「タナカさん」
ネビュラ・プライム・ハブの宿泊施設で漫画を読んでいると、部屋の扉が開いてセンリちゃんが入ってくる。
「どうしたの?」
「地球に行きませんか?」
地球――惑星№1。それは人類の故郷と呼ばれる星。
そして、メルが僕に討伐を頼んできた宇宙怪獣が生息する地帯のすぐ傍だ。
「TWの調整は終わったの?」
「はい。シニカさまとミロクさんの協力もあり、望むものを造ることができました」
「そっか、よかったね」
「はい」
「で、メルになにか言われた?」
「実は、タナカさんとメルさんのお話を聞いていました……」
申し訳なさそうにセンリちゃんはそう告白する。
「えっ!?」
ヤバ、センリちゃんじゃ勝てないとか言わなかったっけ僕。
ていうかメルのヤツ、そのために何度も断った依頼をマーセルに呼び出してまで打診したのか。
「私が力不足であるということは理解しています。ですが、彼女の切実な願いは叶えるべきだと思います。彼女がいなければ傭兵の扱いはきっともっと酷かったでしょうから」
まぁ、僕だってメルには感謝してる。
故郷の星に居場所がなかった僕にとって傭兵業はすごく都合のいいものだった。
そのフォーマットがあったから、僕も簡単に傭兵を始められていた。
もし傭兵って職業がなかったら、今頃どうしていたのか想像もできない。
「でも、僕の意見もわかって欲しい。僕はセンリちゃんが死ぬのは嫌なんだ」
「何故ですか? あなたにとって殺人とは相手の存在する次元がズレるだけのこと。双方に干渉できるあなたにとっては、なにも問題はないはずです」
「たしかに少し前まではそう思ってたよ。でも今は……多分、幽霊になったセンリちゃんと僕じゃ仲間にはなれないからさ……」
例え幽霊になったとしても、センリちゃんは僕と一緒にいてくれるのかもしれない。
でも、それじゃあダメだ……
「僕だってセンリちゃんと一緒にいたいんだ。だってその方が安心できるから」
「それはとても嬉しい言葉です。本当に……本当に……」
センリちゃんは胸の前で手を握り、噛み締めるような表情を浮かべる。
「けれど、だからこそ」
そして、その青い瞳が僕を貫く。
「私はあなたの横にいてもおかしくない人間になりたいのです」
「センリちゃんってさ、真面目キャラなのに結構要求してくるよね」
「真面目……ですか? かなり我儘ばかり言っていると思うのですが」
軍学校の学年主席なんじゃなかったっけ?
それで真面目じゃないとかあるの?
まぁ、僕高校ほとんど行ってないからわかんないんだけど。
「わかったよ。地球に行くのは認める。ただの観光地だし、僕も興味あったから。でも、メルの依頼を受けるかはセンリちゃんの実力次第。少なくとも、僕の知ってるセンリちゃんの実力じゃ許可できない」
ヴォイド・ドラグーンという存在を僕は一度観測している。
その上で断言できる。センリちゃんじゃアレには100%勝てない。
だけど、ヴォイド・ドラグーンを封じ、TW以外の侵入を制限している結界を発生させている相手。
半分英霊になっているだけの彼、アレクセイ・ヴァシリエフなら、センリちゃんでも殺せる可能性がある。
とはいえそっちはそっちで化け物だ。千年以上の時を宇宙怪獣との戦闘だけに費やした。不眠不休で戦い続け……いや、アーティファクトの権能によって強制的に戦い続けさせられている。
にもかかわらず、アーティファクトの使用を止めず今も英雄を待っている。
それは紛れもなく、常軌を逸した精神を持つ化け物だ。
「だから、僕と戦おうかセンリちゃん」
「え?」
「僕に傷一つでも付けられたら、その時は認めるよ」
「タナカさんに……刃を向けるなんて……」
「だからさ、そういうことは僕に突き立つ刃を持ってから言いなって、そう言ってるんだ」
◆
地球の天然衛星『月』――
遠い昔のご先祖様は人口が爆発的に増えたことで月に住んでいたこともあったらしい。
けれど、ワームホールが開発され遠くの星に移住できるようになったことで、月なんていう住みにくい惑星を使う必要はなくなった。
