溶岩の槍が一直線に走る。
速い。
回避不能。
「ルフィ!!」
エースが叫ぶ。
ルフィは振り返る。
その瞬間。
エースの身体が前に出る。
炎が盾になる。
衝突。
轟音。
時間が止まる。
溶岩がエースの胸を貫いた。
赤犬の瞳が揺れない。
「甘さが、死を呼ぶ」
エースの口から血が零れる。
だが。
その炎は消えない。
「……守るって、決めたんだ」
ルフィの目が見開かれる。
「兄貴……」
オルディーニスの覇王色が震える。
幹部たちの空気が変わる。
怒りではない。
覚悟。
その瞬間。
遠方から巨大な衝撃が走る。
「グララララ……」
大気が割れる。
海が傾く。
現れたのは――
エドワード・ニューゲート。
白ひげ。
薙刀を振り上げる。
「息子に手ぇ出すんじゃねェ」
空間が砕ける。
地震の衝撃が赤犬を直撃。
溶岩が弾け飛ぶ。
戦場は完全に崩壊した。
白ひげが前線に立ち、 アトランティスが側面を制圧。
兄弟が中央で踏みとどまる。
赤犬は血を吐きながらも立つ。
だが理解していた。
この戦争は、もう勝てない。
勝っても、世界が割れる。
背後ではセンゴクが歯を食いしばる。
センゴクは決断を迫られる。
これ以上続ければ、
海軍は崩壊する。
「……全軍、撤退準備」
その声は重かった。
赤犬は睨みつける。
「終わらせんぞ」
だが白ひげが笑う。
「終わらせるのは、時代だ」
その言葉。
戦場が止まる。
戦争は、終わった。
だが勝者はいない。
エースは倒れたまま。
ルフィが叫ぶ。
ヴィーナスが必死に治癒を施す。
炎は、まだ消えていない。
微弱だが、燃えている。
オルディーニスが静かに言う。
「王は死なん」
赤犬は軍艦へ戻る。
その背中に迷いはない。
だが。
世界政府は理解した。
アトランティスは排除対象ではない。
対等な脅威だ。
新聞が世界を駆け巡る。
“マリンフォード戦争、未決着”
“海軍撤退”
“新勢力、国家級海賊団”
そして、ある一文。
「消された王、再臨」
世界は三極化する。
海軍。 四皇。 そしてアトランティス。
その中心にいるのは、
生き延びた炎。
頂上戦争。
それは海軍と白ひげ海賊団の戦いとして記録されている。
だがそれは“表”の話だ。
裏では、もう一つの戦争が起きていた。
処刑台に立たされた男。
ポートガス・D・エース。
その血は二重の意味を持っていた。
“D”の血。
そして――
海王ネレウスの血。
世界政府は知らなかった。
エースがアトランティス王家の甥であることを。
ネレウスは戦場にいた。
海震が起きた瞬間、最前線に立っていた。
だが同時に、もう一つの異変が起きていた。
マリンフォード後方。
政府専用港。
そこに降り立ったのは、黒スーツの集団。
CP0。
通称イージス0。
天竜人直属。
「七武海の裏切りを想定しろ」
その命令と同時に、彼らは戦場の“裏制圧”を開始した。
七武海もまた、政府側の切り札だった。
ドンキホーテ・ドフラミンゴ。
ボア・ハンコック。
ジュラキュール・ミホーク。
ゲッコー・モリア。
バーソロミュー・クマ。
彼らが自由に動けば、均衡は崩れる。
だが――
それを止めた存在がいた。
空間が裂ける。
橙色の炎が灯る。
そこに立っていたのは、
沢田綱吉。
若き裏社会の帝王。
彼はこの戦争を“許可”していなかった。
理由は一つ。
ルージュ。
ポートガス・D・ルージュ。
あの日、彼女は命を懸けて少年を逃がした。
政府の粛清部隊に囲まれた綱吉を。
自分は身重でありながら。
「生きなさい」
それが最後の言葉。
綱吉は覚えている。
だからこの戦争を傍観しない。
CP0が動いた瞬間、ボンゴレも動いた。
「止めろ」
ツナの一言で、
獄寺隼人が爆炎を放つ。
山本武が斬撃で封鎖。
雲雀恭弥が単騎でCP0を圧倒。
イージス0は理解する。
「これは海軍の戦争ではない」
裏の帝王が介入している。
七武海もまた、異変を察する。
ドフラミンゴが笑う。
「フッフッフ……面白い」
だが彼も動けない。
背後に、橙色の炎の圧がある。
ミホークは剣を構えたまま止まる。
「無益な斬り合いは好まん」
ハンコックは静観。
結果。
七武海は戦場の中心に深く介入できなかった。
CP0はボンゴレに抑え込まれた。
その裏で。
ネレウスは海を割る。
サカズキの溶岩が海を焼いた瞬間。
ネレウスは最前線に出た。
地殻支配。
覇王の圧。
王の格。
「エースは返す」
その言葉は宣言だった。
エースは処刑台で感じていた。
二つの守り。
叔父の海。
そして見えない炎。
ツナの炎だ。
ルフィが駆け上がる。
モンキー・D・ルフィ。
兄を救うために。
だがあの瞬間。
赤犬の拳が迫る。
海が割れる。
ネレウスの一撃。
同時に橙色の炎が軌道を逸らす。
ツナの炎。
二人の“王格”が干渉し、未来を変えた。
エースは生き残った。
世界政府は混乱する。
「なぜCP0が機能していない?」
答えは一つ。
裏社会が動いたからだ。
戦争終結後。
五老星は報告を受ける。
「ボンゴレの関与、確定」
彼らは理解する。
海軍の正義。
海賊の野望。
そのどちらにも属さない第三勢力が存在することを。
ネレウスはエースに言った。
「お前は王の甥だ」
エースは笑った。
「だから何だ」
「血は選択だ」
エースは答える。
「俺は炎だ」
その炎の奥に、黄金が混じる。
戦争を経て覚醒した力。
一方、ツナは黒塔で呟く。
「借りは返した」
だがそれで終わりではない。
黒ひげが動く。
マーシャル・D・ティーチ。
均衡を壊す男。
「ゼハハハ……王も帝王も、まとめて喰う」
六極時代が始まる。
海王ネレウス。 炎帝エース(王の甥)。 自由の解放者ルフィ。 新たな四皇黒ひげ。 正義の支配者サカズキ。 帝王ツナ。
そして世界政府は気づく。
自分たちが“中心”ではなくなったことに。
頂上戦争は終わった。
だがそれは序章に過ぎない。
王の血。
母の恩。
炎の継承。
裏の勢力。
すべてが交錯し、世界は次の局面へ進む。
次は――