宇宙海賊狩りのタナカ   作:水色の山葵

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第38話『亡霊を奉る』

 

 僕以外の人間から「幽霊を信じている」なんて言葉が出るのを、僕は生まれて初めて耳にした。

 

 

 ――だから、見守ってみようと思った。

 

 

 白い煙と共にゲームセンターの中へ突入してくる黒い戦闘服に身を包んだ男たち。

 その数は10人前後。全員が同じように光学式のライフルを携帯している。

 それに煙幕の中でも視界が潰れないようにサーマルスコープと何やら重厚なマスクまで装着しているのだから、この事態の計画性はかなり高いものなのだろう。

 

 でも僕は今日、ニノミヤさんに誘われて偶然この都市(コロニー)にやって来た。このゲームセンターに入ったのも偶然だ。

 

 彼らの狙いが僕である可能性は低い。

 ということは、彼らの狙いはさっきまで僕とゲームをしていた彼女だ。

 そして、彼女が僕と同じ霊能力者なら、こんな状況は問題だなんて呼べるものじゃない。

 

 僕の力が露呈するリスクを考えれば、僕になにか行動を起こすという選択肢はない。

 僕は彼女の動向を見守ることにした。

 

 ガタッ……

 

 と、筐体の向こうでなにかが倒れる音がする。

 白い煙の中、その方向を凝視すると、薄すらと彼女が地面に倒れ伏しているのが見えた。

 

 なるほど、どうやらこの煙は吸引した人間を気絶させるような効果があったらしい。

 六合の物理障壁と天后の状態異常耐性が常時発動している僕には感じ得ないことではあるが、この状態で気絶しないのは常人ではないことを物語っているに等しい。

 

 僕も気絶したフリしとこ。

 

「おい、他にも客がいるぞ。隊長どうします?」

「できるだけこの事件が警察にバレるのを遅らせる。こいつも連れて行くぞ」

「了解」

 

 そんな会話を交わしながら、彼らは僕も外へ運び込んでいく。

 薄目でゲームセンターの外の様子を確認してみると、二階建てのバスのような飛行車が止まっていた。

 どうやら外から店の中が完全に見えないように隠しているらしい。

 

 それにしても、やっぱり僕と同じ『霊能力者』ってわけじゃなかったみたいだ。

 それとも僕と同じように力が露見するのを嫌がっているのかな? でもそれだと僕に「幽霊を信じている」と言った意味がわからない。

 

 まだ知り合ったばかりでよくわからないけど、彼女への興味はまだ晴れない。

 

 そう思い、僕はもう少し狸寝入りを決め込むことにした。

 

 

 ◆

 

 

 飛行車で移動すること10分と少し。

 僕らは埃まみれの倉庫の中で、電磁式の手錠と足枷を倉庫の柱に固定される形で拘束されていた。

 

「ゲホッ、ゲホッ」

 

 咳き込みながら、髪に付いた汚れを払うように頭を振って彼女は上体を起こす。

 

「おはよ」

「どこここ?」

「知らない。どっかの倉庫の中だとは思うんだけど」

「そう……あなたも誘拐されたんだね。殺されてなくてよかった」

「たしかにね、殺されるのはさすがに困る。それで、聞いてもいいかな?」

「何から?」

「そうだね、まずは君の名前が知りたいな」

 

 あの誘拐犯グループが来る直前、彼女は僕を巻き込んだことを謝罪した。

 それは彼女自身がああなることをある程度察していたということだ。

 

 でも、なんていうか、あんまり興味がない。

 犯罪の動機も、相手の予想も、その手口も……僕は今までそういうことを気にして依頼を受けたことなんてない。

 

 だから、こんな状態じゃ彼女と話す程度しか暇潰しの方法がないから、まずは名前を聞いてみることにした。

 

「シニカ。シニカ・ゼノ・ブラックルート」

「よろしく。あぁ、僕はタナカ・テンメイ。気軽にテンメイって呼んでね」

「テンメイは、なんていうか元気そうだね」

「別に普段通りだよ?」

「それが変だと思うけど……あのさ、私のこと恨んでないの? 私のせいで捕まったみたいなものなのに」

「誰のせいって話をするなら、そんなの100%誘拐した奴らのせいでしょ。君を責める気はないよ。でもあまり話題もないし、なんで狙われてるのか教えてくれるなら聞いてみたいんだけど?」