だからこの星は今、ゴミ捨て場のような扱いをされている。
そんな星で僕は、センリちゃんのTW【白桜】と向かい合う。
ミロクは少し離れた場所で宇宙船の留守番をしてくれている。
『タナカさんはどうして、宇宙服もなしでこの場所にいられるのですか?』
「【天后】って式神の力だよ。状態を正常に保ち、あらゆる海とそれに連なる宇宙での活動を可能にする……だったっけな?」
この星には誰も住んでいないから、力を隠す必要はない。
『そうですか……』
「じゃあ始めようか。センリちゃんの敗北条件は降参か行動不能になるかどっちか。僕は傷一つでも付けられたら負け」
『了解しました。――戦闘を開始します』
白桜のスピーカーから冷静さに満ちた言葉が聞こえたその瞬間、白桜が桜色のブースターを吹かして一気に加速する。
武装はない。両手両足は
僕の目の前にやって来たセンリちゃんは、パウンド気味に拳を振り下ろす。
十メートルを超えるTWの巨体から繰り出されるそれは、地形を変えるほどの威力を持つが……
「僕には無意味だね」
六合の常在効果によって威力は殺され、拳は僕の頭上で止まる。
さっさと終わらせて、地球で美味しい物でも食べよう。
センリちゃんは多少落ち込むかもしれないから、沢山楽しいところに行こう。
「
僕の背後に現れた巨大な龍が、口内に光を集める。
フルチャージは必要ない。手足を千切ればそれで終わりだ。
そして、この光線は君の速度じゃ避け切れない。
『抜刀』
スピーカーから聞こえたその二文字と共に、白桜の右手には水色の刀が握られている。
それはたしか、世界を減速させるアーティファクト……
消えたようにしか見えなかった。
白桜の姿は次の瞬間には、僕の後ろにいた青龍の鼻先にあった。
『換装――【プラズマキャノン】』
白桜の左腕にロケットランチャーみたいな武装が展開され、そこから球体状に纏まった紫色の雷が青龍に向かって放たれる。
青龍は迎え撃つ構え。その雷に向けて速射の光線を放とうと口を開けた――
『そこですね』
いつの間にか、白桜の左足には筒状の武装が展開されている。
そこから、うねうねと動く蛇のようなレーザーが6つ発生し、すべてがピンポイントで青龍の口元に纏まる。
青龍が集めていた光が、レーザーと干渉して大爆発を起こし、さらにその爆風に雷が浸透していく。
「マジ……?」
青龍がやられた……
「すごいねセンリちゃん。まさかここまでやるとは思ってなかったよ」
『アーティファクトとミロクさんとの練習のお陰です』
「だとしてもだよ。こんなに強い人は初めて見た」
『光栄です』
「だから残念だよ。白虎」
その機体の取り柄が速度なら、白虎には勝てない。
召喚の祝詞と共に出現した白い雷が、白桜の身体に絡み付き、刹那の間に両手両足を食い千切った。
「はい。これで終わ――」
『コマンドコード【ヘルスリセット】』
「え……」
一瞬で白桜の両手両足が再生した。
機体パーツを転送して修復した?
そういえば、ヴィーナちゃんと戦ってる時にもこんなことをしていたような気がする。
『敗北条件は私の降伏、もしくは戦闘不能。で、間違いありませんよね?』
「うん。けど一つ聞いておきたいんだけど、残りのパーツってどれくらいあるの?」
『シニカさまとミロクさんに〝沢山〟用意していただきました』
「沢山……?」
『手足、頭部、動体がパーツごとに約千個、武装の予備は全種数十個です』
それって全部でいくらするんだろ。
さすがに全部壊すのはもったいない気がしてくるな。
でもまぁ、センリちゃんをあんな依頼に向かわせるよりマシだから……
「悪いけど、全部壊すよ。修理代は団のプール金で賄っていいから」
『ではそうならないように、早めにその式神を攻略しようと思います』
「へぇ、やってみなよ。
白虎の完全顕現。体躯が巨大化し、速度が増し、電圧が上がる。
『換装――【シールドジェネレーター】』
脚部に2つ、左右対称のアンテナのような武装が出現する。
その武装の機能なのだろう。白桜の周囲に2枚の薄緑色の盾が出現する。
白虎に対して盾?
