綾小路 in Cクラス 作:NIES
「最悪の試験が始まってしまいましたね」
「ああ。仲間を一人消さざるを得ない、今までで一番難しい展開だ」
クラス内投票の存在が明かされた日の放課後、オレはいつも通りひよりと下校していた。しかし、いつものような明るい雰囲気というわけにはいかない。
「………清隆くんは、誰に票を入れるか決めましたか?」
今日は月曜日、試験が土曜日に行われる為決める期間は実質四日間しかないのがネックだな。しかし、称賛票については既に三枠共に枠が埋まっている。
「称賛票については、全枠決めてある。ひより、龍園、金田だ」
「私も清隆くん、龍園くん、金田くんに入れるつもりです」
「理由を聞いても?」
「私情を抜きにしても、三人は確定ですよ。今後Aクラスを目指す上で必須ですから」
「同じだ。貴重な学力の高い生徒だ、出来るならプロテクトポイントを持ってもらいたい」
本音を言えばひよりに持って欲しいんだがな。龍園は称賛票一位はないだろし、可能性はあるが金田がライバルになる。実力で言えば同じくらいだし、クラス目線なら変わらない。
「─────私は、清隆くんに持って欲しいです。退学なんて、認めませんからね」
「そのつもりはない。それに、オレだって欲を言えばひよりに持って欲しいんだ」
そんな会話をしてから、オレたちは帰宅した。票の動き自体はひよりか、若しくは金田に聞けば分かるだろう。まだ、退学するわけには行かないからな。
『こんばんは。夜更けに何の御用でしょうか?』
『こんばんは、坂柳。夜中に悪いな、要件は今回の特別試験についてだ』
時計の針が十二時を回った頃、オレは坂柳に電話を掛けた。今回のような横暴で残酷な特別試験を、あの坂柳理事長が許すとは思えなかったからだ。
『確かに、今回の特別試験は正直異例ですね』
『おまえの父親がやるとは思え無くてな。何か知らないのか?』
『…………知っていますよ。というか、それが今回の試験に大きく関わっていますから』
『詳しく聞いていいか?』
『ええ。先月末、私の父親でありこの学校の理事長である坂柳成守が、謹慎処分を受けました』
──────なるほどな、そういうわけか。合点のいかなかったことが、急に腑に落ちる。となると、今回はオレもかなり危うい立場に立たされてるわけだ。
『代わりに来たのか。誰かが』
『名前は知りません。しかし、繰り上げではなく外部の人間ということは確かです』
『つまりまぁ、あそこからの刺客の可能性が高いな』
『ええ。通話履歴は残らないのでお伝えしますが、今回の試験において私にはあなたを退学に追い込むようにと指示が出てます』
…………本格的に、オレを連れ戻しに来たと考えるのが妥当か。あの男、綾小路篤臣は余程オレを手元に置いておきたいらしい。
『いいのか? そんなことオレに言って』
『一度勝負に負けても月に何度か手合わせしてもらっているお礼です』
『オレも暇を潰しているだけだ。しかし、オレにそれを言うということはおまえにその意思はないということでいいんだな?』
『ええ。あなたにまだ勝てていないのに、みすみす退学させるわけがありません』
『そうか。ならひとまず安心した。そっちのクラスはどうする気だ?』
『葛城くんとの勝負は五分五分なので、まだ支配は出来てません。しかし、誰を退学にするかは決めています』
『そうか。もしかしたら助力をお願いするかもしれない、引き受けてくれるか?』
『私に出来ることなら』
『有難い』
それだけ伝えると、オレは電話を切った。理事長に取って代る者が現れた以上、こちらもそれ相応の手立ては打っておくべきだろう。オレは明日からのやることリストを頭に思い浮かべながら、深い溜息を吐いた。
火曜日。放課後少しだけ慣れて来た自炊に挑戦していたところ、龍園から
『もしもし?』
『速報だ綾小路。今回の試験、面白くなるぜ?』
『というと?』
『Dクラスの高円寺から、称賛票を入れて欲しいと打診があった』
『誰だそれ』
『知らねぇのか? Dクラスで唯一能力のある奴だ。試験の結果も運動神経もずば抜けてるが、クラスの為に使う気配はない』
そんな奴がいたのか。オレももう少し、他クラスに目を向けるべきなのかもしれないな。明日になったら忘れてそうだが。
『で、なんでソイツがそんな打診を?』
『今まで好き勝手やってきたからな。危ない状況なんだとよ、Dの連中はもう這い上がるのは諦めて嫌いな奴を退学させる流れになってるらしい』
普通ならあり得ないが、Dクラスの状況を考えればわりかし妥当ではあるように思える。一番近いCクラスとも500ポイント近くの差があるしな。
『ほう。それで、見返りは?』
『──────今後
『能力は確かなのか?』
『俺が保証する。それに、夏休み中のグループ別試験で申グループの優待者を当てて終わらせたのもコイツだ』
あの試験は、法則を割り出さない限りほぼ確実に裏切り者が誤答するか、優待者が逃げ切るかの選択肢しかなかった。そんな中で、一度のディスカッション後に申グループの試験は終了した。
少なくとも、観察眼は超一流というわけだ。学力や身体能力の方も、龍園が言うからには嘘はない筈。
『タイミングをこちらで指定できるなら、悪くない提案だ』
『当然こっちでいつか指定していいってよ。ただし、本人が退学する可能性がある場合そちらの対処を優先するっていう条件付きだ』
『今回動いたということはその条件も不自然じゃないな』
『ああ。今回、他クラスへの称賛票は全て高円寺にぶち込む』
『いい判断だと思うぞ』
『それと、別件なんだが──────
──────もういい加減、価値がないと思ってな。
櫛田桔梗。夏休みの特別試験からペーパーシャッフルまでDクラスを裏切り続け、オレたちに情報を与え続けたユダ。
しかし、オレにはどうもアイツがもう価値のない存在には思えない。直接話したことはないが、まだ利用できる部分はある。
『こちらとしては元からDクラスとの信頼関係なんてないんだ、例え露呈しても大して困らない。しかし、まだあのクラスにも利用価値はある』
『どこだ? オレたちはもうすぐAクラスにだって行ける。もう裏切り者なんて必要ないだろ』
『Aクラスに行くことはゴールじゃない。正しくは三年生の最後の瞬間にAクラスでいることがゴールだ。一度倒して越えても、現Aクラスは脅威であり続ける。その時少しでも優位に立ちまわる為にも、櫛田の存在はまだ生かしておくべきだと思うぞ』
『…………確かにな。オレたちは信頼を売りにしてるわけじゃない。大して痛くないのも確かだ』
『Dクラスの退学者はアイツらに任せよう。精々、高円寺の次に誰が嫌われているのか確かめようじゃないか』
『──────お前も、中々性格腐ってんな』
『生憎と、近くに悪影響を及ぼす奴がいてな』
龍園の軽口にそう返してから、オレは電話を切る。しかし、この試験はオレを退学させる為に出来たもののようだ。面倒なことを避ける為にも、早々に新理事長とやらを叩き出したいところだな。
今は綾小路or龍園の視点しかないが、他クラスメンバー(坂柳・一之瀬・平田など)の視点を書いて欲しいか否か
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話の進みが遅くならないならいいよ
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見てみたいから話数が多くなってもOK
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いらん