終末観察プログラム   作:三毛猫こすず

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青空に溶けた言葉

  どうしてこんなことになってしまったのかな。

 

 あの日も今日みたいに空が青かった。

 朝いつものように起きて、いつものようにお姉ちゃんとじゃれあいながらご飯を食べて、あのニュースが流れるまではいつも通りの朝だったんだ。

 

 今でもはっきりと覚えている。青い顔をした人が言っていた。

「臨時ニュースをお伝えします。12月23日地球に未知の病原菌を持つ隕石がぶつかります」と。

 お父さんやお母さんがばたばたしてて、なんだか悪い夢みたいだった。

 

 夜ベッドに寝ていたら、お母さんが言っていた。

「地下シェルターに避難しないと。」

「ねえ、お姉ちゃん。地下シェルターなんていやだよ。でも一人もいや」

 そう言ってお姉ちゃんの袖をきゅっとしてたら、お姉ちゃんは笑って約束してくれた。

 「ありす、私も地上に残るよ。一緒に世界の終わりを見よう」って。

 その言葉が少し怖かったけど、嬉しくて胸がきゅってした。

 

 ちょっとねたのかな、お母さんに起こされた。 「地下シェルターに行くよ」

 みんなに好かれてて良い子なお姉ちゃんは素直に「はい」って言ったけど、私はだだをこねた。 「いらない子、お姉ちゃんのおまけって言うんだから、お姉ちゃんが居ればいいんでしょ」

などと言って。

 そう言った後、本当は謝りたかった。置いていかないでって言いたかった。

 でも、ほんとにいらない子だったのかな。

 かっこよくて頭も良くて、みんなに愛されてるお姉ちゃんがいればよかったのかな。

 お母さんはあきらめたような顔をして「好きにしなさい」って言った。

 みんなが行ってしまう時、お姉ちゃんも行くんだね、約束は、約束は?って見てると、お姉ちゃんはにぱって笑ってウインクしてくれた

 「アリス大丈夫だよ」って。その笑顔が一番好き。

 それで、みんなは行っちゃった。

 何日経ったのかな、たった数日だったはずなのに数週間にも感じる。

 お姉ちゃんが帰ってきた。

 久しぶりに見たお姉ちゃんはボロボロで、でも、世界の終わりの中で一番綺麗に見えた。

 最後の日、お姉ちゃんは髪を結んでくれた。「最後なんだから、めいっぱいお洒落しよ」って

 そう言っていつもみたいに優しく笑ってくれた。

 髪を結び終わると、お姉ちゃんは「散歩行ってくる」って行っちゃった。

 「 すぐ戻って来るよ」って私を安心させるように微笑んで。

 でも、お姉ちゃんは戻ってこなかった。

 

 

 世界がピカッってなった。

 目を開けたら建物が子供のブロックのように崩れていて、私の片足にも穴が空いていた。

 不思議と痛みは感じなかった。

 歩けたから歩いた。

 ようやく見つけたお姉ちゃんの体には大きな穴が空いていた。

 お姉ちゃんは少しづつ空気に溶けていってる。

 世界が壊れていくことより、お姉ちゃんがいない静けさの方が怖かった。

 「アリスやっほー」「今日の夜ご飯何がいい?」

 お姉ちゃんはいつものように他愛もないことをスマホをいじりながら聞いてきて、私もそれに答え続けた。

 きゅっと痛む胸に気づかないふりをして。

 でもお姉ちゃんはどんどん薄くなっていく。気づいたら泣いてた。

 「アリス、ごめんね」お姉ちゃんはそう言って、私をぎゅってしてくれた。

 でも、そのぬくもりも溶けていく。

 お姉ちゃんと一緒に私の中の何かも溶けていく。

 最後にお姉ちゃんは笑って言った。

「アリス、大好き」「私アリスと居られてほんとに楽しかったよ」

 そう言って消えていったの。

 私も消えていっていて、時も過ぎていく。

 最後にふと口をついて出たのはこんな言葉だった。

「お姉ちゃん大好きで..大嫌い」

 もう困った子ねと笑うお姉ちゃんの笑顔が青空に浮かんで消えた。

「終末観察プログラムを終了します」

 

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