それはちょっと悪手っぽいけど……
「ガルゥ!」
僕の予想通り白虎はシールドを掻い潜るような軌道で、白桜に突撃し、両手両足を食い千切る。
『コマンドコード【ヘルスリセット】』
また、センリちゃんは機体を完全回復させ、白虎と睨み合う。
僕はその場に腰を下ろして【天空】の亜空間から取り出したカフェオレにストローを刺す。
縦横無尽に駆け回る【白虎】と【白桜】はまるでバトルアニメのワンシーンみたいだ。
桜色のブースターを吹かす白い機体が、青い雷を纏った白い虎と何度も激突する。
だけど、その結果は火を見るよりも明らかで、激突のたびに白桜の残骸が宇宙に飛び散る。
だけど……
「あれ……なんか……シールドの出所が……」
ガキィィィィィィィィンンンン!! と、音を出して白虎の突進が止まる。
目前にある淡い緑色のシールド(たしか質量攻撃には弱いけど電撃や炎、光なんかの攻撃には強いってセンリちゃんは言ってた気がする)に白虎が止められている。
白虎は速度こそ速いけど、そのメイン火力は『雷』だ。
シールドジェネレーターとは相性が悪いんだろう。
でも、白虎の速度にシールドの生成速度をよく追い付かせられたな。
白虎の速度は人間の認識速度を超えてるはずなんだけど……
「もしかして、白虎の行動パターンを読み始めてる……?」
強化人間とはいえ、体感時間を下げているとはいえ、それでもちょっと……異常だ。
だけど白虎の速度なら、シールドに阻まれてもすぐにバックステップして別角度に回り込んで突進できる。
また、白桜の両手両足が残骸となって宙を揺蕩う。
「さて、なにか策はあるのかな? あるんだろうなぁ……」
センリちゃんは全部考えるタイプだ。
一緒にゲームしてた時も、攻略方法とかタイムスケジュールとか、相手の戦力とか、全部計算してから挑んでたし、挑んでる最中にも修正し続けてた。
このままじゃ白虎の尻尾が掴まれるのも時間の問題かな?
それなら次を一気に心を折らせてもらおう。
「火炎の凶将・
巨大な炎の鳥が姿を現し、飛翔する。
僕の頭上に昇ったそれは、羽毛を飛ばすように小さな火の鳥を無数に飛び立たせていく。
1つ1つが、僕が簡易詠唱で呼び出す朱雀と同じ威力を持っている。
無数の爆撃。
それがセンリちゃんを襲う。
纏まった状態の朱雀が爆発すると、月がなくなる可能性があるから拡散させて狙わせる。
けど、朱雀はそこまで速いわけじゃない。白桜の方がずっと速い。朱雀の役割は数だ。
スピード特化の白虎を、無数の朱雀を掻い潜りながら捕らえるのは結構難しいんじゃないかな。
『くっ!』
舌打ち混じりに漏れた悔し気な声と共に、白桜の両腕両足が爆発する。
朱雀に触れたみたいだ。
『コマンドコード【ヘルスリセット】』
また、白桜が万全な状態に戻る。
――火鳥が飛ぶ。白い雷が走る。桜が舞って、白が衝突する。数多の兵装が次々に換装され、極彩色の輝きが
綺麗だ。どんな花火より、どんな絶景より、綺麗に感じた。
僕は携帯端末を取り出し、戦闘の激化よって遠くに行ってしまったセンリちゃんに通話をかける。
TWにはハッキングに対する完璧な対策として、あらゆる通信を拒絶する機能がある。
だが、センリちゃんの方が許可を出してくれれば話は別だ。
「戦ってる最中に話しかけると邪魔かな?」
『いえ、なんでしょうか?』
「僕には君が理解できないんだ。だから教えて欲しい。センリちゃんは理不尽な目に遭っている弱者を救いたいんだよね?」
『はい』
