VOICEROID in バカテス   作:かなりまな板だよこれ

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書けば出ると思ったので書きました! あとゆかりんの誕生日なので。
だけどまだ途中なんですよねこれ。
残りは書け次第投稿します。

さあ出ろ、二人暮らし結月ゆかり!


第四問 理由と宣戦布告と屋上

試召戦争。それは学力向上のために文月学園に試験的に導入されているシステムで、簡単に言うと命の代わりにテストの点を使った戦争です。色々説明は省きますが、この戦争で上位クラスに勝つことができるとそのクラスと設備を交換することができるのです。坂本君はそれを狙っているのでしょう。

……まあ、点数が私たち最底辺クラスの数倍もあるAクラスに勝てれば、ですけどね。

 

『勝てるわけがない』

 

『これ以上設備を下げられるのはごめんだ』

 

『可愛い女の子が二人もいるんだからそれでいいじゃないか』

 

クラスの皆は無理だと悟ったのか、無理難題を提案した坂本君を口々に非難します。

まあそんなのは分かりきってたのでどうでもいいんですが……最後の発言者、美波ちゃ……あと一人いることを忘れてますよ。ただでさえこのクラスには女子が少ないのに人数を間違えるのはさすがに酷いと思います。

……でもおかしいですね。このクラスのことですしてっきり木下君も女子に入れると思ったのですが。まさかマキちゃんも女子としてみられてないのでしょうか。私が女子としてみられないことはまずありえませんし。

 

「そんなことはない。必ず勝てる……いや、俺が勝たせてみせる」

 

クラスから次々と出る非難も気にせず、坂本君ははっきりとそう告げる。

 

『何を馬鹿なことを』

 

『できるわけがない』

 

『何の根拠があってそんなことを』

 

その反応に皆が坂本君に懐疑的な目を向ける。まあそうでしょうね。そういう私もとても勝てるとは思えませんし。

……でも

 

「根拠ならあるさ。このクラスには試験召喚戦争で勝つことのできる要素が揃っているからな」

 

こんなに自信満々に告げている以上、きっと彼には勝ち筋が見えているのでしょう。

……本当に勝つことができるのかどうかはともかく。

 

「それを今から説明してやる」

 

そう言うと坂本君の視線が地面へと……あ。

 

「おい、康太。畳に顔をつけて結月と弦巻のスカートの中を覗いてないでこっちにこい」

 

「…………‼︎(ブンブン)」

 

「えっ…………うひゃあっ⁉︎」

 

「……はぁっ」

 

坂本君の指摘に、頬に畳の跡をつけた土屋君が、頬をさすりながら立ち上がる。

……まあ分かりきってはいますが一応聞いてみましょう。

 

「……見ましたか?」

 

「…………(ブンブン)」

 

「そうですか……ところで、色はどうでしたか?」

 

「…………ピンクと赤」

 

「やっぱり見てたじゃないですか」

 

「む……むっつんのエッチ!」

 

「…………‼︎(ブンブン)」

 

意地でも認めないようですが、頬にある畳の跡が覗いたことを物語っています。

さて、このスケベ野郎には罰を与えなければなりませんね。

 

「土屋君、選んでください。縄無しのバンジージャンプか、パラシュート無しのスカイダイビングか」

 

「それ実質一択だよ⁉︎」

 

「ゆ、ゆかりちゃん、いくらなんでもやりすぎなんじゃ……」

 

「それだけの罪になるのですよ、私の下着を覗いたことは。

さて、弁明はありますか?」

 

まあ何を言おうと許す気はありませんが。

 

「…………アキちゃんのチャイナ服」

 

……ほう、買収する気ですか。

 

まさか()そんな()方法()を使っ()て許さ()れると()思って()いるの()ですか?()

 

「ゆかりん! 本音が漏れてるよ⁉︎」

 

…………は! わ、私としたことが!

