諦めたPと篠澤広   作:ラ メ ル テ オ ン

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この話どう考えても美波里過去話の前に入れるべきだと思ったので次更新する時にでも入れ替えます。













55話 プロデューサーと夢のアイドル

 

黒井社長と別れた後、舞台袖に行くとライブ後インタビューを終えた後空気を読んで待っててくれたであろう篠澤が居た。会場を包んでいた絶望を笑顔で歌って踊り晴らしてしまった俺が描いた夢の様なアイドルは、

 

「プロデューサー私のライブどうだった?」

 

称賛の言葉を求めているのか身を乗り出してライブの感想を聞いてくる。俺はそんなアイドルに、

 

「……最高だった。この後どこが良かったか1時間くらいかけて語ってやりたいくらいに感動した」

 

掛け値なしの賞賛を贈ってやる。

 

「ふふん…これがプロデューサーが私を放ったらかしてた間に見つけた私の新しい魅力。今日は1人で頑張った私が満足するまで褒めてもらう、よ」

 

そのアイドル…篠澤は自信満々に胸を張って俺のやる事が増える言葉を吐いてくる。正直昨日寝れてないからやる事やって帰って寝たいんですけど……しかしあそこまでのライブをしてくれたアイドルへの褒美が褒めるだけなら可愛いもんだな……俺はそんな事を思いため息をついた後、

 

「はあ……しょうがねえな…今日は寮の門限まで付き合うよ」

 

限界まで付き合ってやる事を確約する。

 

「ふふ、当然の報酬。なら早く……」

 

「でもその前に」

 

「ふぇ!?」

 

俺は珍しく素直に要望が通った事で油断した篠澤の頬を掴んで目一杯引っ張って、

 

「アイドルの自覚がないこのお口にお仕置きだ。本当にこのお口はいらない事ばかりするよな〜アイドルが気軽にキスして良いと思ってんのか〜?他の人に見られてなかったから良かったけど見られてたら今日のライブが最後のライブになってるんですけど〜?」

 

アイドルとしてライン越えしまくっている行為に対する説教を開始した。

 

「ふへへ……ごめん、ね。でもあの時のプロデューサー、頭の中美波里の事でいっぱいになっててどう見ても正気じゃなかったから……ああでもしないと私のライブ見てくれないと思って……」

 

篠澤は戯れあってると思ってるのか嬉しそうにあの行為に及んだ理由を説明する。いや……まあ確かにアレが衝撃的すぎて一瞬何もかも忘れてたけどさ……他にも方法があるんじゃ……そこまで考えた時俺の頭に一つの疑問が生まれる。

 

「……ん?ちょっと待てその言い方だと俺を正気に戻す為にキスしたって受け取れるんだけど……俺の事が好きでキスしたわけじゃないの?」

 

普通なら好意を持ってないやつのほっぺにキスなんてしない……だが篠澤が普通じゃないのはこの数ヶ月で嫌ってほどわからされている。それにこいつ海外の大学通ってたからそっちで案外ポピュラーな挨拶の可能性も否めない……なんか海外の映画とかでは付き合ってもないのに頬にキスとかよくしてるし……マジでどっちだ……?そんな困惑している俺の質問に篠澤は小悪魔の様に笑うと、

 

「……ふふ、どっちだろう、ね」

 

あの行為の真意を濁してくる。こいつ……ハッキリしてくれないと俺の心が無駄に揺さぶられるんですけど……困るって……プロデューサーとしてライン引きたいのに本心わかんないと俺の気持ちの整理つかねえって……キスなんか初めてされたんだぞ……クソ……お前がそうくるなら俺だって考えがある。俺は、

 

「なら俺を正気に戻すためにやってくれたって事にしよう。そしてこの事は俺と篠澤だけの秘密な、俺とお前はプロデューサーとアイドルなんだからそういう関係になったら俺プロデューサー辞めないといけなくなるし…」

 

中々に最悪な事を出来るだけ冷静に言い放つ。俺の考えは『このアイドルとプロデューサーという関係にとってよくない事件をなかったことにする』だ!どうだ?勇気出してキスしたのに無かったことにされるのは嫌だろ?認めて楽になれよ!そして俺の心を掻き乱さないでくれ!そんな俺の言葉に篠澤は、

 

「……そっか。なら私はそれで大丈夫、だよ。でもプロデューサーはそれでいいの?」

 

少し残念そうにしながら俺に質問を返してくる。俺は、

 

「えっ………そ、それでいいの!この事はマジで誰にも話すなよ!バレたら俺お前のプロデューサー外されるんだからな!」

 

そんな返しされると思ってなくて露骨に動揺した……クソ…寝不足じゃなければもっとスマートに対応できたのに…いつも通りの学生らしい馬鹿みたいなやりとりに篠澤はクスクスと笑った後、

 

「ふふ……やっといつものプロデューサーに戻ってくれた、ね」

 

すごく安心した様に言葉を吐く。

 

「ああ……悪い心配かけた。でもこれからもう1人いつもの……ってか心がぐちゃぐちゃになってる奴をなんとかしなきゃいけないんだ。放ったらかしまくって悪いけど少しだけ待っててくれないかな?」

 

「わかった。じゃあライブで疲れちゃったから楽屋で待ってる、ね」

 

「ああ!どんな風に褒められるのか期待してろよ!」

 

俺の言葉を聞いて微笑みながら篠澤は楽屋へと歩いていく。さて……後は結果を待つだけ。2人のライブは色々と込みして勝負は五分五分と言ったところ……だが審査員がついているこのQUINTETでは技術的にすごい事をしている美波里に軍配が上がる……なのに何でかな今日だけは負ける気がしねえ…

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