「でも、君は僕よりずっと弱い。僕は生まれてから、強くなりたいなんて1秒たりとも思ったことはないけれど、僕は君よりずっと強い。センリちゃんのやってることは無意味だよ。だってさ、弱者が弱者を救いたいだなんて、意味がわからないじゃないか」
僕がそういうと端末からセンリちゃんが『フッ』と笑う声が聞こえた。
「なんで笑うの?」
『申し訳ありません。ですが、今までのタナカさんは私を気遣ってそこまで直接的な言葉は選ばれなかった。でも今は、私のためにそこまで言葉を尽くしてくれている。それを嬉しいと感じているのだと思います』
「たしかに、僕はセンリちゃんに怖がられるのが怖かったからこんなことは言えなかったよ。でも今は、そういうことを言ってる場合じゃないんだ。君に死んで欲しくない。これからも君と旅がしたい、笑い合いたい」
『そう、ですか……だとしても私も私の意志を曲げられない。私は私を実行するために生きている。それはあなたと出会えたからこそ思えたことなのです。理解して欲しいとは言いません。ただ、私はきっと1人でもメルさんの依頼を受けようと思ったでしょう』
「なんで? メルにそこまで肩入れする理由ってなに?」
『私にはあの方は、ずっと助けて欲しいと叫んでいるように見えるのです。証拠などなにもありません。ただの私の直観で、論拠もなにもない。でも……メルさんの瞳には縋るような意志が見えるんです!』
僕はミロクからメルがあの依頼に執着している理由を聞いている。
ヴォイド・ドラグーンを封印しているアレクセイ・ヴァシリエフというTWパイロットが、千年前のメルの恋人で、メルは意識を機械にアップロードしてまで彼を終わらせて欲しいと願っている。
その想いを、なにも知らないはずのセンリちゃんが感じ取ったとでも言うのだろうか。
でも、そうじゃないとセンリちゃんの言葉は説明できない。
はぁ……すごいな。まるで正義のヒーローだ。
「センリちゃん、僕はメルより君の方が大事だよ」
『それは私とは関係がありません』
「そっか、センリちゃんってもしかして僕のこと嫌いなの?」
『え、全然そんなことはありませんが、なんでですか?』
「いやごめん、ちょっと聞いてみただけ」
でもそっか。そこまで硬い意志を君は持っているんだね。
それが、君にとって生きるってことなんだね。
「じゃあ、しょうがないね。僕はセンリちゃんのことが大好きだけど、」
『ぴょっ!?』
「だからこそ、僕の好きな君を壊してでも君を護るよ。ごめんね、センリちゃん」
君が君の生き様を貫き通せなくても、僕は君に生きていて欲しいんだ。
「
完全顕現時の天空の能力は、時間停止空間との往来。
そしてそれは、僕以外に対しても使用できる。
朱雀から放たれる炎の鳥が、天空の開けた次元の穴に飛び入って、その炎は白桜の左右上下前後すべての方向から巻き散らされる。
『空間……跳躍……!?』
朱雀の爆撃と共に白虎が突撃して、白桜が砕かれていく。
もう手足だけの破壊じゃない。動体も狙う。
センリちゃんも宇宙服は着ているはずだから、宇宙に投げ出されても死ぬことはないだろう。
センリちゃん自体に傷が付かなければもうそれでいい。
白桜は壊す。
負けを知って、できないことを知って、上には上がいると理解して……諦めて……
その瞳の輝きが色を失っても、僕はそれでも君と一緒に――
『私は! あなたと出会って知ったのです! 私の命は、私の定めた道を歩むために存るということを!』
白桜の全身が煌めきを放つ。
青い粒子と赤い粒子が混ざった……炎のような紫を纏っている……
「なにそれ、綺麗だね」
『アーティファクト【臨界の宝珠】。あなたが倒したヒューリアとアグニリスの残した遺物をアーティファクト化したものです』
