綾小路 in Cクラス   作:NIES

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第12話:密会2

 

 

無人島試験とやらが始まったのが昨日のこと。無人島の暑さにも若干慣れ始めてきて、ようやく二日目が始まる。

 

 

「──────起きろ綾小路っ! 朝だぜ!」

 

 

まだ意識が覚醒していない中、オレは誰かに肩を揺さぶられる。少しの鬱憤を抱えつつ目を開くと、目の前には朝だというのに元気に満ち溢れた目をしている石崎がいた。

 

 

「石、崎…………」

 

「おうっ! 綾小路寝覚め悪いタイプだったんだな」

 

「まだ環境に慣れてなくてな。疲れがたまってるのかもしれん」

 

 

オレはそう答えながら、体を起こす。周りを見ればまだ眠りについている者も多く、仲間がいて安心したのは内緒である。

 

 

 

 

石崎に引っ張られてテントから出ると、クラスの女子たちは既にほとんどが起きていた。今のご時世に不安ではあるが、やはり男子に比べて真面目に見えてくるな。

 

真面目な女子の代表である椎名も当然起きていて、砂浜を歩きながら優雅に鼻歌を口ずさんでいる。

 

 

 

 

 

 

 

皆でビーチバレーやBBQを楽しむと、用のない連中は船に戻る時間がやってきた。残るのは伊吹・石崎・龍園の三人だけだ。

 

オレ? スパイにされそうになったが全力で拒否って逃げて来たぞ。石崎、オレの分も頑張ってくれ。

 

 

37人仲良く教師たちのいるテントへ向かおうとしたとき、オレは龍園に呼び止められた。幸い、皆船に戻った後のことで盛り上がっていたため、注目されることはなかったが。

 

 

 

「綾小路。本当に今回の作戦、穴はねぇよな」

 

「…………ああ。ない、と思う」

 

「お前ほどの奴が、試験の穴に気付かない筈はねぇ。後で判明したら、どうなるか分かるよな?」

 

 

 

龍園の目がガチだ。もしここで言わなかったら、あとで全部バラされる。そしてオレののんびり学生ライフwith椎名の夢も同時に崩壊してしまう…………それは避けなくてはならない未来だ。

 

 

「…………えーと、少しだけある、気がしてきた」

 

「どこだ」

 

「リーダーについてだな」

 

「正当な理由がなきゃリーダー変更は不可って奴か」

 

「ああ。多分、リーダーがリタイアした場合新たなリーダーを後釜にできる。スパイを通して間接的にお前を嵌めることも理論的には可能だ」

 

 

そう、ここまで出来るやつがいるのかは不明だが、オレのように能力を隠している者がいるかもしれない。秘匿性のある試験である以上、リスクは消しておいた方がいいだろう。

 

 

「そういうことはもっと早く言いやがれ」

 

「オレも気付いたのは今日だ」

 

「…………チッ」

 

「教えてやったのにその態度か」

 

「仕方ない。俺もリタイアして最後のリーダーはお前に──────」

 

 

龍園がそう言い出した瞬間、オレの脳内に一種のドーパミンが溢れた。脳が、本能がこう叫ぶ。『絶対面倒だ。逃げちまえ』と。だからオレは、それに従ってみることにした。

 

 

「やってもら「じゃ」っておい!」

 

 

龍園がオレの肩を掴むより先に、オレの足が駆け出した。先に出発した皆の団体は遥か200mほど先、ブレーキをかけるのを想定すれば全力で走れるのは150mほど、それまでに振り切る。

 

 

 

 

 

 

頭痛を訴えて船に戻った後、試験終了後の龍園になんて言い訳をするか考えていた。お前の計画の穴教えてやったんだから勘弁してくれ。これまで協力してきたろ、夏休みをくれ。うーん、どれでも行けそうだ。

 

一番いいのはあっちから不問にしてくれると申告してくれることだが、その可能性は限りなくゼロに近い。こっちから手を打つ方が楽だろうな。

 

