三原暁は生きたいだけなんです   作:ヤミライ

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誤字報告、ありがとうございました。大変助かります。

追記(2026/03/21/18:03)
めちゃくちゃタイトルつけずに投稿していました!!!お恥ずかしい………すみません………


やれる事

めちゃくちゃ夢小説っぽいシチュエーションをやり遂げた後。2人でこの状況をどうするかを考えていた。

 

 

 

「でも今の状態じゃ、なにができるか……。2人でかかっても制圧できるようなやつじゃないだろうし、浅倉は。」

 

 

城戸「そう、だな………。」

 

 

 

城戸はずっと、浅倉の隣に座らされている少女の方を見ている。少女の見た目を見るに、まだ幼稚園か小学生ぐらいだろう。こんなことに巻き込まれて、可哀想に…

 

 

 

城戸「…………ぁ、」

 

 

 

「?、城戸、どうかしたか…?」

 

 

城戸「その、三原。ちょっと手伝ってくれ。」

 

 

「はい?」

 

 

 

俺が城戸と同じ向きを向くと、たくさん並べられてるぬいぐるみが目に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【NoSIDE】

 

 

こんなことになってから一体何分が経過しただろう。

 

 

 

はやくおうちにかえりたい、そんなことを想いながら、少女は静かに涙を流していた。

 

 

騒ぎ立てれば殺されるだろう、彼女はそう本能で感じ取っているのかもしれない。

 

 

だが、精神の発達してない少女にとって、この状況はとても酷だ。いつ壊れてもおかしくない。

 

 

 

 

そんなとき、バリケードに使われた椅子の影から何かが見えた。

 

 

 

かわいい、かわいい、ぬいぐるみが2体。

 

 

それぞれ別の椅子の足からひょっこりと顔を出して、2体が出会い、わちゃわちゃと戯れ合っている。

 

 

 

そんな可愛い小さな寸劇に、少女の心は少しでも癒された。

 

 

 

ぬいぐるみの1体を動かしていた男、城戸真司。

彼はこの状況をものともしないような笑顔で、口パクで何かを伝えようとしていた。

 

 

その言葉は、まだ小さい少女にも理解できた。

 

 

 

 

 

『が ん ば れ !』

 

 

 

 

 

その言葉を受けた少女は、笑顔で頷いた。

 

 

このどうしようもない状況がなにか変わったわけではないが、少女は一筋の光を見出せたような気になった。

 

 

その様子を見た城戸真司も、三原暁も笑顔になった。絶対助けると、強く思いながら。

 

 

 

そんな中、浅倉威に動きがあった。

 

 

彼はテーブルに無造作に置かれたケータイを手に取る。先程、連絡用にと警察が入れてきたものだ。

 

 

 

浅倉「浅倉だ、要求がある。弁護士の北岡秀一を連れてこい。」

 

 

城戸「えっ…!?」

 

 

「…北岡、さん、?」

 

 

 

北岡秀一。北岡弁護士事務所という事務所を開いており、浅倉の弁護を担当した、黒を白にしてしまうという、自称スーパー弁護士。

 

 

彼が担当した裁判は必ず無罪になるなど言われているが、浅倉の場合は例外だった。

というのも、浅倉がやらかした罪が重すぎるもので、北岡の手でも、無期懲役から懲役10年にするのがいっぱいいっぱいだった。

 

 

無期懲役からそこまで縮めることですら凄いことなのに、浅倉は無罪でないことに腹を立て、逆恨みしているのだ。

 

 

 

ちなみに、弁護するまでの過程で、三原暁は北岡秀一と出会って話をしているが、もちろんそのことを彼は覚えていない。

 

 

 

すると、城戸のガラケーになにか連絡が入った。城戸が勤めてる会社、『OREジャーナル』の編集長、大久保大介からだ。

 

 

 

城戸「!編集長……」

 

 

「城戸、どうかしたか、?」

 

 

城戸「えっと、これ」

 

 

 

そう言ってメールの画面を暁に見せる。その画面にはこう書かれてあった。

 

 

 

『大久保だ。

 今から警察に全面協力する。

 中の様子を知らせろ。

 人質の人数と位置を正確に。

 人質のためにがんばれ!!』

 

 

 

それはつまり中の写真を撮ってこい、ということ。人数と位置が正確にわかれば、警察も動きやすくなるのだろう。

なにをすればいいかわかってからの城戸の行動は早かった。

 

 

持っていたぬいぐるみを暁に預けて、念のため暁に隠れているように促す。

 

 

自分はガラケーをゆっくり持ち上げ、カメラに浅倉と人質たちが映るように調整する。

あとは写真を撮って編集長に送ればミッションクリア。

 

 

 

………しかし、そんな簡単に物事は進まない。

 

 

 

《ハイ、チーズ!》

 

 

 

気の抜けた音声と、カシャッ、という音がファミレス内に響いた。静かで緊張が走るこの状況で音が鳴ったら、もちろん他の人たちはその音へ目線を向けるだろう。城戸は背筋が凍るのを感じた。

 

 

「(城戸のバカアァァァァ!!!!!汗汗)」

 

 

それは暁も例外というわけでもなく、おそらく今この場所にいる人たちの中で一番焦っている。城戸には申し訳ないが、隠れていて心底良かったと思った。

 

