邪眼皇ロマノフ一誠は″兵士″になっていた 作:邪眼帝
──超舌実況ミラクル・ショー
その1
──どこだ、ここは。
気付けば、彼は呆然と立ち尽くしていた。
直前まで確かに立っていた筈の荒廃した戦場は影も形も見当たらず、周辺には忌々しい自然文明を彷彿とさせる木々や夕焼け空が広がっている。
これは夢現か走馬灯か、はたまた小賢しい水文明の奴らが何かを仕組んだのだろうか。
思わず自分の顔に手をやろうとして、視界の端に映ったヒューマノイドのそれを見て愕然とする。肉体を白骨と怨念で構築されている筈が、受肉まで果たしているのだ。
「……あら、随分と早いお目覚めね」
年若い女の声が、背後から聞こえた。振り向いた先では、腰まで伸ばした紅髪が特徴的な少女が、興味深そうに彼を見つめていた。雰囲気からダークロードの派閥に属すると思しきその少女に、彼は見覚えがない。
「誰だ、貴様は」
目の前の少女に悟られぬように身構え、いざとなれば必殺の呪文を放てるようにしたのは、人生の殆どを戦場で過ごしてきた経験からだ。油断させておいて背後から強襲するなど日常茶飯事である。
それに対して、少女は明らかに不機嫌そうに顔をしかめるだけで、警戒した様子はない。その点からも、彼女が戦場とは無縁の日々を過ごしてきたことが窺える。
もしくは余程、腕に自信があるのか。
彼女の髪色も相まって、彼はなんとなく火文明のドラゴン共を連想した。火文明の特色は、猪突猛進で血気盛んな性質だ。
少し思案して、彼は口を開く。
「ふむ、これは失礼した。先程の非礼を詫びよう。それで質問だが、ここはどこだ? そして、お嬢さんは何者なんだ?」
「……私が聞きたいわ。あなた、噂と全然違うじゃないの。もしかして、そういう時期?」
「は?」
彼はすっとんきょうな声を漏らし──ふと、自分の手がヒューマノイドのものに変化していたことを思い出す。そして、もしや自分はとてつもなく面倒なことに巻き込まれたのではないか、と思った。
第一に、彼はヒューマノイドに変化する呪文など唱えていない。
次に、周囲一帯の景色や紅髪の少女について心当たりがない。
二つの違和感から、別の世界に迷い込んでしまったのだと彼は直感した。証拠はないが、それ以外の回答を用意する術を持たなかった。というより、日頃から死者蘇生などの禁術を扱っているせいで感覚が麻痺しているのかもしれない。
邪眼の一族を率いるには、このような柔軟な思考と奇抜な発想力も持ち合わせていなければならないのだ。
ともかく、脳内で結論を出した彼は今一度、少女について観察する。
胸の膨らみからして性別は女。外見年齢は若く、ともすれば二十年も生きていないかもしれない。闇文明に近い気配は感じるが、警戒心の無さから察するに戦闘経験そのものは積んでいない。立ち振舞いや高級そうな衣服からして、どこかの名家の出身だろう。
有力な手駒を喪失している現在、何も考えずに儀式の贄にしてしまうのはリスクが高い相手だ。
それでなくとも、この未知の世界において彼女は貴重な情報源である。もしかすれば元の世界に戻るヒントも掴めるかもしれない。ここは下手に出ておいて、一時的にでも協力関係を結ぶべきだ。
計算を終えると、彼女の言動が演技である可能性を考慮しつつも、交渉を開始する。
「すまない、少し混乱しているようだ」
「……無理もないわね、こんな騒動に巻き込まれてしまったんですもの。或いは悪魔に転生した影響もあるのかしら。けれど安心してちょうだい。領主として、そして主君として、こちら側に巻き込んでしまった責任を果たすとグレモリーの名に誓うわ」
「悪魔? 転生? グレモリー?」
「ええ、そうよ。私が転生させたの。あなたの死体に″悪魔の駒″を埋め込んでね」
バサリ、と少女は背から蝙蝠に似た一対の黒い翼を広げた。
「私は、リアス・グレモリー。あなたの″王″よ。これからよろしくね、兵藤一誠くん」
「……そうか、
「どうしたの?」
「いや、こちらこそよろしく頼む」
奇しくも、かつて煉獄からの誘いを受けた際と同じように、少年──邪眼皇ロマノフI世は片膝をついて言った。未知なる世界、まだ見ぬ戦場に心を踊らせながら。
邪眼皇ロマノフI世
SR 闇文明 (7)
クリーチャー:ダークロード/ドラゴン・ゾンビ/ナイト
8000
W・ブレイカー
このクリーチャーが出た時、自分の山札を見る。その中から闇のカードを1枚選び、墓地に置いてもよい。その後、山札をシャッフルする。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の墓地にある闇の、コストが6以下の呪文を1枚、コストを支払わずに唱えてもよい。そうしたら、その呪文を山札の下に置く。