名探偵コナン 〜桜下の操り人形(マリオネット)〜 作:ワンピース 夢幻の炎
ホテルの一角――大宴会場は「捜査本部」と書かれた紙で封鎖されていた。
捜査本部の外の廊下、少し奥の目につきにくい場所の廊下のソファにコナンは腰を下ろし、盗聴器の操作をする。
コナンは先程、大滝に出会った時に、服の裾にボタンシール型の盗聴器をつけていて、捜査会議の内容を盗聴する準備をしていた。
『おい、工藤!何してん?』
「静かにしろ服部!聞こえねぇだろ。
お前、メモできるか?」
『ちょお、待てや』
平次は、フロントまで小走りにメモとペンを借りてきた。
「………で…」
「…場の状況から、首吊りによる死亡と見られます」
別の刑事が続ける。
「死亡推定時刻は、午後7時前後」
コナンは、発せられた言葉を繰り返す。
それを、平次はメモ用紙に書き記した。
「足元には脚立が倒れており、それを踏み台にした可能性があります」
「被害者の脚にはアザが確認されています」
「また、胃の内容物から睡眠薬が検出されました」
「なお、現場周辺からは不審物の可能性がある燃焼残渣が発見されており、現在鑑識が調査中です」
一通りの情報共有が終わり、平蔵が捜査方針を示す。
「自殺、他殺の両面で捜査を進める。
睡眠薬については、かかりつけ医および職場関係者に確認を取れ」
会議が、終わりコナンが眼鏡を操作し、盗聴を終えた。
『整理しよか』
平次が腕を組む。
『まず――
死亡時刻は午後7時前後』
コナンが続ける。
「レセプションの最中……つまり、ほとんどの人間にアリバイがある時間だ」
『せやな』
「それに脚立」
平次が言う。
『踏み台にして首吊り……自殺に見える』
「でも、脚にアザがある」
コナンが静かに割り込む。
『踏み外した時に出来たんやないんか?』
「どうかな……」
コナンは少し考える。
「位置によるけど、事件よりも前にぶつけた可能性もあるし、無理やり押さえつけられた可能性もある」
『……!』
「それに睡眠薬」
『自殺する人間が、睡眠薬なんか飲むか?衝動的な自殺なら飲んでから首吊るのもあり得るかもしれへんけど……』
平次の言葉を引き取るようにコナンが言う。
「量とタイミング次第…」
『ほんで、あの灰や』
平次が低く言う。
『線香……やったな』
コナンはポケットから燃えかすを取り出す。
「桜の匂いがした」
しばらく沈黙。
やがて平次が口を開く。
『工藤……これ』
コナンも同時に言う。
「ただの自殺じゃない」
『ただの自殺やない』
二人の視線が交差する。
(問題は…)
「どうやって殺したか、だ」
夜の廊下の奥で、桜のライトが静かに揺れていた。