綾小路 in Cクラス   作:NIES

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今更ですが、忘れてた無人島試験後の各クラスのクラスポイント載せておきます

現A(葛城)クラス:無人島試験獲得P→320
                 →終了後CPT:1324

現B(一之瀬)クラス:無人島試験獲得P→85
                  →終了後CPT:746

現C(龍園)クラス:無人島試験獲得P→176
                 →終了後CPT:766

現D(平田)クラス:無人島試験獲得P→15
                 →終了後CPT:15



第15話:EASY GAME

 

 

 

 

──────約束の時間五分前。もう誰もいないデッキで、オレは一人海を眺めていた。

 

坂上からどんな話をされるのかは皆目見当もつかないが、面倒なことだけにはならないよう、普段は頼らない神に祈ってみたりする。意味があるかは分からないが。

 

 

 

「待たせてしまいましたか」

 

 

背後から近づいてきていた気配が、声を出した。そもそもこんな時間にここにくる時点で警戒はしていなかったが。

 

 

「いえ、今来たところですよ」

 

「なら良かった」

 

 

オレが手摺に寄りかかっているのを確認すると、彼も少し離れた場所で同じく体重を預ける。一体何の話が始まるんだろうか。

 

 

 

「──────学校には、もう慣れましたか」

 

「この学校の特殊な制度には驚かされましたが、もう慣れましたよ。生活態度と退学にだけ気をつければ、小中学校となんら変わりはありません」

 

 

何故オレは担任にまで心配されてるんだ…………そんなボッチに見えたか? 確かに、人間関係は少ない方かもしれないが、心外だぞ。

 

 

「小中学校ですか…………」

 

 

坂上はそこで言葉を区切ると、何かを考えるように下を向いた。

 

 

「結論から話しましょうか。私はね、あなたの成績を知っているんです。入試のね」

 

 

話を再開したかと思えば、そんな話か。ただ、一介の教師が生徒個人の成績を知れるとは思わなかったな。まあ生徒会長とかいうイレギュラーもいたわけだが。

 

 

「そうでしたか」

 

「ええ。ですから、あなたの特異性も知っている」

 

「オレは平凡なただの学生ですよ。特異性なんて持ち合わせていません」

 

「全教科で六十点を獲り、そして体力面での入試では平均以下の成績を出した。それを偶然とでもいうつもりですか?」

 

「…………どうやら隠せそうにないですね。確かに、オレは入試で故意に点数を下げました。しかし、それは下手に注目されるのが嫌だからです」

 

 

体力面での入試は兎も角としても、学力試験での点数の調整は言い逃れができない。それに、まさかそれだけでここまで詰められるとも思っていなかったんだ。

 

 

「目立つのが嫌………その考え方を否定したりはしません。そもそも、今日のこの会話で確かめたかったのはあなたが何かに困っていたりしないかというものですから」

 

「困ってること、ですか」

 

「ええ。何やら特殊な環境に身を置いているようですし、困っていることがあるのなら、少しでも助けになろうかと」

 

 

坂上のその発言を聞いて、オレは内心かなり驚いていた。教師というのが一律に坂上のような者であるわけがないが、それでもここまで生徒に寄り添う教師がいるとは。

 

 

「別に、困っていることはありませんよ。強いて言うなら、今回の試験が難しいってことくらいですかね」

 

「それは自身の力と周りとの協力で頑張ってください。ですが、本当に困ったらいつでも相談してくださいね」

 

「分かりました。もしそうなったら、頼ることにします」

 

 

そこで、オレと彼の会話は終わった。入試の成績を知られていたのだけが不安要素だが、それをネタに強請ったりしてこなくて助かったな。これでまた安寧が訪れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験開始翌日の朝七時五十分。オレは椎名と共に船内のカフェを訪れていた。理由は朝食のため、そしてもうじき送られてくる予定の優待者か否かのメールの確認のためだ。

 

グループが全部で十二、クラスが四つと考えれば各クラスに三人の優待者が用意されていることは容易に想像がつくが、それが誰かによってとるべき行動は変わる。

 

