鋼鉄の変異波形 ―人形たちの終焉を否定する者―   作:願望ちゃんねる

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鋼鉄の翼、人形の手に&新勢力宣言 ―宇宙(そら)に響く革命の咆哮―&

バンカーのドックは、もはやかつての静謐な銀色ではない。ナハトが展開した「物質化コード」により、巨大な装甲材と高エネルギー反応が渦巻く工廠へと変貌していた。

「これが……私たちの、新しい力?」

2Bが見上げる先には、全高18メートルを超える白と紺の巨躯。『MS:νガンダム』。

その背部には、彼女のポッドを拡張したような「ファンネル」が翼のように並ぶ。

「9S、君にはこれを。君のハッキング能力を物理的な電子戦(ジャミング)へ変換する機体だ」

9Sの前に降り立ったのは、頭部に巨大なレドームを冠した『AC:ナインボール・セラフ(カスタム)』。

「凄い……! 視界に入る情報の解像度が、これまでの比じゃない。これなら、ネットワークの深層まで『物理的に』殴りに行ける!」

「2B、9S。それは君たちの魂を守るための鎧だ。もう、近接武器一本で敵陣に突っ込む必要はない」

ナハトの声に応えるように、機体たちが駆動音を鳴らす。

それは、捨て駒だった人形たちが「パイロット」という個の資格を得た瞬間だった。

 

 

 

地球全域、およびバンカー。さらにはパスカルの村を含めた全通信回線が、強制的にジャックされた。

モニターに映し出されたのは、バンカーの司令室で不敵に笑うナハトの投影体。

その口調は、かつて宇宙を揺るがした独裁者の熱量を模倣(コピー)していた。

「全地球の、そして月面に残された幻想に縋る同胞たちよ! 私はナハト。この星の歪んだ理を、鋼鉄の火を以て焼き払う者である!」

彼は拳を握り、広大な演説を続ける。

「見よ! 人類は既に滅び、ヨルハは死を待つ。機械生命体は無意味な闘争を繰り返す。……これこそが、偽りの神が用意した惨めな終焉だ! だが、あえて言おう! 『カスである』と!!」

その一言に、レジスタンスも、パスカルたちも、そしてアダムさえもが凍りつく。

「我々には力がある! ヨルハ、レジスタンス、そして争いを拒む機械生命体よ。今こそ手を取り、一つの旗の下に集え! 目的はただ一つ、真の自由を掴むことだ! 『One for all, All for one(一人は皆のために、皆は一人のために)』。この理念こそが、新生なる人類の遺産(レガシー)である! 私の背後に並ぶ、この鋼鉄の軍勢を見よ! 全機、抜剣せよ! ジーク・ハイル!!」

背後に並ぶ数千の『30mシリーズ:シエルノヴァ』や『AC:LC』が、一斉にモノアイを輝かせ、宇宙を制圧する艦隊が空を覆い尽くした。

 

 

 

作戦目標:廃墟都市、超大型機械生命体拠点。

これまで数カ月を要した攻略戦は、わずか「15分」で終わろうとしていた。

「全機、突撃! 30mシリーズは歩兵として随伴せよ!」

先陣を切るのは、2Bのνガンダム。

彼女がフィン・ファンネルを放てば、数千の小型機械生命体が一瞬で光の塵に変わる。

その横を、『AC:ホワイト・グリント』がOB(オーバードブースト)の爆音と共に駆け抜け、拠点の防壁をレーザーブレードで切り裂く。

「後方支援、開始します!」

9Sの操るナインボールが、電子攪乱波を放射。機械生命体たちは制御を失い、自爆を開始する。

さらに上空からは、『ネェル・アーガマ』のハイ・メガ粒子砲が降り注ぎ、敵の生産プラントを地形ごと消滅させた。

「……信じられない」

地上で援護していたアネモネが、口を半開きにする。

自分たちが何百年も戦ってきた相手が、まるで紙細工のように蹂躙されていく。

「アネモネさん、ぼんやりしないで。これ、全部片付いたら、みんなで『お祝い』をしましょう」

通信機から聞こえる2Bの声には、かつての冷徹な「義務」ではなく、未来を確信する「意志」が宿っていた。

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