人のいない部屋であれこれ考え込んでいると、キィィという効果音を立ててドアが開いた。この部屋に入ってくるのは、山田か金田、どちらでも困る人物ではないと思い、オレは素直に顔を上げた。

 

 

「綾小路氏」

 

 

視線の先には、先程見たときは違い、何やら深い考えがありそうな顔をした金田が立っていた。コイツとはほぼ話したことがないが、なんだか凄く嫌な予感がしてきたぞ。

 

 

「どうした。金田」

 

「少し、二人で話したいことがあります。ここだと山田くんが来るかもしれませんし、場所を移しませんか?」

 

「それは、誰かに聞かれたら困る会話ということでいいのか」

 

「そう捉えてもらって構いません」

 

「…………分かった」

 

 

仕方なく、オレは従うことにした。断る意味もないし、どうせ暇だからな。何の話をするのかについては、更々見当もつかないが。

 

 

 

 

 

場所を人気のないカフェの奥のエリアに移し、二人でブラックコーヒーを頼んでから、本題に入る。何やら、かなり重要な話のようだ。

 

 

「本題に入りましょうか」

 

「ああ。そうしてくれると助かる」

 

「では、単刀直入に言いますね。綾小路氏、あなた本当の実力を隠してますよね?」

 

 

金田の口から放たれたのは、想像は出来たが来ないでくれと願っていた言葉だった。オレが一番恐れているのは、オレの平穏な生活に暗雲が差すことだからな。

 

 

「…………何を言っているんだ、お前は」

 

「四月最後に行った小テストの結果。皆さん注目されていませんでしたが、僕は見逃しませんでした。綾小路氏の点数は全教科六十点で統一されていたことを」

 

 

嫌なところを突かれたな。あの段階でオレに関わらず他人の点数を気にしているヤツが龍園以外にいたとは思わなかった。それに、影の薄いオレのなら尚更だ。

 

 

「偶然だ」

 

「それは無理がありますよ。ですが、そう隠そうとしなくても結構ですよ。僕は、あなたの敵ではないですから」

 

「どういう意味だ?」

 

「僕が気になっているのは、あなたと龍園氏の関係です。僕からはあえて言いませんでしたが、僕が気付いていることに彼が気付いていない筈がない」

 

 

表では出すことはなかったが、金田も龍園の腹心ということか。優秀な頭脳まで手に入れてたなら、尚更オレいらないだろ。

 

 

「既に、あなたと龍園氏は接触済みであり、あなたが無傷で登校できている、そして表では関わっていない点を鑑みれば、影の協力者になったか、若しくは龍園氏を返り討ちにできる肉体を持っていることになります」

 

 

龍園の実力を認めているから、ここまで的確な推理が可能なのか。参ったな、コイツを騙し通すことは不可能だ。

 

 

「後者の可能性は考えなかったのか」

 

「端から観察した結果、前者である確率が高いと判断しました」

 

「………正解だ。確かに、オレは今まで数回、龍園にアドバイスをしている」

 

 

敵ではない、ということは確かなはずだ、嘘はなかった。もしこれでオレの実力を周知させるようならそれは龍園との契約に反するため、アイツに訴えればいいだけ。それに、ここまでの洞察力があるのならそこまで見切っている筈だ。

 

 

「やはり、そうでしたか」

 

「こんなことを訊いて、お前に何のメリットがあるんだ」

 

「言ったでしょう、気になっただけです。安心してください、周りにバラしたりしませんから」

 

「なら安心だな」

 

 

その後は、金田に無人島試験でのルールの穴など龍園に教えてきた情報を渡してから解散となった。アイツは多分いい奴だから、きっと大丈夫なはずだ。信じるぞ、キノコ。

 

 

 




君のような活きのいいキノコは天ぷらだよ

一応坂柳と綾小路の対決書く予定だけどどれがいいですかね?(参考までに)

  • ボコボコにする。退学じゃ!
  • まぁ、軽くわからせるくらい…?
  • 仲良く和解。()
  • 坂柳が綾小路に一生気付かない
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