 

 多分僕はこの女の子に期待している。

 自分と同じかもしれない。その可能性が1%でもあるのなら僕にとってはそれは喜ばしいことだ。

 

「私って天才科学者だから」

「科学者……なんだ……」

「そう。トラセウムの7大メガコーポ『ゼノ・エナジー社』の次期代表取締役で、18歳で特許を4つ発明してる。どれも現代科学を1歩先へ推進するようなものばかりだから、多分私結構すごい」

「へぇ、すごいんだねー」

「……っていう人間の、演技(ロールプレイ)を私はやってるの」

「ん?」

 

 なんか、難しい話をされてる気がする。

 

「嘘ってこと?」

「そうだよ」

 

 そう言ってシニカちゃんは、つらつらと自分のことを話し始めた。

 

 

 ◆

 

 

 ゼノ家の人間はこれまで多くの発明をしてきた。

 そこには世界を一変させるような発明も数多く存在し、役員のほとんどをゼノ家の人間が務めるゼノ・エナジー社は、その『発明群』を基盤としてトラセウムの7大メガコーポの地位を得たのだ。

 

 しかし、その成功には秘密がある。

 

 ゼノ家の始まりはゼノ・アルカスタという天才だった。

 それは『ワームホール』を造り出すことに最初に成功した偉人の名でもある。

 

 彼がいたから人類は宇宙へ進出することができた。

 

 だが、ゼノ・アルカスタが設計したのはワームホールの生成技術だけではなかった。

 

 しかし、彼の発明品はゼノが生きた時代のテクノロジーでは机上の空論であり、その時の技術レベルでは実現するのは不可能だった。

 

 ゼノの死後、その設計図はゼノ家に継承され、必要なテクノロジーが世界に揃ったのを見計らって放出されてきた。

 

 ゼノ家の発明はすべて、ゼノ・アルカスタの発明の〝引用〟だった。

 

 祖先が生み出した無数の設計図を少しずつ放出することで、ゼノ家は『天才の一族』という地位を守ってきたのだ。

 

 だから……

 

 

 ――私への評価はすべてゼノ・アルカスタへの評価だということを私は知っている。

 

 ――私なんて本当は誰も見ていないということを私は知っている。

 

 ――私の生涯はゼノ・アルカスタの研究成果を祭り上げるためにある。

 

 

 でもきっと、それでいいのだろう。

 

 ゼノ・アルカスタの無数の研究成果がある限り一族は安泰だ。

 お金にも立場にも困ることはないのだから。

 

 

 ◆

 

 

 不満気で、でもどこか諦めたような表情で、彼女は僕へそう語った。

 

 なるほどね。だから「幽霊を信じてる」というわけだ。

 ゼノ・アルカスタという死後の誰がによって自分の人生が形成されている。

 その感覚が彼女の言葉の正体だった。

 

 少し残念だ。霊能力者じゃなかったらしい。

 でも、まぁ、そりゃそうだよね。

 

「私は恵まれた人間で、この人生を退屈に感じるなんていうのは他の人に失礼だから……だから私は自由なんか望んじゃいけない。わかってる。わかってるけど…………ちょっと疲れた」

「そっか。いや、僕は自由を望んじゃいけないなんてことは思わないけれど、それを君に強要する気はないよ。君がそう思うんならそうなんだと思う」

 

 霊能力を持って生まれた。

 僕の言動は結局すべてその資質ありきで形成されている。

 だから怖がられたし、仕方がないと諦めたこともあった。

 

 今の僕が自分のことを悲観的に捉えていないのはミロクやセンリちゃんと出会えたからだ。

 

 でもそれは僕が幸運だっただけで、この娘はそうではないのだろう。

 