 

 

「…………どうなりますかね」

 

「さあな。運が良ければ優待者になれる、それだけだ」

 

「まぁ、誰が優待者でも結末は変わらなそうですけどね」

 

「そうだな」

 

 

椎名が言っているのは、昨日龍園が明言した作戦のことだ。八時以降にクラス全員を集め、携帯のメールをチェックする。そうすることで自クラスの優待者を把握し、あると思われる法則を暴くというものだ。

 

 

「あるなら、他のクラスには取れない戦略ですからうちが優位に立てそうですけど」

 

「ないならないで、その優待者を操って他クラスのミスを誘導するだけのこと。一之瀬のクラスくらいしか取れない作戦である上に、無人島試験で出し抜かれたアイツが法則の可能性に気付けるとは思えない」

 

 

 

一之瀬は良い奴だ。一度しか話したことはないが、それだけは分かる。だが、これはクラス間の戦争だ。結局、ズル賢い奴が勝利を掴む。

 

 

 

 

 

 

──────スマホが震える。オレと、椎名も同時に。ようやく、試験が始まる。

 

 

「…………残念。ハズレだ」

 

「どうやら私もです」

 

 

メールの内容を確認すると、厳正なる審査の結果優待者には選ばれなかったそうだ。なんか、その言い方だと優待者になれる器じゃないと言われてるみたいだ。どうでもいいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『イージーだったな。今回の試験も』

 

『そうか』

 

『俺の案に、不服はねぇよな? 割と自信作だぜ(・・・・・・・)

 

 

スマホから聞こえてくる龍園の声を聞きながら、オレはこの試験の結末を思い描いていた。それは、オレが理想としていたものだ。

 

 

『ああ。ないさ』

 

 

──────翼を手に入れたイカロスは、父ダイダロスの忠告を無視して太陽に手を伸ばし、地に堕ちた。

 

どうやら賢い龍は、時期とタイミングを見誤らなかったらしい。昨夜たまたま目にした劇場での演目を思い出しながら、オレはデッキを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員揃ったことだし、ディスカッションを始めない?」

 

 

 

正午十二時、船内三階の6号室。比較的広く用意されたこの部屋で、今まさに巳グループのグループディスカッションが始まろうとしている。

 

 

仕切っているのはBクラス・網倉麻子。一之瀬と仲の良い生徒で、成績は比較的優秀、コミュニケーション能力も高いと金田から聞いている。

 

 

「賛成です。それが、この学校の意向ですし」

 

「そうだねぇ、優待者見つけないとだしね!」

 

 

早速賛成意見を提示したのはDクラスから佐藤摩耶と王美雨。成績は確か、下の中と上の中。さて、どう出るか。

 

 

 

「…………俺たちAクラスは、話し合いには一切参加しない。それが葛城の意向だ」

 

「私は葛城康平に従うなんて言った覚えは一切ありませんがね」

 

 

空気を割るような意見をぶち込んできたのはAクラスから鬼頭隼人と森下藍。鬼頭の方は葛城とAクラスの政権を二分している坂柳の派閥だと聞いていたが、試験では従うらしい。

 

 

「一刀両断だね………あはは。じゃあ、まあ話したい人だけで話そっか!」

 

 

 

 

空気を戻そうとする網倉を他所に、オレはこのグループの優待者である(・・・・・・・・・・・・・)佐藤摩耶を一瞥してから、静かに目を閉じた。

 

 

 

 




因みに、巳グループのメンバーは以下の通りです

Aクラス
鬼頭隼人 白石飛鳥 森下藍

Bクラス
網倉麻子 姫野ユキ 森山進 山形ひな

Cクラス
綾小路清隆 木下美野里 椎名ひより

Dクラス
菊池栄太 佐藤摩耶 王美雨


PS.CPTだと既に龍園クラスはBクラスですが、クラス変動は学期始めなので、まだCクラスっていう体で進めます
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