FILE 01 — CAMERA ACTIVE
【REC ●】
Battery : 92%
Signal : STABLE
Crew : 4
Risk level : UNKNOWN
映像が揺れる。白い光。蛍光灯。金属音。
これは、走行音?
▶︎飛び起きる。
▶︎飛び起きない。
Enter▶︎飛び起きる。
【 電車内 】
窓の外は暗い。
トンネルなのか、夜なのか判別できない。
名札が視界に映る《Crew4》
此処に乗客はいないのか?
いや――いる?
突然、顔が近づく。
レンズいっぱいに少女の笑顔。
「っと、カメラさん起きたんですね!」
突如の事に、驚いてカメラを落としてしまう。
だが、カメラが地面に落ちることはなかった。
「これは大切な物なので落としてはいけないよ?」
取ってくれた少女に詰められる。
少女にとってカメラは、途轍もなく大切な物らしい。
と、少女の後ろから男が出てきた。Crew2?。
「なんかあったか。って起きてたのかお前。」
『貴方達は?』
「俺たちは…「探索チーム《ラストログ》でーす!」ってお前被せんじゃねぇ!」
どうやら、自分は何かに巻き込まれたようだ。
直近の記憶が全くない。
「貴方は、本日の撮影担当さんは新人カメラマンさんですが、何か異変がありましたか?」
少女がレンズを覗き込む。
名札が揺れる。
《Crew1》
「もしかして緊張してます?」
「大丈夫大丈夫!死ぬときは一瞬なんで!」
少女の後に続くように、後ろから男の声。
こっちはCrew3。
「お前ら、縁起でもねぇこと言うな」
笑い声がする。何だこの場所は?
Crew1がくるりと回る。
「コレ撮れてますか?」
電車内を映すよう促してくる。
コレを撮れば良いのだろうか?
カメラに視界の端に映ったソレを写す。
・装備ケース
・回収バッグ
・簡易ライト
・スクラップ回収ツール
そして。
床に固定された黒い箱。
企業ロゴ。
【PROPERTY OF RECOVERY DIVISION】
「私達はこの会社に雇われてる身なんですよ。で、私達ちょっと悪い事いっぱいしてきたんで、色んなスポットを巡って既定の金額を稼がないと…こう。」
Crew1は首を掻き切るジェスチャーをする。
…空気が重くなったから本当のことらしい。
「まぁ…着いてから色々説明するんで、今日の行き先決めちゃいますか!」
Crew1が運転席を指差す。
外。
闇のようなテレビに映像が流れる。
【SPOT : N-13 】
【SPOT : N-16 】
「スポットN-13とN-16!」
「どっちも当たりだね。今回は未知資源とスクラップ、あと化け物の痕跡を集められたら――」
Crew1とCrew3は親指を立てる。
満面の笑み。
「「上場!!」」
Crew2が吹き出す。
「まず生還しろ。あと、N-13で良いな?16は危険すぎる。」
――何十分後
電車が減速する。
金属が軋む。
ライトが一瞬暗転。
【WARNING】
ノイズ。
画面に横線。
音声が歪む。
「新人さん、降りたらまず周囲撮ってくださいね!」
彼女に向かって親指を立ててジェスチャーをする。
「前のカメラマンさん、最初それ忘れて――」
言葉が止まる。
一瞬。
空気が固まる。
後ろの男が咳払い。
「Crew1?」
「……あ、うん!」
笑顔を作り直す。
少しだけ硬い。
電車が停止する。
Crew達が防護服を着る。
ドアが開く。
外。
霧。
コンクリート。
終わりのない通路。
蛍光灯が途中で途切れている。
【SPOT : N-13 】
【RISC Level :safe 】
誰も降りない。
数秒。
沈黙。
ユイが振り向く。
小声。
「……カメラさん」
レンズを軽く叩く。
「ちゃんと、最後まで
背後。
電車の奥。
誰もいないはずの車両。
一瞬。
座席の間に――
誰かが座っている気がした。
カメラがそちらへ向く前に。
Crew1が外へ飛び出す。
「よーし探索開始!!」
安全に今日も、全員降車できたらしい。
最後に。
カメラが振り返る。
やはり何も映っていない。
電車のドアが閉まる。
電車は――動かない。
END FILE 01