綾小路 in Cクラス 作:NIES
第10話:‘‘宣戦布告’’
何事もなく──────とはいかないものの、特に問題を起こす…………ことがなかったとも言えないが、とにかくオレたちは、一学期を乗り切った。
龍園が開催した勉強会によってCクラスの面々も期末試験を余裕を持って突破することが出来た。そして、事前に坂上によって伝えられていた夏季休暇中のバカンスが、今日である。
「これはこれは…………凄い迫力ですね」
「ああ、そうだな。人生で初めて見る大きさだ」
八月序盤、暑い日差しが照り付ける中、オレたちは埠頭に立っている。目の前には、学校の手配した大型客船。圧巻するほどの大きさに、オレは目を見張る。
「二週間のバカンス…………どう思います?」
「楽しみだな」
「そんなことは聞いてませんよ。何かある、そう思っているのはあなたもでしょう?」
横目で椎名を見ると、その曖昧な色を含んだ瞳が、オレを見つめてくる。確かに、この学校が何の目的もなくただ生徒を喜ばせるためだけにこんな真似をするとは考えづらい。
何か、裏の意図があるのは確定していると言っていいだろう。だが、何をするのかに関しては全く見当もつかないな。
「まぁ、何かあるだろうな」
「私としては、明日到着するという南の島のペンションで何かあるのではないかと思っています」
前方にいるAクラスの生徒が動き出し、オレたちCクラスもBクラスの後ろに続いて前へと進む。声のトーンをいつも以上に下げつつ、会話は継続したままだ。
「ペンション、か。夏だというのに室内とはな」
「まさか、南の島で鬼ごっこでもするというのですか? 私死んじゃいます」
「もしそうなら、椎名はオレが負ぶって走るさ」
そう告げると、椎名の目が光った。まるで、草食動物を見つけた肉食獣のように…………ってあれ、この説明龍園と似てるな…………
「綾小路くん、前に運動はそれなりって言ってましたよね。私を負ぶって走るなんて、随分と余裕があるじゃないですか」
「走ると言ったが、実際は歩く程度の速さだ。それでも、椎名に無駄な体力を消費させるよりマシかと思ってな」
「…………そういうことにしておいてあげます」
「ホントなんだが…………」
そんなとりとめのない会話をしながら、オレたちは船に乗り込んだ。中は事前に説明されていた通りで、様々な娯楽があり、高育ほどではないにしろ、約一週間を過ごすには十分な設備が整っていた。
プールや水着ショップから、小洒落たカフェに本屋まで、挙げればキリがないほど。それに、男子女子分かれて三人ずつの個室が用意されているため、プライベートもある。
ペンションとかどうでもいいから、ここでずっと過ごしてたまに海を眺めるだけでも有意義な夏休みに出来そうだ。
──────綾小路がアルベルトと金田と同じ部屋割りとなり、龍園と離れたことに一息ついていた頃、船内の別室では龍園が石崎と伊吹を招集し、対談を始めていた。
「──────龍園さん、話ってなんですか?」
「そうよ。あんたが態々こんな早く呼びだすなんて」
俺────龍園翔への態度の差は露骨だな。石崎は一度叩きのめしたら素直になったが、伊吹はまだ飼い慣らし甲斐があるってもんだ。
「このバカンス中、絶対ぇ何か起こる」
「何かって、何よ」
「今まで大した変化がなかったクラスポイントの、大幅変動さ」
伊吹の問に、俺は素直に答える。こんなことは、俺以外にも各クラスのリーダー格連中は気付いているであろう事実だ。
「ホントですか?!」
「第一、この学校が無償でバカンスなんて提供してくるわけがねぇ。裏で何か企んでやがるに決まってんだろ」
「クラスポイントの変動って、ヤバいんじゃないの?」
「ああ、そうだなヤバいぜ。一気にBクラスを抜くことだって可能かもしれねぇんだからな」
伊吹の予想していた答とは違うだろうが、そんなことは今どうでもいい。イベントの内容が何も分からないとはいえ、絶対に抜け穴はある。そこを突いて、全員を叩き落としてやる。
「どこを狙うの?」
「Dは四人の退学者が出てもう落ちた。狙いは甘っちょろいBクラスだ」
「一之瀬ですか?」
