貴方は淫魔の国へ渡る   作:ばばばばば

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 これは彼女の強がりでなく、淫魔は食事を必要としないと貴方は理解はしていた。

 しかし、だからと言ってせっかく作った料理を一人で食べるのは味気ないと貴方は考えたのだ。

 

 

 

 貴方の提案に彼女の顔は固まり、次第にニヨニヨと顔の形が崩れていく。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして彼女と貴方のディナーが始まった。 

 食卓のどころか椅子すらない部屋、そこで貴方達はベッドの上で向かいながら食事をとる。

 

 

 

 ――これは少し行儀が良くない気がする――

 

 

 

 

 貴方と彼女は何気ない雑談を交わしながら料理を口に運ぶ。                                                                                                                 

                                  

                                

 

 

 

 

    貴方は彼女の言葉に頷く。

 

 

 

 

 

 ケルピー……、スコットランドの伝承に登場する水辺の妖精

 主に馬の姿をして旅人を背に乗せ、水底へ引きずり込む恐ろしい存在と言われている。

                                             
 だからであろうか、その味は馬肉特有の上品な淡白さがある。

 まるでいくらでも食べられそうなクセのなさを貴方は感じるだろう。

 

 

                                                         

 

 愛と支配欲が極まり心を病んだような人間のようなことを言い出す彼女であるが

 その口調は軽く明るい。

                                                     

 

 

 

 

          ――食事中に食欲が落ちる様な話題だ……――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もちろん同族の肉を食べることはもってのほかでタブー視されていることも彼女に説明する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は血流が腹に回り、その栄養を余さず搾り取ろうとしている感覚を感じてしまうだろう。 

 

 

 

 

 

 

 

 だからこそ、貴方は隣に腰を下ろした彼女から向く視線を

 甘んじて受け入れなければならないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 貴方がそう伝えると、彼女は目線を逸らして言葉を続ける。

 

 

 

 

 

 

 貴方は淫魔と言えどもその寝方が一般的なものではなく

 そもそも寝具があって使わない理由もないだろうと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 体を不安そうに触る彼女を見て、貴方は一瞬だけよからぬ考えを浮かべてしまった。

 

 

 

 彼女の言葉を信じるなら

 ……魂が見える淫魔は人間の感情が筒抜けであるという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って背を向けようとする彼女に貴方は―――

 

 

 

  おなじベッドで寝ることを提案する

 

  ただ一言、おやすみなさいと伝えた

 

 

 

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