鋼鉄の変異波形 ―人形たちの終焉を否定する者―   作:願望ちゃんねる

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アダムとイヴの困惑 ―計算不能の特異点―&平和の守護者 ―パスカルの村、鋼の壁に守られて―&月面降下 ―偽りの神、その心臓を撃つ―

廃墟都市の地下、膨大な情報を処理するネットワークの揺り籠。

白髪の少年、アダムは眉をひそめ、眼前のホログラムに投影される「現実」を凝視していた。

「……計算が合わない。兄さん、何なんだ、あの銀色の機体は」

弟のイヴが苛立ちを隠さず、空中に表示された『MS:νガンダム』の戦闘ログを叩き消す。

これまでの戦いは、ヨルハと機械生命体による「予定調和の闘争」だった。だが、ナハトというイレギュラーが持ち込んだのは、既存の物理法則や電子戦プロトコルを嘲笑う、未知のテクノロジー。

「我々が収集した人類の記録に、あれほどの質量兵器を短期間で構築する工程は存在しない。……あれは『外』から来たものだ」

アダムの瞳に、深い好奇心と恐怖が混じる。

「彼らの主、ナハト。彼は言った。我々を『カス』だと。……イヴ、ネットワークの全リソースを再編しろ。あの巨大な艦艇を、まずは解析する」

だが、彼らが次のコードを打ち込むよりも早く、ネットワークそのものが「外部」からの物理的な振動で揺れた。

 

 

 

「パ、パスカルさん! 空から、山のようなロボットが降りてきます!」

平和を愛する機械生命体の村。怯える子供たちの前に、巨大な質量が影を落とす。

着地したのは、全高20メートル級の重装甲兵器――『AC:ハイ・レーザー・ライフル装備型HC』。

「落ち着いてください。私はナハト様の代理人です」

機体から流れるのは、かつて人類が使っていた穏やかな合成音声。

村を囲むように、『30mシリーズ:ポルタノヴァ』や『MS:ジム・スナイパーII』が配置され、瞬時に完璧な防衛ラインを構築する。

直後、ネットワークの制御を失い、狂暴化した機械生命体の群れが森から溢れ出した。

「ああ、子供たちが……!」

パスカルが悲鳴を上げるが、鋼鉄の守護者たちは動じない。

『目標補足。精密射撃を開始する』

一閃。

MSのロングレンジ・ライフルが、数キロ先の敵指揮個体だけを正確に撃ち抜く。

近づく雑兵は、ACの圧倒的な機動力による近接戦闘で文字通り「粉砕」された。

「パスカルさん。ナハト様は仰いました。……『学ぶ心を持つ者に、鉄の祝福を』と」

巨神に見守られた村。そこは今、この地獄のような惑星で最も安全な、鋼鉄の聖域となった。

 

 

 

「全艦、次元跳躍(フォールド)準備。目標、月面サーバー直上」

ナハトの号令と共に、『マクロス・クォーター』と『ネェル・アーガマ』が、月を背にその巨大な船体を翻す。

バンカーから同行する司令官ホワイトは、モニターに映る「人類の遺産」を見つめていた。

「本当に、やるのね。……あそこには、何もない。ただの廃材と、嘘の塊だけ」

『だからこそ、引導を渡すのさ。……全砲門、開け』

月面に降り立つナハトの艦隊。

そこには、人類がいるとされる施設など存在しなかった。あるのは、ヨルハたちを欺き、戦わせ続けるための巨大な記憶装置(サーバー)のみ。

ナハトは、艦の主砲――『マクロス・キャノン』にエネルギーを充填させる。

「これが最後だ。偽りの神への、私なりの弔辞だよ」

極大の光軸が月面を貫く。

ヨルハを縛り付けていた呪いの源泉が、鋼鉄の火によって一瞬で蒸発し、月面には巨大なクレーターが刻まれた。

『全ヨルハ、および地球の全知性体に告ぐ。……偽りの神は、今この瞬間をもって消滅した。諸君、今日が君たちの――真の誕生日だ』

漆黒の宇宙で、ナハトの笑い声が響く。

それは破壊の歌ではなく、新時代への産声であった。

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