綾小路 in Cクラス   作:NIES

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2年生編開始です
1年生編に比べて試験や話の展開も難しくなっていくので文字数や話数が増えるかもしれません


2年生1学期
第36話:待ち受ける試練


 

 

 

4月12日、月曜日。今日から、本格的に2年生としての授業などが始まっていくと聞いている。そんな中、オレの脳みそはまだあまり回転していない。

 

 

──────プルルルル──────プルルルル──────

 

 

ベッドの上に寝転がり布団を被ろうとするオレの意思を妨げるように、ベッドから少し離れた位置に配置してあるテーブルの上のスマホが震える。

 

なんだよもう…………うるさいなぁ。そう思いながらスマホのロック画面を見ると、時刻は8時を少し回っていた。

 

ま、まずい。昨日は確か、坂柳に言われて仕方なく夜の3時くらいまで囲碁や将棋などで遊んでいた。絶対、その所為だ。

 

 

 

 

 

 

「──────もう、遅いですよ。らしくない」

 

「すまない。ちょっと、眠かったんだ」

 

 

いつも通りではなく急いでエントランスに向かうと、少しムスッとした顔のひよりがいた。誠意を込めて謝ってから隣に並ぶ。

 

 

「夜更かしですか?」

 

「ああ。知り、いや友人と少しゲームをな」

 

「友人? 私や石崎くん以外にいるんですか?」

 

 

え、心外だ。ま、まぁ日頃のオレを見てれば友人がいないだろうと思ってしまうことは仕方のないことだが、今後は認識を改めてもらいたいな。

 

 

「すみません。事実ではないのですか?」

 

「心の中を読まないでくれるか? 実はいるんだな、これが」

 

「少し、興味がありますね。誰なのですか?」

 

 

オレと坂柳の関係は、龍園にも言っていないトップシークレットだ。だが、ひよりになら言っても特段問題はないだろう。信頼関係も築けているはずだし、怪しまれることもないだろう。

 

 

「──────一応、Aクラスの坂柳だ。前に言った昔の知人というのもあいつだな」

 

「坂柳さんですか? あの?」

 

「ああ。あのAクラスのリーダー格の坂柳だ」

 

「それは、衝撃です。まぁ清隆くんが友達だと言うのなら変に利用されることもないでしょうけど。でも夜更かしはダメですよ?」

 

「気を付ける」

 

「はい。分かればいいんです」

 

 

そんな会話をしながら、オレたちは校舎へと向かう。改めて少し気を引き締めて行かないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員、揃っていますね?」

 

 

朝、少しひよりと話しながら時間を潰していると、坂上が教室に入ってきた。1年次と変わったことと言えば授業のデジタル化や、席替えが行われたことくらいだが、1、2時間目の授業がないことを鑑みれば、何が起こるのかは察しが付く。

 

 

「最初に、皆さん携帯を出してください。学校のホームページから、『Over All Ability』というアプリをインストールしてもらいます」

 

 

直訳すれば『総合的な能力』か。坂上に言われた通り、アプリをインストールする。開けば案内が開始され、簡単だったためすぐに初期設定を終えることができた。

 

 

「案内通りに進めてください。このアプリには全学年全生徒の情報が入っています。学年→クラスの順で絞れば2-Bの欄も見つかるでしょう。まずは自身のデータを見てみてください」

 

 

 

2-B 綾小路 清隆(あやのこうじ きよたか)

1年次成績

学力   ───B(74)

身体能力 ───C+(57)

機転思考力───C-(48)

社会貢献性───B(70)

総合   ───B-(61)

 

 

 

「なんか俺のステータスみたいなの出てるんだけど!」

 

 

完全ランダムな席替えでオレの前の席に来た石崎がそう言って声を上げる。しかし、その例えに同意する者は多いようで小宮や近藤は深く頷いていた。

 

 

「これは生徒会長である『南雲雅』の発案が採用され、皆さんの成績を可視化しデータに落とし込んだものです。察しのついている方もいるでしょうが評価はA~EまでありAに近い程優秀です。今は1年生次のものですが、2年生からは毎月1日に更新されます」

 

 

なるほど、学校に見せている評価がこれに反映されるわけか。なら、納得だ。実際の能力値をこれだけで測ることはできないが、参考程度にはなるだろう。

 

ひよりや龍園はどうだろうか。試しに見てみるか。

 

 

 

2-B 椎名 ひより(しいな ひより)

1年次成績

学力   ───A(87)

身体能力 ───D(29)

機転思考力───C-(42)

社会貢献性───B+(76)

総合   ───C+(56)

 

 

はぁぁぁぁ? ひよりが平均少し上だぁ? 舐め腐った評価してんじゃねぇぞ高育。おい責任者呼べ責任者。誰だ、これ評価したの。なぁ、出て来いよぉ!