 

「ま、まあとにかく、弁明も聞きましたしそろそろ罰を与えーーー」

 

「…………パンチラ付き」

 

「次はないですよ」

 

「「ゆかりん(ゆかりちゃん)⁉︎」」

 

まああれです。今回は下着を見られただけで写真を撮られた訳ではないので許そうと思っていましたし。決してアキ君の写真に釣られたわけじゃありません。

……ありませんよ。

 

「おい、遊んでないでさっさと来い」

 

「…………(コクッ)」

 

痺れを切らした坂本君が土屋君を再度呼ぶ。

しかし今までの流れで考えると土屋君を呼んだ理由は……

 

「土屋康太。こいつがあの有名な、寡黙なる性識者(ムッツリーニ)だ」

 

当然それですよね。

 

「…………‼︎(ブンブン)」

 

その渾名を呼ばれた土屋君は首を勢いよく横に振ることでその渾名と自分は無関係だと否定しました……が

 

『ムッツリーニ……だと……』

 

『馬鹿な、まさか奴が…………』

 

『俺も信じられん。だがあそこまで明らかな覗きの証拠をいまだに隠そうとしているところをみると……どうやら本物のようだな』

今までの行動で皆はムッツリーニだと確信している様子。まあ自業自得ですね、諦めてください。

 

「二つ名といえばもう一人、忘れちゃならない奴がいる」

 

へえ、あんなのと似たような二つ名を持った奴がいるのですか。そいつが分かったら心の中で勢いよく笑……同情してあげましょう。

 

「あいつだ」

 

坂本君が私がいる方向を指差す。

……んー、私の後ろって誰かいましたっけ……?

 

「今後ろを向いた結月ゆかりだ」

 

……まあ知ってましたけど。少しは現実逃避させてくれたっていいじゃないですか。

しかし今ここで言われるのは困りますね、ここは脅迫……お願いで場を濁しましょう。

 

「坂本君、あのことを「あいつの二つ名は悪魔憑きだ!」ばらされ……た……く……」

 

取り付く島もない⁉︎

 

『悪魔憑きって……まさかあの⁉︎』

 

『馬鹿な……あの子が、そんな……!』

 

『俺も信じられん。だがさっきのムッツリーニに向けた残忍な笑みを考えると……どうやら本物のようだな』

 

『かなりまな板だよこれ!』

 

私の二つ名が口に出された途端、周りから畏怖の視線が集まる。全く、これだからこの二つ名は嫌なんですよ……私はただの可憐で純粋無垢でいたいけな少女ですのに……。

……まあこうなっては仕方がありません。あとで翔子ちゃんにあることないこと言いましょうか。私が言うつもりだった忠告を無視した坂本君が悪いんですよ。

 

……それと最後の奴はコロス。

 

「そして演劇部のホープの木下秀吉、ドイツからの帰国子女の島田美波、文系だけ(・・)はよくできる弦巻マキがいる」

 

続いて私以外のこのクラスの華が紹介される。まあ一番の華は私ですけど。

 

『秀吉といえばAクラスの木下優子の……』

 

『なるほど、頭が良いってわけか!』

 

『秀吉カワイイヤッター‼︎』

 

『帰国子女ってことは頭が良いんじゃないか?』

 

『ケツ・エロイ・アングルゥ』

 

『ああ、秀吉と弦巻さんがいれば何もいらない』

 

『秀吉と弦巻さんが俺らの最後の癒しだ』

 

木下君に関しては優等生のいもう……弟だからって成績が優秀なわけではありませんし、美波ちゃんはまだ日本語に慣れていなくてテストの点が良いわけではありませんし、マキちゃんは文系以外は壊滅してるのですが……ものは言いようですね。

……あと最後の二人には癒しはあと一……二人いることを身体に教えてあげないといけませんね。

 

「当然俺も全力を尽くす」

 

『確かになんだか期待ができそうなやつだ』

 

『坂本って昔神童って呼ばれてなかったか?』

 

『ということはうちにはAクラス並が4人もいるのか!』

 

ああ、そういえばそんな噂があったようななかったような。まあ真実だとしても今は勉強をしていないようなので、そこまでの学力があるとは到底思えませんが。

…………あれ? これ本当に大丈夫なんでしょうか? 今のところ土屋君の保健体育とマキちゃんの文系と私の理系しか役に立つ要素ありませんよ?