「ああ。六月七月の小手調べでアイツの甘さはよく分かった。養分を吸い取ってから、Aも射程圏内に捉える」
ソファに寄りかかり、俺は笑みを浮かべた。内容次第だが、綾小路の存在を今までよりも有効活用できるかもしれねぇな。
…………楽しませてくれよ、高育。
船旅二日目、南の島到着予定日。オレ、綾小路清隆は、朝食をとるため、椎名と共に船内のレストランに来ていた。
ここはブッフェではなく、メニューから品を択び注文する一般的な様式のレストランだ。それに、服装自由のためA~Dまでクラス関係なく多くの者がいる。
「どれにしましょうか」
「そうだな…………オレはハンバーグとライス大盛りにするぞ」
メニューを見ながら、椎名はうんうんと唸る。その様子を十秒ほど眺めてから、オレは口を開く。
「椎名は、自分の中のお気に入りのメニューをどこでも食べるタイプだと思っていたが、違ったか」
「そう、ですかね」
「基本いつもスパゲッティかサンドイッチを頼んでいる印象があった。ここにもあるからそれを選ぶと思ったんだ」
思ったことを口にする。これまで幾度となく彼女とご飯を共にしたが、六割から七割はそれを頼んでいた。オレの予想が外れるのは久しぶりだ。
「折角のバカンスですしね、新しい物に挑戦してみようかと思ったんです」
「ほう」
「今日は…………これにしてみます。ローストポーク丼です」
メニューを指差す椎名の指先に視線を流す。説明欄には、ヘルシーで少量もあると記載されていて、彼女には合っているかもしれないと思った。
「いいんじゃないか」
「健康は大事ですから。誰かさんにももっと意識してもらいたいですけどね」
「最近はアイスの量減らしてるぞ」
「どのくらいですか? 正直に言ってみてください」
「一日三つまでにしてる」
「少しお話ししましょうか綾小路くん」
「え…………断っていい「ん?」わけないよな…………」
オレは椎名の目から発される圧に推されながら頷いた。結局、いかに健康が大事かとアイスの食べ過ぎは良くないという説教を受け続けたせいでハンバーグが味してなかった…………
「──────龍園くん…………」
「はっ、話すのは初めてなのに俺の名前を知ってるたあ、俺は人気者だな」
俺、龍園翔の前に立っているのは、Bクラスのリーダー一之瀬とその取り巻きのモブだ。昼食を終え部屋で寝ようかと思ったら、思ってもない奇遇だぜ。
「それ、本気で言ってるのかな?」
「じゃあ、他に理由でもあるのか? 生憎、俺は何も知らねぇな」
「一学期の横暴、もうやめてくれたって解釈で良いの?」
「質問を質問で返すなよ、義務教育でもない常識だぜ」
当然、一之瀬たちに嫌がらせをしていたのはCクラスの生徒だし、命令したのは俺だ。だが、その証拠はない。いかに俺だと分かっていても、公に責めれないのがざまぁねえな。
「私は次やったら訴える気でいるから」
「なんのことだか、さっぱりだぜ」
「正々堂々やる気がないなら、私たちだって容赦しない」
どうせ覚悟も度胸もなんもねぇ、あるのは甘さと胸だけのくせによく吠えやがる。だが、ここまで来たんなら、もういいか。どうせ、これから嫌って程思い知らせる事だしな。
「一之瀬」
「何かな」
「バカンス中に起こるイベント、気付いてんだろ?」
「何となくはね」
「そうか。なら、そこでてめぇらを片す」
「…………どういう意味かな」
「こう言ってんのが分からねぇか?
ジョジョっていいですよね
一応坂柳と綾小路の対決書く予定だけどどれがいいですかね?(参考までに)
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ボコボコにする。退学じゃ!
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まぁ、軽くわからせるくらい…?
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仲良く和解。()
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坂柳が綾小路に一生気付かない