「ただいまー」
「おかえりなさい、イチカさん。……今日は遅かったですね」
「ゲヘナの温泉開発部がこっちでやらかしたんすよ……よりによって聖堂付近を爆破して……」
「お疲れ様です、よく頑張りましたね」
「……うん」
最近、家に帰ってから彼に撫でられるのが日課になってきている。気がする。
風楽くんはあまり外に出ないから、私が付き添いに鳴ることもある。……時折ツルギ先輩と会ったりしてるけど、何を話してるんだろう。
「風楽くん、少し聞きたいことが──」
「まずは手を洗いましょう、イチカさん。お風呂も湧いていますから、入っちゃってください」
「あ……うん、ありがとう」
促されるまま、手を洗ってお風呂に入る。シャワーを浴びても、お風呂でぶくぶく沈んでも、何か引っかかる。私の考えすぎなのか、この違和感が当たっているのかわからないが、どうにもムズムズして仕方がない。
「……はぁ」
思わず、ため息が漏れた。
うん、上がろう。少し冷たいシャワーを浴びて、さっぱりしてから考えよう。
外には風楽くんも居るみたいだし、大丈夫だ。
「風楽くーん、上がるっす……ん?風楽くん?」
「……え、イチカ、さん?」
あれ?外には風楽くんがいる。……ん?
あ。
私、いま、はだ、か
「あっ、ちょまっtいったぁぁ!?」
「ちょ、お風呂場で慌てたら転んじゃ──やばっ」
私がお風呂場で転んでしまって、私の裸を見て動揺した風楽くんも、慌てて転んで──
「……あ……その……えっと……」
「……あう……」
なんとか、頭を強打することは防げたらしい。今、私は風楽くんに抱きしめられている。
……抱きしめられている。
裸で、だ。
「……ふう、らくん」
「……ハイ」
か細っ。
「私、きにして、ないっすから……ね?」
「ア、ソノ、エット、トッテモヤワラカクテ、ソノ、アリガトウゴザイマス」
「……すけべ」
「不可抗力!!!!!!!!!!!」
・・・・・
「……」
「土下座まではしなくていいっすよ?その、風楽くんが居たってわかっててお風呂場から出ようとした私のせいっすから」
「イチカさんを押し倒した俺のせいです誠に申し訳ございませんでしたこの命1つで足りるでしょうか」
「やめてください!?!?!?」
着替え終わって、ご飯を食べ終えてから土下座しかしていなかった風楽くんをなんとか宥めて、今、とても気まずい状況になっている。
「……セクハラって、死刑ですかね」
「そんなわけないじゃないっすか!?……いや、後輩がそういうのに耐性がない子だった気が……」
「わかりました、その子のところに行って懺悔してきます」
「やめてください!?あと懺悔するならシスターフッドっすよ!?」
「聖職に就いている子たちにこんなの聞かせられるか!」
「いや、私は許してるから!?だから止まって!?」
「はい」
「うわ急に静かになった」
はぁ、お風呂に入ってゆっくりしてたのに、朝よりも疲れた気がする……。
「その、イチカさん」
「うん」
「本当にごめんなさい」
「大丈夫っすよ。……さっき風楽くんが言ってたみたいに不可抗力だったし……私も、色々とアレだったから」
「はは……」
「……風楽くん」
「どうしました?」
「その、さっきからちらちら……」
「……土下座で勘弁してください」
「いやだから怒ってないっすからね!?男の子がそういったことに興味が湧くのは、ミネ団長の話で知ってるし、その、全然見ても触ってもいいっすから……!」
「へ?」
「……あっ」
「……まあ、心に留め置くだけにしておきますね」