「でも、そんな重要なこと僕に言ってよかったの?」

「いいよ。だってもうすぐ私は死ぬんだから、もう関係ない」

「死にたいから、誘拐されるのがわかっててゲームセンターに来たの?」

「違うよ。でも今の生活を、私は〝生きている〟とは思えない」

「そう。まぁ、死後の世界の方が君にとっては気楽かもしれないね」

 

 消滅を待つだけの余生みたいなものだからか、幽霊は基本気楽に過ごしている気がする。

 

「あなた、面白い」

「ん?」

「今まで出会ってきたどんな人種とも違う。媚びるわけでも、妬むわけでも、操ろうとするわけでも、期待するわけでもない。私のことを知った上で、私の身の上なんてどうでもいいって思っていそう」

「え、だって、どうでもよくない?」

 

 大きな会社の跡継ぎだとか。

 天才的な科学者だとか。

 それは嘘で、本当はゴーストライターだったとか。

 

 そんなの心底どうでもいい。

 

「あ、でもあれだね。できればまた一緒にゲームをして欲しいな。さっき教えてくれたおかげでちょっと上手くなったと思うんだよ」

 

 実はセンリちゃんとかが初見のゲームを普通に僕より上手くやれているのに、僕はちょっと嫉妬していたりする。

 レトロゲームならもしかしたらワンチャン僕でもセンリちゃんに勝てるんじゃないだろうかという無意識の期待も、僕があのゲームセンター足を踏み入れた理由だったのかもしれない。

 

 そんな意志を伝えると、シニカちゃんは表情を大きく崩して笑った。

 

「あは、ははははは! ……嘘、私にゲームを教えて欲しいの?」

「嘘じゃないよ。だってめちゃくちゃ上手かったじゃん」

「会社の極秘事項とか、一族の秘密とか、銀行の暗証番号とか、私の秘密を知りたくて近付いてきた人は今まで沢山いたよ。でも、君みたいなことを言った人は初めて」

 

 いや、僕がそんなことを知ったって使い道なんてないじゃん。

 会社経営も、ゼノ家のどうたらも、そもそもお金を僕はそんなに求めていない。

 必要な金銭は傭兵業で稼げるし、仕事自体も最近は少し楽しくなってきた。

 

「テンメイ……」

「なに?」

「私、本当は怖かったんだ。自暴自棄なクセに自死する勇気もなくて、だから私を狙っている人がいるってわかっててあそこに行った。でも本当に襲われて、気絶させられて、監禁されて、本当はちょっと怖かった。だから、こんなことを言ったらあなたに悪いけど、あの場所にあなたがいてくれてよかった」

 

 シニカちゃんがそう言って微笑んだ瞬間、倉庫の扉が開いた。

 

 中へ入って来るのは僕らを誘拐した黒い戦闘服の集団。

 その内の1人、唯一銃を携帯していない男が僕らの方へ歩み寄ってくる。

 

「初めまして、ゼノ・エナジーのご令嬢。俺たちが何者でなにが目的か、お前は気が付いているか?」

「知らない。でも、ああいう行動を繰り返せばこういうことになるってことはわかってた」

「ほう。ならお前は俺たちに誘拐されるのが目的であの場にいたってことか?」

 

 シニカちゃんの言葉を聞いた周囲の兵士たちの間に多少の動揺が生まれるが、問いを投げる目の前の男は動じた様子もなく話し続ける。

 

「そうだね」

「これからなにをされるのかも理解してるってことか?」

「殺されるか、洗脳されるか、あとは拷問ってところ?」

 

 そう言ったシニカちゃんの表情は気丈なものにも見えたけれど、その体は微弱に震えていることが隣に座る僕にはわかった。

 

「その通りだよ。シニカ・ゼノ・ブラックルート」

 

 マスクに顔を覆われていても、その男がその言葉と共に笑みを浮かべたことがわかった。

 その声色は何度か聞いた憶えがある。……海賊の笑い方に似ていた。

 

「でも、この人は私とは関係ない。解放してあげて」

「そりゃあ無理な相談だ。そんなことしても俺たちにはデメリットしかねぇ。つうかテメェにそんな指図をする権利はねぇよ」

 