……まあ戦争ですし他のところでカバーするのでしょう。ほら、今の演説でクラスの皆も盛り上がって……!

 

『これだけの戦力があればもう何も怖くないな』

 

『ああ、これだけの戦力があればあのAクラスも一たまりもないだろう!』

 

『俺たちのクラスは、最強なんだ!』

 

……何だか嫌な予感がする盛り上がり方ですね。

 

 

 

「それに、吉井明久だっている」

 

 

 

あっ、盛り下がりました。

 

「こらぁ雄二! 何でそこで僕の名前を呼ぶのさ! そんな必要なかったじゃないか!」

 

自分の名前をオチに使われた本人が、抗議をあげる。

 

『誰だそいつ?』

 

「ほら! 雄二の悪ふざけのせいで折角上がってた士気に翳りが…………って、なんで僕を睨むの? クラスの士気が下がったのは僕のせいじゃないよね⁉︎」

 

確かにアキ君の成績はこの学校でいうDクラスの成績並でこのクラスの中ではトップクラスなのですが……まあ言うのはあの肩書きでしょう。

 

「そうか。知らないなら教えてやる。こいつの肩書きは『観察処分者』だ」

 

『観察処分者』ーーー学生生活を送る上で問題のある生徒に課せられる処分で、この学園における馬鹿の代名詞です。ちなみにアキ君が学園史上初でさらにアキ君以外に持っている人は誰もいません。候補は何人かいそうですが。

 

『……それって馬鹿の代名詞じゃなかったか?』

 

「ち、違うよっ! ちょっとお茶目な十六歳につけられる愛称でーーー」

 

「その通り、馬鹿の代名詞だ」

 

「肯定するな馬鹿雄二!」

 

で、基本的には教師の雑用係で、荷物を運んだり物を動かしたりという力仕事をこなすために特例として物に触れることができます。召喚獣は少ない点数でもゴリラ並のパワーを秘めていますので、力仕事にピッタリですね。

ここだけ聞くとそこまでデメリットに思えませんが……

 

『おいおい。観察処分者は召喚獣の痛みが伝わってくるんだろ?』

 

『ってことは迂闊に召喚できないんじゃないか?』

 

実は召喚獣の受けた痛みや疲労は召喚者にフィードバックされる仕様になっているという致命的な欠点があるんですよね。

で、そんな肩書きであることを坂本君がなぜ伝えたのかというと……

 

「気にするな、別にいてもいなくても変わらない雑魚だ」

 

「そこは僕をフォローするところだよね?」

 

間違いなくオチ担当ですね。それか駄目な奴を見せることで自分はまだマシだと思わせることか。

 

「そうでもありませんよ」

 

どちらにしろ「いてもいなくても変わらない」という言葉は訂正しておきましょう。

 

「ゆかりちゃん……!」

 

アキ君が捨てられた子犬のような目でこちらをみてくる。

……ふむ。

 

「盾にしても心が痛みません」

 

「痛いよ! 主に僕の身と心が!」

 

「私は痛まないので問題ありません」

 

「この悪魔‼︎」

 

とと、ついアキ君をいじめてしまいました。あの目で見られるとついいじめたくなるんですよね、反省反省。

 

「冗談はおいといて、このクラスの中ではそこそこ良い点を取っていますよ」

 

といってもDクラス並ですが。あと試験をサボったので今は最下位ですね。

 

『マジか、ここにもトップクラスが……』

 

『でも結局召喚できないんなら意味がないんじゃないか?』

 

まあ確かに今の情報では戦力になる理由にはなりませんね。いくら点数が高くても痛いものは痛いらしいですし。

 

「まあそこは大した問題じゃありません。前線に送っておけば勝手に召喚して勝手に散るでしょう」

 

「君は悪魔かい⁉︎」

 

「いえ、天使です。さあ坂本君、話を続けてください」

 

本当はまだアキ君が戦力である理由はあるのですが……下手に期待させてもあれですし言わないでおきましょう。

 

