名探偵コナン 〜桜下の操り人形(マリオネット)〜   作:ワンピース 夢幻の炎

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散りゆく正義

昼過ぎ。

コナンは、まぶたを擦りながらゆっくりと上半身を起こした。

ぼんやりとした頭で部屋を見回し、ふと目に入った時計に視線を向ける。

長針と短針が示していたのは、午後二時。

 

「……えっ!? もう二時!?」

 

一瞬で眠気が吹き飛んだ。

 

コナンは慌てて隣のベッドへ身を乗り出し、眠り続けている服部の肩を揺さぶった。

 

「おいっ!服部! 起きろ、服部!」

 

『んあ……なんやねん……まだ眠いわ……』

 

「バーロ!もう午後二時だ!」

 

『……なんやてっ⁉︎』

 

コナンから時間を伝えられ、服部は慌てて飛び起きた。

身支度を整えた二人は、部屋を飛び出し、捜査本部が置かれている宴会場へと、足早に向かう。

 

ちょうど宴会場から、肩を落とし、重い足取りで出てくる警察官たちの姿が目に入った。

 

『……なんや? えらい空気が重いやないか』

 

服部が眉をひそめる。

その中に大滝の姿を見つけると、服部はすぐさま歩み寄った。

 

『大滝はん! 何があったんや? 捜査はどないなっとる?』

 

大滝は服部を見ると、わずかに表情を曇らせた。

 

『ワシも、よう分からんのや。

さっきの捜査会議で、捜査の主導が公安に移るっちゅう話があって……』

 

戸惑う大滝に、服部は食ってかかるように問い詰めた。

 

『公安やと? なんやそれ!

府警の警備部やないんか?』

 

詰め寄る服部にたじろぎながら、大滝は自分も十分に理解できていない様子で、今朝と昼に行われた捜査会議の内容を説明した。

 

『……っちゅうわけで、公安に引き継ぐことになったんや。

ワシも何が何やら……』

 

大滝の話に違和感を覚えたコナンは、公安が介入してきた理由を考え始めた。

 

(公安……国家案件……。

確かに、各国の著名人や国賓が集まる場で起きた事件だ。

だが、それだけで捜査の主導権まで移るものなのか……?)

 

顎に手を当てて考え込むコナンに、服部も同じ疑問を投げかけた。

 

『どう思う? 工藤……。

なんぼなんでも、早すぎるとは思わんか?』

 

「確かに、早すぎる…」

 

答えの出ない疑問を抱えたまま考えていても、今は何も分からない。

服部はひとまず事件そのものに意識を戻し、大滝に向き直った。

 

『それはそうと、大滝はん!

捜査はどないなったんや? なんか進展はあったんか?』

 

大滝は手帳を取り出し、捜査の進展を二人に説明し始めた。

 

『捜査の進展は、三つやな。

一つ目は、死亡時刻。

やはり、昨夜の午後七時前後でほぼ間違いないそうや。

二つ目は、現場にあった燃えかす。

成分なんかを調べたところ、この大阪未来博で販売される予定やった、桜の香りのする線香やったらしい。

三つ目は、被害者の脚にあったアザや。

あれは、死亡する前についたもんやと分かったらしい。

鑑識からの報告で、新たに分かったんは以上や。容疑者については、まだ何も上がっとらん』

 

コナンと服部は、大滝の話を頭の中で整理した。

 

(死亡推定時刻は、やはりパーティーの最中……。

何らかのトリックでアリバイを作ったのか。それとも、参加者以外の第三者が犯人なのか……)

 

服部は、現場で見つけた燃えかすについて考えを巡らせた。

 

(工藤の見つけた燃えかすは、線香やったんか……。

でも、なんでそないなもんが現場に残っとったんや?)

 

更に2人は、三つ目の情報に引っかかりを覚えていた。

 

(脚についたアザ……。

死亡する前にできた、か。

何かの手掛かりになる気がするだけど……何か、まだ、はっきりしない)

 

二人が考え込む様子を見ていた大滝は、服部の推理力に期待を込めて尋ねた。

 

『どや、平ちゃん。

何か分かるか?』

 

しかし、さすがのコナンと服部も、この情報だけでは答えを導き出せなかった。

二人が首を横に振ると、大滝は残念そうに肩を落とした。

 

『そうかぁ……。

夕方には捜査員も縮小されるらしいし、捜査の主導も公安に移る。

おやっさんも、府警に戻ることになるらしいわ……』

 

その言葉に、服部が激しく反応した。

 

『親父が!?』

 

思わず大滝に詰め寄る。

 

『事件も解決しとらんのに、府警に戻る言うんか?』

 

大滝は、何も言わず静かにうなずいた。

服部は俯いた。

脳裏に浮かんだのは、幼い頃から憧れ続けてきた父の背中だった。

どんな事件にも立ち向かい、正義を貫く警察官。

そんな父が、なぜ今、事件の捜査から離れるのか。

 

『何でや……親父……

なんでや……』

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