綾小路 in Cクラス   作:NIES

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第2話:ミッション「友達を作れ」

 

 

入学式で校長先生からの有難いお言葉を頂くと、今日は解散となった。初日から授業はないらしく、もう寮へも行っていいとのことだ。

 

オレは敷地内の遊歩道を歩きながら、明日以降のことを考えている。誰と話そうか、話題は何にしようか。そもそも話しかける勇気が湧いてくるのか云々だ。

 

 

 

「──────おい。ちょっと待てよ」

 

 

俯きながら唸っていると、聞きなじみのない声が後方からした。ふっ、と振り向くと、三度目の邂逅となる赤髪ヤンキーの龍園だった。

 

 

「…………何か?」

 

「お前、坂上の解答に対して反応してたな?」

 

 

質問を質問で返すなと言い返す前に、反応を決めておかないとな。確かに、少し不自然だなとは思ったが、ここでの肯定はなんだかよくない気がする。

 

オレはオレの直感に従うことにした。

 

 

「いや、特に。変な点でもあったのか?」

 

「おかしいと思わねえか? 来月も10万くれるんならそう答えりゃいいだろ」

 

「…………言われてみれば、そうかもな」

 

「クク、白々しいな。あの含みのある顔は隣の席の女子のことでも考えてたってか?」

 

 

龍園はヘラヘラとしつつも、こちらを疑うような視線を向けてくる。オレの無実潔白を証明するためにも、彼の案に乗ることにしよう。

 

 

「────実はな。椎名は可愛いから、つい考えてしまっていた。恥ずかしいから誰にも言うなよ?」

 

「クククク、面白れぇ。いいぜ、言わないでおいてやるよ、お前の態度次第でな?」

 

「…………何を要求する気だ?」

 

「俺の後ろでイチャコラしないこったな。機嫌損ねたらうっかり口が滑るかもしれねぇ」

 

「──────善処するさ。そもそも、オレはそこまでの段階に行ける自身もないが」

 

「顔にお似合いのメンタルだな。時間返せ」

 

 

龍園はそう悪態を吐きながらどこかへ消えていった。多分、校舎裏で気に入らないヤツをボコボコにしたりしてるんだろう。あの顔と態度でコンビニでお菓子とか買ってたら笑いを堪えれないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学二日目。

 

今日こそは、誰か一人でもいいから友達を作ろう。そう決意し、オレは自室のドアを開けた。

 

 

 

「…………あ?」

 

「…………あ」

 

 

──────今日も今日とて行先不安なり。朝から龍園とばったり遭ってしまった。しかも昨日より更に目つき悪いし。え、なんだよ、どれだけオレのこと嫌いなんだよ。

 

 

「──────寝起きは目つき悪くなるタイプだったりするか?」

 

「いい加減ぶっ殺すぞお前」

 

 

元来こういう人物説を提唱していたオレだが、既に心が折れそうだ。龍園と仲良くするのは諦めて、もっといい奴を探そう。きっといるはずだ。いや、絶対いるだろ、流石に。

 

気に入らない奴に対してはすぐに殴りかかっていきそうな野犬とは距離を置きつつ、オレは学校へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────おはようございます。綾小路くん」

 

 

1-Cの教室に入ると、すぐに椎名が挨拶をしてくれた。オレのようなヤツの名前などもう忘れてしまっているかもしれないと危惧したが杞憂だったらしい。一安心だ。

 

 

「ああ、おはよう椎名。朝、早いんだな」

 

「人が来ていない時間に本を読むのが好きなので。今日は図書室もお休みですし」

 

 

椎名は肩をすくめながら言う。どうやら、彼女の趣味は読書らしい。オレも好きか嫌いかで言えば好きなので共通点を見つけることが出来て嬉しい限りだ。

 

 

「本が好きなのか。オレも、同学年では読む方だと自負しているぞ」

 

「っ! そうだったのですねっ、具体的にはどんなジャンルがお好みなのですかっ?」

 

 

オレが読書好きだと明かした瞬間、椎名の目の色が変わったぞ…………。まるで、獲物を見つけた肉食獣のような目だ。

 

 

「…………あ、ああ、ええとミステリーとか、だな。お勧めされたものは何でも読むが、好んで読むのはミステリーだ」

 

 

少したじろぎつつも、好きなジャンルは答える。読みながらトリックや犯人を解き明かす感覚は他では味わえない何とも言えない高揚感だ。癖になる。

 

 

「私もミステリーが好きです。トリックの解明などに時間を割くのが好きで一冊読むのに時間がかかってしまうのが難点ですが…………」

 

「その気持ちわかるぞ。自分だけで解き明かせることは少ないが、当てれた時の満足感と達成感は他では味わえない」

 

「…………ここまで話の合う人は初めてです。良ければ明日にでも、一緒に図書室へ行きませんか?綾小路くんの好きな本などあれば知りたいです」

 

 

ふと会話が途切れたタイミングで周りに目をやると、既にクラスの半数ほどが登校していた。そして、気付かぬうちに目の前の席にふんぞり返っている男もいる。

 

 

「──────少し、喋り過ぎたでしょうか…………?」

 

「そんなことはない。オレも、椎名と話すのは楽しいからな。また後にでもゆっくり語らおう」

 

「ええ、是非」

 

 

椎名は昨日と同じような笑みを浮かべて言う。一生揺らぐことはないと思っていた心が、一瞬跳ねたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────いくら国立の高校だからと言って、授業の内容は然程難しくはない。頭が良いとも悪いとも言えないオレでもついて行けるくらいの難易度で、不満もない。

 

だが、一つ気になる点があるとすれば…………

 

 

「──────生徒には、無関心なようですね」

 

 

隣の椎名が小さく呟く。彼女の視線の先には、中央付近の席で、机の下でスマホをいじる生徒がいた。当然教師も気付いているだろうが、注意はない。

 

 

「…………放任主義ってヤツか」

 

「にしても、違和感がありますが。放置はよくありません」

 

 

今は日本史の授業だが、担当の茶柱先生は全く注意する素振りを見せない。多くはないが数人入るし、絶対に分かると思うんだけどナ…………

 

それでも、進学校の生徒なんだからそれくらい言われなくてもしろやってことなんだろうか。

 

 

「──────まぁ、いいか。オレたちには関係のない話だ」

 

「それもそうですね。五月蠅いわけでもないですし、いつか直してくれますよ」

 

 

二人して楽観的な思考をしながら、授業を聞き流した。だが、あのままもし生徒が成長しなかったら学校はどうするんだろうか。

 

何か一定の線を引き、それを割ったら退学みたいな措置を取られたりするのかもしれないな。日々の研鑽を忘れないとオレは誓うのだった。

 

因みにこのあと椎名と昼食をとることにも成功し、見事友達一人目を達成できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────あ、おい。「お前が一方的に思ってるだけだろ(笑)」とか言うなよな。いい年した高校生が人前で泣き散らす地獄絵図を見たくないならな。

 

 




龍園…………お前、空気じゃん
でも元気出せって、五月きたら出番増えるよ、多分

綾小路くんのヒロイン誰にしよっか?

  • No.1 椎名ひより(王道)
  • No.2  伊吹澪(ダークホース)
  • No.3 龍園翔(王道)
  • No.4 アルベルトきゅん()
  • No.5 石崎大地(変化球)
  • 綾小路は恋なんてしないっ!
  • その他(希望あれば感想まで)
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