頂上戦争   作:ミカ

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裏世界の帝王の追憶~帝王と王~

 

これは――

 

**王ネレウスと、裏世界の帝王・綱吉の会合。**

 

---

 

# 王と帝王の会合

 

場所は海図に存在しない島。

 

霧に包まれ、永久磁針も狂う。

 

その中央に古い石造りの円卓があった。

 

先に座っていたのは、海の王。

 

ネレウス。

 

戦争を生き延びた男。

 

海賊でも海兵でもない。

 

均衡を見続けてきた“王”。

 

その対面に現れたのが、

 

ボンゴレ十代目――

沢田綱吉。

 

裏世界の帝王。

 

世界政府を敵に回しながら、

 

闇の経済と情報網を掌握する男。

 

二人の視線が交差する。

 

空気が軋む。

 

---

 

 

 

「久しいな、帝王」

 

ネレウスが先に口を開く。

 

「王と呼ばれるのは、あなたの方だ」

 

綱吉の声は静かだが、揺らがない。

 

互いに一歩も退かぬ存在。

 

一方は海の均衡を守る王。

 

一方は裏世界を支配する帝王。

 

目的は同じ。

 

方法が違う。

 

---

 

 

 

やがて、ネレウスが言う。

 

「……あいつに借りがあるな」

 

その名は出さない。

 

だが二人には分かっている。

 

ポートガス・D・ルージュ。

 

綱吉の命を救った女。

 

ネレウスの妹。

 

場の空気がわずかに変わる。

 

「守れなかった」

 

ネレウスが低く言う。

 

王でありながら、

 

妹一人救えなかった。

 

その後悔。

 

綱吉は首を振る。

 

「あなたは、彼女の選択を尊重した」

 

「結果は同じだ」

 

「違う」

 

帝王の目が、まっすぐ王を見る。

 

「彼女は守られたのではない。戦い抜いた」

 

その言葉は、肯定だった。

 

---

 

 

 

「炎は生きている」

 

ネレウスが言う。

 

甥――

ポートガス・D・エース。

 

頂上戦争を越え、

 

なお燃える炎。

 

「自由にさせる。それが誓いだ」

 

綱吉の答えは即答だった。

 

「だが世界は動く」

 

ネレウスは続ける。

 

黒ひげが四皇に座し、

 

海は再び揺れる。

 

均衡は崩れかけている。

 

「だからこその会合だ」

 

綱吉は円卓に手を置く。

 

「あなたは表の均衡を守る」

 

「私は裏の流れを制御する」

 

「目的は同じだ」

 

“あの子たちの未来”。

 

---

 

ネレウスは問う。

 

「お前は支配で守るのか?」

 

綱吉は一瞬だけ笑う。

 

「違う。繋ぐ」

 

情報を。

 

人を。

 

意志を。

 

帝王は支配者ではない。

 

媒介者だ。

 

ネレウスは静かに目を閉じる。

 

「俺は切る」

 

均衡を乱す芽を。

 

暴走する勢力を。

 

方法は違えど、

 

守ろうとしているものは同じ。

 

---

 

霧の中、酒が注がれる。

 

盟約ではない。

 

上下関係でもない。

 

対等。

 

王と帝王。

 

「ルージュのために」

 

ネレウスが掲げる。

 

「未来のために」

 

綱吉が応じる。

 

杯が触れる音は小さい。

 

だがその瞬間、

 

世界の裏と表が結ばれた。

 

---

 

立ち上がる綱吉。

 

「次に会うときは」

 

「敵かもしれんな」

 

ネレウスが言う。

 

「その時は全力で」

 

「当然だ」

 

わずかな笑み。

 

だが本心では分かっている。

 

互いがいる限り、

 

世界は極端には傾かない。

 

王が海を見張り、

 

帝王が影を統べる。

 

その均衡の中心にあるのは、

 

一人の女の覚悟。

 

そして生まれた炎。

 

霧の中、二つの背中は別方向へ歩き出す。

 

だが道は、どこかで必ず交わる。

 

王と帝王。

 

守るものが同じ限り。

 

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