 シニカちゃんの髪を掴みながら男がそう吐き捨てると、彼女はチラリと僕を見て、申し訳なさそうな顔をした。

 

 

「あのさ、ちょっと待ってよ」

 

 

 その言葉はシニカちゃんに向けたつもりだったけれど、答えたのはこの部屋に入ってから僕を一瞥すらしなかったシニカちゃんの髪を掴んだ男だった。

 

「なんだ? 心配すんな、全部終わった後で溶かしてやるから」

「いや、君はちょっと黙ってて。ねぇシニカちゃん、別に君の自殺を止めたいわけじゃないんだけどさ、僕はまだ死にたくはないからごめんね。僕は君の事情より、僕の事情を優先するよ」

 

 唱える――

 

「惧れの凶将・()たる灯籠・南東の星――名を【騰蛇】」

 

 いつもは式符を門として使っているけれど、別に式符を取り出さなくても、腰のポーチから顕現させて召喚することは可能だ。

 

「は? 何言ってやがる?」

 

 現れるのは霊能を持たぬ者には知覚できない不可視の龍。

 3メートルほどのその龍は物理的な干渉力を有していない。しかし、泳ぐように移動するその龍に体を〝通過〟された者は――

 

 黒い戦闘服に身を包んだ男たちは――パタリ、パタリ、パタリと……意識を喪失していく。

 

 騰蛇は僕の異能の中でも比較的地味だ。何せ普通の人には見えない。

 だが、異常現象が発生することは間違いなく、霊能力を完全に隠匿できるわけじゃない。

 でも、こんな状況になっちゃったら仕方ないよね。

 

「なにしてやがる! さっさとこいつを殺せ!」

 

 リーダー風の男がそう叫ぶと男たちが一斉に銃口を僕に向ける。

 

 はぁ、めんどくさ……

 

「六合」

 

 現れたのはこれまた不可視の〝結界〟だ。

 僕とシニカちゃんを囲うように半球状に展開されたそれは、発射されたエネルギー弾を弾いていく。

 

「なにが起こって……」

「シニカちゃんさ……僕も君の秘密を守るから、僕の秘密もできれば誰にも言わないでくれるとありがたいな」

 

 そんな会話の最中にも、【騰蛇】が移動し続けることによって次々と兵士が気絶していく。

 

 そして最後の1人、リーダー風の男に騰蛇が向か――おうとしたその瞬間、男の体に理解不能が現象が起こる。

 

「【炎玉(えんぎょく)】」

 

 その呟きと共に、上に向けられた男の掌から炎の塊が召喚された。

 それはまるで『朱雀』と同じように、何もないところから突然炎が湧いて出た。

 

「なにそれ?」

 

 それってもしかして、僕と同じ……

 

 そう思った時には、僕の口は更なる詠唱を口走っていた。

 

福徳(ふくとく)の吉将・(うし)たる般若(はんにゃ)・北東の星――名を【貴人】」

 

 現れるの黄金の全身鎧に身を纏った騎士。

 武芸百般の元英霊であり、未来を視通す瞳を持つ。

 僕の式神の中でも1対1、特に対人戦において高い性能を有する存在だ。

 

「【勾陳(こうちん)】」

 

 さらに貴人の手の中へ黄金のロングソードを召喚すれば、貴人は僕の拘束を切断してくれた。

 

 僕は手首をさすりながら立ち上がり、命令を下す。

 

「あれがなにか、見極めて」

 

 言葉を介さず頷いた貴人は、待ちの構えだ。

 それは未来を視る貴人にとって必勝の戦術。

 破るなら、未来視ですら対応不可能な【規格外の力】が必要だ。

 

「なんだこの鎧? まぁどうせ、全部燃やし尽くしちまえば関係ねぇだろ!」

 

 投擲するようなモーションと共に放たれた炎の球体が貴人へ向かう。

 しかし、貴人はその攻撃を完全に見切っていたらしく体を逸らすことで回避した。

 貴人の後方に流れた炎の球体は、壁に激突して鎮火する。

 

 あれ……爆発するわけじゃないの?