 

ひよりは存在するだけで空気を浄化するから空気洗浄機と同じ効力を持ってるし、可愛いから存在してるだけでクラスの雰囲気を良くするんだよ! それを評価項目に入れないで何が『総合的な能力』だ、たわけ!

 

 

 

2-B 龍園 翔(りゅうえん かける)

1年次成績

学力   ───C+(60)

身体能力 ───B+(75)

機転思考力───B+(77)

社会貢献性───E+(20)

総合   ───B-(63)

 

 

 

え? オレ龍園に総合で負けたのか? マジですか? もっと本気出せば良かったな。いや本気出せば学力A+行けますが? 

 

 

「────済んだようですね。では、新学期早々ではありますが、特別試験の内容を説明したいと思います。今回の内容は、簡単に言ってしまえば1年生と2年生がペアを組んで行うものです」

 

 

今までの特別試験は同学年で競い合うものがほとんどだったために多くの者が驚いているように見受けられた。気持ちは分からないでもないが。

 

 

「驚いているようですが、何も不自然なことではありません。社会に出れば歳の違う人とも協力したり、競い合う必要が出てきます。これはその練習と思うことです」

 

 

それから黒板のあった位置に設置されている大型モニターに特別試験の概要と細かい説明が映された。かなり大掛かりな試験だが、内容自体はそこまで難しいものじゃないな。

 

 

 

名称:1・2年合同ペア筆記試験

 

〈ルール〉

・1年生1名と2年生1名がペアを組み行う。互いにクラスは関係なく組んで良い。

 

・ペアの申請はOAAを通して行うことが可能。1日1度までだが、許諾されなかった場合24時に再度申請が可能になる。

 

・1度許諾されたペアは以降如何なる理由があろうと解除することは認められない。

 

・ペアが決定した2名は翌朝の8時からOAA上で確認することが可能。相手が誰かは秘匿される。

 

・ペアが決定している生徒にペアの申請を行うことは不可能とし、これは8時にOAA上でペア状況が確認できるようになって以降から有効とする。

 

・期限までにペアを組めなかった生徒は試験当日に学校側がランダムで決定する。またこのとき合計点数から5%マイナスした値を結果とする。

 

・ペアを組めなかった生徒は当人の合計点数の2倍から5%マイナスした値を結果とする。

 

 

〈学年別におけるクラスの勝敗〉

・クラスとそのペア全員の点数から導き出す平均点で競う。

 

・平均点が高い順から『50』『30』『10』『0』クラスポイントを得る。

 

 

〈個人の勝敗〉

・ペアとの合計点数で採点する。

 

・上位5組に対して各10万プライベートポイントを特別報酬として譲渡

 

・上位3割の組に対して各1万プライベートポイントを特別報酬として譲渡(上位5組とは別換算)

 

 

〈ペナルティ〉

・ペアの合計点数が500点以下の場合、2年生は退学処分、1年生は3か月間のプライベートポイントの振り込み停止処分とする。

 

・意図的に問題を間違える等を行い点数を調整する、またはそれら強要する言動が確認された場合は学年関係なく退学処分とする。

 

 

〈学力別の点数予測表〉

 

学力A 400点前後

学力B 350点前後

学力C 250~300点

学力D 200~250点

学力E 150~200点

 

 

「学力の低い生徒でも点数は最低限獲れるようになっていますが、油断は禁物です。以上で四月末に行われる試験の説明は終わりです。それでは」

 

 

教室を出て行く坂上や今回の試験に関する大まかな行動理念を説明する龍園を他所に、オレは今回の試験を確実に乗り切る方法を脳内で模索していた。

 

 

 




2年生編を読み返すことにしたんですが、何回読んでも情報量が多い………
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