「まあ明久に関しては使い捨て装甲板だと思え。

とにかく、これだけの逸材が揃ってるんだ。勝てない道理はない!」

 

坂本君が仕上げに入る。

 

「皆、この境遇は大いに不満だろう?」

 

『当然だ!』

 

「ならば全員(ペン)を執れ! 出陣の準備だ!」

 

『おおーっ‼︎』

 

「俺達に必要なのは卓袱台ではない! Aクラスのシステムデスクだ!」

 

『うおおーっ‼︎』

 

皆が歓声をあげる。

……まあ少し不安もありますが、私もいますしどうにかなるでしょう。

 

「まずは俺達の力の証明としてDクラスを征服しようと思う」

 

なんだ、いきなりAクラスに挑むわけではないのですか。ならさっきの人選も納得です。

 

「明久にはDクラスに宣戦布告する使者となってもらう。無事大役を果たせ!」

 

おっ、アキ君に重要な任務が課せられました。幼馴染として鼻が高いです。

この任務、二階級特進する可能性が高いのですが、アキ君なら大丈夫でしょう。

 

「……下位クラスからの宣戦布告の使者って、大抵酷い目に遭うよね?」

 

おや、アキ君が抵抗? いつもなら何も考えずに引き受けて酷い目にあうのですが。

因みにアキ君が言っていることはでまかせという訳ではありません。この戦争、負けると設備ダウン、勝っても得るものは何もなし、さらに授業が潰れるから後日補講を受けなければならない、点数も補充しなければならない、と基本的に上位クラスにメリットはないのですよね。で、それに対する怒りは死者……じゃなくて使者に向くことになるのです。

 

「大丈夫だ。奴らがお前に危害を加えることはない。騙されたと思って逝ってみろ」

 

それを知ってても騙してまで行かせようとする……真の悪魔は私じゃなくてこいつですよこいつ。今日から坂本君が悪魔憑きで良いんじゃないでしょうか?

 

「本当に?」

 

「もちろんだ。俺を誰だと思っている」

 

「悪魔憑き」

 

「それはお前だ」

 

「それゆかりちゃんの二つ名だよね?」

 

解せません。絶対坂本君の方が悪魔憑きですのに……なら私が悪魔じゃないことを証明してあげましょう。

 

「どうしてもアキ君が嫌って言うなら私が行っても良いですよ」

 

見てください、この人の嫌がることを進んで行う行為。これはもう悪魔じゃないでしょう。問題は坂本君がこのことを許すかどうかですが……。

 

「お前が良いなら代わってもいいぞ」

 

おや? てっきり戦略上の理由で拒否すると思ったのですが……。

まあそれなら遠慮なくーーー

 

「因みにDクラスには清水がいる」

 

「頑張ってくださいアキ君。死んだとしても財布は拾いますから」

 

「せめて骨も拾って⁉︎」

 

彼女だけは駄目です。美波ちゃんを生贄に捧げて逃げることしか対策が思いつきません。

 

「ってやっぱり酷い目にあうんじゃないか‼︎」

 

おっと、私の失言で気づいてしまいましたか。

 

「ちっ、バレたか」

 

「バレたか、じゃないよ! 平然と騙そうとするなんてそれでも友だちか! 」

 

怒り心頭のアキ君。このままだと宣戦布告に行きませんね。まあその時は私以外の人を使えば良いだけですが。

 

「まあまあ落ち着け。お前にもちゃんと利点があるんだぞ」

 

ですが坂本君はどうしてもアキ君を使いたい様子。

 

「ここだけの話だが……」

 

そこで坂本君は声量を落とす。

 

「男らしい行動はモテるらしいぞ。()例えば宣戦布告に行くとかな」()

 

「行ってくるよ」

 

アキ君は教室を出ていった。今の言葉に踊らされるだなんてアキ君は本当に単純ですね。

 

「と、まああいつは馬鹿だから適当な嘘に騙される。肝に命じておけ」

 

いや、アキ君はそこまで馬鹿じゃないはずですよ。

……多分……。




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