 朱雀に比べれば随分と低火力だ。

 

 でも本当に僕と同じ霊能力者ならこれで終わりってことはないだろう。

 

 一撃を回避した貴人はすぐさま接近する。

 前傾のまま剣の切っ先を後ろの地面に向けながら翔け、剣を振るう直前……

 

「フラッシュ!」

「きゃっ」

「うわ」

 

 リーダーの男の手の平から現れた光の玉が破裂し、周囲を眩く照らす。

 僕とシニカちゃんは目を瞑っちゃったけど、貴人は未来を読む式神。

 来るとわかってる閃光に臆すことはない。

 

 閃光の中でも相手に接近しているのが、鎧を纏っているとは思えない非常に小さな足音で聞こえてきた。

 

 目の痛みが回復してくると、視線の先には不動に立ち尽くす貴人と気絶した男の姿があった。

 

「え、終わり?」

 

 嘘でしょ……火の玉飛ばして光るだけって、現代兵器以下じゃん……

 

 でも、今の現象は本当になんだったんだろう?

 アーティファクトや宇宙怪獣っぽい感覚もしなかったし……

 

 不思議に思っていると、横から声がかかった。

 

「ねぇ、あなたも超能力者なの?」

「超能力者?」

「ナノマシンテクノロジーの応用で、『脳波式素粒子統括制御技術』って呼ばれてる」

 

 長い。呪文詠唱かな?

 

「あいつが使ってたのは間違いなくその技術だよ。まだ公にはなっていないから、なにも知らない人に説明すると『魔法が使えるようになった改造人間』って感じかな。あなたは違うの?」

 

 改造人間……ってことは霊能力者じゃないのか……

 でも、僕が見せた力を超能力(そう)だと勘違いしてくれているのならその方が都合がいい。

 

「そうそれ、僕も超能力だよ。それと一応、傭兵もやってるよ」

 

 貴人に命じてシニカちゃんの拘束を解きながら、僕は彼女に色々と聞かれて墓穴を掘る前にこっちから話題を振ることにした。

 

「僕も聞いていい? シニカちゃんは人生つまんなくて態と捕まるようなことしたんでしょ? 僕はそれを邪魔しちゃったわけだし、1つくらいお願いを聞いてあげてもいいよ」

「え? むしろ逆だと思うけど……」

「大丈夫だよ、僕にとってはこれくらいは面倒のうちにも入らないことだし。それでなにかないの?」

 

 僕は彼女を安心させるために微笑む。

 

「君が望むなら僕が君を殺してあげてもいいよ」

 

 人を霊に変える。

 そんなのは今まで何度もやって来たことだし、それに罪悪感を感じたことはあまりない。

 

 彼女がそれを望むのなら、僕はそれを実行することに迷いを持つ必要もない。

 

「どうする?」

「いや、もういい。死ぬより面白そうなこと、見つけたから」

 

 そう言った彼女の視線は、僕を観察しているようだった。

 

「でも、お願いはあるよ」

「なに?」

「また遊んで?」

「そんなことでいいの?」

「ダメ?」

「いや、こっちからお願いしたいくらいだよ。ネビュラ・プライム・ハブには後1週間くらいいる予定で暇だったんだよね」

 

 小さく笑って彼女は頷く。

 連絡先を交換したいところだけれど、僕の端末はこいつらに没収されたからな……

 

 それにこの倉庫の外にもきっと彼らの仲間がいるだろう。

 

 派手に暴れると僕の力がバレるリスクも増える。

 宇宙海賊との戦闘と違って、人質以外全員殺していいわけじゃないっていうのが、すごくめんどうくさい。

 

 朱雀でこの辺一帯を灰燼にしてしまおうか……

 

 そんな考えが頭を過るとの同時に、倉庫の扉がもう1度開く。

 貴人も騰蛇も送還したから、もう1度召喚できるように用意しながら扉から入ってこようとする何者かに視線を向ける。

 

 すると……

 

「ご無事でなによりです、タナカさん」

「テンメイ、外は制圧したよ」

 

 そこにあったのは、センリちゃんとミロクの姿だった。

 

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