綾小路 in Cクラス 作:NIES
意外とテンポの良さが大事ということだったので、入れるとしても短めという結論に至りました
──────クラス内投票当日。やはり、クラス内の雰囲気は重い。誰が退学になるのか、結末は誰も知りえない。
当然、オレも知らない。金田とひよりに票の流れを聞いてはいたが、動いた形跡もなければ話し合った雰囲気も感じられない。あるのは静寂だけだ。
「…………皆さん。席に着いてください。結果発表を行います」
暗い顔の坂上がそう宣言する。ようやく、この約一週間の全員の葛藤の答が出るんだ。一体、誰が消えるんだろうな。
「さっさとしろ」
「そうですね。では、称賛票上位三名から発表します」
龍園に急かされ、坂上は口を開く。龍園自身も、この結末を受け入れる覚悟が出来たらしい。元よりクラスメイトを駒としか見ていない奴に覚悟なんて不要かもしれないが。
「称賛票第三位は──────綾小路清隆」
ここでくるのか。しかし、思ったよりも投票されていたようだな。坂柳には彼女と
「称賛票第二位は──────椎名ひより」
ひよりが二位か。となると、一位は金田だろう。プロテクトポイントを渡すのは癪だが、実力は確かだ、今後役に立つだろう。
「称賛票第一位は──────金田悟。おめでとう」
ここまでは想定通り、良くも悪くもなるようになったと言える。が、問題は退学者の方だ。断末魔など、耳に入れたくないからな。
オレは耳に指を突っ込む準備を整えてから、坂上の言葉を待つ。
「批判票一位は──────角倉真美。あなたです」
「えっ?」
…………そこからの会話を、オレはあまり覚えていない。しかし、悲鳴などではなく、静かに現実を受け入れていた彼女の姿だけを、鮮明に覚えている。
Aクラス──────戸塚弥彦
Bクラス──────角倉真美
Cクラス──────なし
Dクラス──────外村秀雄
高育内の一年生限定の電子掲示板に書かれていた退学者に目を通す。Cクラスは、どうやったかは知らないが退学者を出さずに済んだらしい。
Aクラスからは、戸塚弥彦。聞いたことのない名前だ、しかし坂柳によって選定されたのなら、それなりの理由があると言う事だろう。
「どうやら、私たちの票は不要だったようですね」
「結果的に言えばな。が、助太刀には感謝している」
「そうですか。では、いつかはクラスの代表として戦うことを希望しますよ」
退学者のことには一切触れず、今後の自分とオレの愉悦のことのみを語る坂柳を見ながら、オレは別のことを考える。
──────もし、この試験でオレが退学になっていればオレは何を思ったのだろうか。
もう高育で過ごすことは出来ないと涙するのか、それとも権力に怒るのか。もう会うこともない友人へ、最後の言葉を残すのか。オレにも分からない。
「…………いつか、な。今は月数度の手合わせだけで勘弁してくれると有難い」
「ええ、当然ですよ。レベルの高い人と競い合うことは楽しいですし、何より自身の実力の向上に繋がりますから」
「話を変えるが、何故戸塚だったんだ?」
「葛城くんを退学させることは不可能ですし、出来ても実行はしませんでした。優秀な駒ですし、今後Bクラスなどと戦っていく上で戦力になりますから」
まるでその理由がなければ退学させていたとでもいうような言い方だ。事実、坂柳ならそうしただろうと確信できるが。
「戸塚は、そうではなかったと?」
「ええ。自身はAクラスでも最底辺の実力しか持ち合わせていないのにも関わらずDクラスなどを馬鹿にしていましたし、一々発言が不愉快でしたので。唯一好感が持てたのは一度慕った葛城くんを信頼し続けた点でしょうか」
「成程な。しかし、葛城は対策しなかったのか? 自分は安全圏にいると分かっているのなら身内を庇いそうなものだが」
「そうさせない為に批判票を橋本くんに集めると宣言しましたから。裏切っているのが私の手先である彼と葛城くんも勘づいていたでしょうからね。一芝居打ちました」
「オレが言うのもなんだが、下衆いな」
「何とでも仰ってください。私の行動原理は揺らがないので」
校舎一階の隅でそんな会話をしていると、間近の階段の上から足音が聴こえてきた。カツンカツンと静かに響かせている。
「──────やぁ、こんにちは。私は月城常成と申します、今月からこの学校の理事長代理を任されています。よろしければ職員室の場所を教えていただいても?」
踊り場から声を掛けてきたその人物の第一印象は、『掴めない』。薄い目に丁寧な口調で一見好感が持てるが、真意が一切外に出ていない。
そして、オレと坂柳は同時に悟る。この人物こそが、坂柳成守を嵌めた張本人であり、あそこからの刺客であると。
「………理事長代理は随分と方向音痴なのですね。職員室ならあっ」
すぐそこまで歩いてきた月城に皮肉を混ぜつつ職員室の位置を示そうとした坂柳。しかし、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。
──────月城が、彼女のついている杖を足で蹴り飛ばしたからだ。瞬時に身体のバランスが取れなくなり、倒れかける坂柳。オレは咄嗟に踏み込み彼女の身体を支えた。
「………故意にやるとは、中々強引なタイプのようですね」
「随分なことをなさるじゃないですか」
「ふふ、失敬失敬。足元を見ていませんでした。しかし、噂に聞いていた瞬発力と身体能力は確かなようだ」
一歩退きつつ、月城はオレたちを俯瞰して見つめる。その瞳が何を意味しているのかは、相変わらず一切読み取れない。
「坂柳さん。あなたには綾小路くんを退学させるようにと指示していた筈ですが」
「それを含め彼には伝えてあります。私があなたの言う事を聞くとでも?」
「だからですか。
…………坂上には、クラス内投票の結果確認に必ず加わり、そして理事長代理を関与させるなとお願いしておいて正解だったようだ。
理事長代理ともなれば、試験結果の改ざんなど容易だろう。念のため打っておいた策は、何とか決まってくれたらしい。
「綾小路くん。父上から伝言があります」
「………はい」
「‘‘これ以上子供のお遊びに付き合うつもりはない、帰って来い。’’だそうです」
「前も言いましたが、まだ帰る予定はありません。気長に待っていてくれと伝えてくれますか?」
「それは出来ない相談ですね。帰るつもりがないのなら、こちらで帰らせる他ありません」
「なら仕方ない。オレ個人としては気が向かないですが、物語の主人公のように権力に立ち向かってみることにします」
「そうですか。己の決断に、後悔しないようにしてください」
それから、月城は軽く坂柳に謝ると、職員室のある方向に歩いて行った。近くにある監視カメラには言及しなかったが、恐らくダミー映像に差し替えられているのであろう。
「──────さて、どうします?」
「坂柳としても、アイツは敵だよな」
「ええ。父の足元を崩した人ですし、それにあなたの敵は私の敵です」
「そうか。なら
──────アイツを叩き出すまでは、ちゃんとした協力関係を築かないか?」
「ええ。引き受けさせてもらいましょう。その代わり、その後は…………」
「ああ、分かっている。ちゃんと戦おう」
結局他のやつの視点入れないのかよと思ったそこのあなたへ
学年末特別試験で少し入れる予定です。
今は綾小路or龍園の視点しかないが、他クラスメンバー(坂柳・一之瀬・平田など)の視点を書いて欲しいか否か
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話の進みが遅くならないならいいよ
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見てみたいから話数が多くなってもOK
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いらん