「へぇ、それでどうなるの?」
『この宝玉の効果は〝存在の昇華〟。一時的にではありますが、あらゆる物の格を上げる。例えばTWに使用すればあらゆる性能を300%まで向上させます』
「知らないのかなセンリちゃん。0になにをかけても0なんだよ」
『最終学歴が中学校卒業でも算数はできるのですね』
「かっちーん」
なにが嫌って本当にバカにする気持ち一切なしで、事実だから言ってるってところだよね。
「そもそもヴォイド・ドラグーンの討伐なんて僕がいなきゃできないことじゃん。なのにセンリちゃんが決めるのっておかしいよね」
『はい。ですが、仮にこの傭兵団を抜けることになっても私は1人でSランクを目指し、そして同じようにこの依頼を受け、あなたの元に戻ってきて、同じように頼むことになるのでしょう』
「抜けるとか……言わないでよ……」
『あ、いえ、それは言葉の綾です。そんなつもりはありません。ですが、それくらいの覚悟を持って言っていると理解していただきたいのです』
「……まぁ、センリちゃんはいつだって本気だからね。冗談なんて数えるほどしか聞いたことないし、僕とゲームする時もまったく手を抜いてくれないし。でも僕だって、団長として君を護る義務がある」
『平行線、ですね……』
「うん、そうだね……」
だからこうして戦ってるわけだし。
やっぱり、何度話しても僕らの意見が一致することはなさそうだ。
結局、君には僕に負けてもらうしかない。
「じゃあ、僕が勝って終わらせるよ」
僕の使える12の式神の中で最強の式神。
クセが強いから使うのは嫌だったけど、認めるよ。
君はあの子を使うに値する人類だ。
「
『タナカさん、好きです。私はあなたを家族のように思っています』
「はぇ!?」
やば、詠唱が途切れた。
てか、センリちゃんの動きがおかしい。
朱雀に突っ込んで……自分のダメージも恐れずにそのまま前に……
あの紫のオーラのせいで機体の耐久力が上がってる。
朱雀の爆撃を耐えながら――【天空】の中に……
「まずっ」
呟いた時には、白桜は僕の目の前に空いた天空の裂け目から姿を現していた。
『【臨界の宝珠】対象変更――【
機体が纏っていた紫のオーラが青い刀に集束する。
それが、僕に向かって振り下ろされた。
二種のアーティファクトの併用……宇宙怪獣の力……六合と同等……いや、それ以上の力を感じる……
常在結界じゃ……防ぎ切れな……
『さっきの仕返しです』
そう言って、青い刀が僕の頬1ミリを撫でるように振り下ろされる。
六合が割れ、僕の頬から漏れた赤い血が月の重力の影響で上に跳ねた。
『タナカさん、私の勝ちです』
「……………………………………ズルい」
『え?』
「ズルじゃん! 盤外戦術じゃん! ていうかズルじゃん!」
『え、えっと……ごめんなさい。あのもう一回やりますか?』
「やんない!」
そう言って僕は後ろを振り向く。
やばい。にやけ顔が止まんない……
顔見られたくない……
『た、タナカさん。申し訳ございません! 機嫌を直してください! あ、あのさっきの言葉はですね、作戦でもあったのですけれど嘘というわけではなく、でも真実というには少し気恥ずかしさが勝つと言いますか。ええとだから、ええと……』
な、なんで僕より慌ててるんだこの人。
なんか逆に冷静になってきた。
「もう、わかったよ。センリちゃんの勝ちでいいよ。でも、だったらちゃんと勝ってね。僕ヴォイド・ドラグーンの討伐成功したら依頼達成率100%だから、失敗したら許さないよ」
『……かしこまりました。あなたの前座、必ず成し遂げてみせます』