部ネタバレを含みます▼※よくわかんないことが多いので作者の妄想で補完してたりします


総合評価:9502/評価:9.11/連載:25話/更新日時:2026年07月01日(水) 17:00 小説情報

各務に想う 〜いったいいつになったらみんな財務会計ってもんを覚えてくれるんだ〜(作者:ふぃーあ)(原作:ブルーアーカイブ)

第2部、完結。メインストーリー最終編まで終了!▼第2.5部「五塵来降」編、現在更新中。▼ミレニアムサイエンススクールにだって、パソコンを扱うことを旨にする部活動……俗に言う情報処理部はあるものだ。▼その部長の座に今座っている者の名は、天峰チハヤ。▼これは、ミレニアムどころかキヴォトスを見渡しても珍しい男子生徒の彼が送る青春の物語……?▼「だから、僕は会計士で…


総合評価:3629/評価:8.7/連載:64話/更新日時:2026年06月10日(水) 21:38 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>