 

浅倉も気づかないわけがなく、音の発生源に拳銃を向ける。

そのあとすぐさま城戸と距離を詰め、顔へ銃口を突きつける。銃を突きつけられた城戸は恐怖で固まってしまう。

 

 

が、しかし、指だけは動かせていた。親指だけで操作して、撮った写真を編集長に送ることができた。

 

 

それを暁に伝えるように、ガラケーを持っている手とは反対の手でサムズアップのハンドサインをした。

 

 

「(よ、かったあ…………。)」

 

 

後ろで城戸が殴られている音を聞いて心臓が跳ねるのを感じながら彼は考える。

 

 

正直、暁の頭ではもうなにかを思いつくことはできない。

 

 

脱獄犯が自分が来ている店に立て籠っている。これだけでもかなり非日常な出来事なのに、さらに彼は記憶喪失だ。彼からしてみたら、昔にタイムスリップしたような感覚だろう。慣れない世界だというのにこんなことに巻き込まれて、彼の頭はパンク寸前だった。

 

 

それでも、暁は頑張って、なにかしようとはしないと、と思った。

 

 

 

 

「(城戸もあっちに行った、自由に動けるのは俺だけ……。人質を解放しようにも、出入り口と集められているところは遠い………。)」

 

 

??「おい」

 

 

 

「(この人形で気を引いて……いやそれでもダメだ、すぐバレるし俺も捕まる可能性の方が高い。)」

 

 

??「おい」

 

 

 

「(うーーーー頭硬いのが悔しい!!捻った考え方とか今までできたことなかったしなあ……)」

 

 

??「……おいテメェ、」

 

 

「ちょっと待ってね今考え事してるから、」

 

 

??「おい」

 

 

「だから今考え事してんの!!ちょっと待つということができないのかおま・・・」

 

 

 

さっきまで俯いて考えていたから声だけ聞こえている状態だった。しかし焦りからか、ついキレてしまい、勢いのまま顔を上げた。しかし、すぐさま後悔することになる。

 

 

 

 

目の前には、浅倉威がいる。

 

 

 

 

「………………………」

 

 

浅倉「………………………」

 

 

 

静寂が訪れる。とてもとても、重い静寂が。

 

ちらり、と暁は城戸がいる方向へ目を向ける。目に映ったのは、かなり焦った表情をした、城戸含めた人質たちだった。

 

 

 

「…………………………………」

 

 

暁は目を擦ったあと、もう一度恐る恐る浅倉へ目を向ける。幻覚だろうと思ったみたいだ。いや、思い込みたかっただけだろう。

 

 

 

浅倉「…………………………………」

 

 

もちろん幻覚なわけなかった。さらに心なしか、先ほどよりもイラついているように見える。

 

 

 

 

「…………コンニチハ!トリアエズオチツイテハナシヲs」

 

 

浅倉「 」(ドカッッ)

 

 

「ああああああ可愛いお人形がぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

なんと彼は気が狂ったのか、まだ手に持っていた人形を自分の顔の前に持ってきて、裏声で話し始めた。少し考えれば、そんなことをすれば、浅倉をさらにイラつかせるのはわかるだろうに。

 

 

案の定浅倉はおちょくられてると感じて、イライラのままに暁が持っていた人形を蹴り飛ばした。

 

 

 

「お前さんあんなに可愛いお人形さんをよく蹴れr 浅倉「黙れ」(カチャ) ッス、ハイ、スンマセン」

 

 

 

なんて情けないのだろうか。自分から強気に出たのに、拳銃を向けられるとすぐに萎縮してしまってプルプル震えている。

 

 

 

浅倉「いつからいた。」

 

「サイショカラデス……」

 

 

浅倉「今までどこにいた。」

 

「トイレデチョウトカクトウシテマシタ………」

 

 

浅倉「外部との連絡は。」

 

「マッタクモッテトッテイマセン………」

 

 

浅倉「嘘ついてたら脳天ぶち抜く。」

 

「ニルナリヤクナリコロスナリスキニシテクダサイ…………」

 

 

浅倉「それでいい。」(ガシッ)

 

「ヘァッ??」

 

一通り尋問(?)が終わり、暁は荒々しく腕を掴まれて素っ頓狂な声を出し、流れるように人質たちがいるところへ放り投げられる。

 

 

「わ゛ーーッッ!?!?汗」

 

 

城戸「ちょっ、みは、グヘッッ!」

 

 

このままだと自分みたいにバリケードにダイブしてしまうと感じた城戸は、暁を受け止めようとしたが……

……勢いに負けて一緒に倒れてしまった。

だが幸いに、城戸が受け止めようとしてくれたおかげで、暁は怪我することはなかった。

 

 

「ああごめん城戸!!大丈夫か!?汗」

 

 

城戸「だ、大丈夫、だ」

 

 

いててと呟きながら、打ちつけた背中をさすり城戸は答える。

暁も「悪い、ほんっとうに悪い」と必死に謝りながら、城戸と一緒になって背中をさすってあげていた。

 

 

 

緊張が走っていたファミレス内は、暁たちのまるでコントのようなやりとりによって、少し緊張がほぐれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅倉「……………」

 

 

謎の視線を向ける浅倉威に、三原暁は気づいていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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