邪眼皇ロマノフ一誠は″兵士″になっていた 作:邪眼帝
「昨夕よりリアス様の″兵士″に転生しました、兵藤一誠です。皆さん、よろしくお願いします──これでいかがですかな、リアス様」
「オーケー、バッチリよ!」
翌日の夕方、旧校舎にあるオカルト研究部の部室は微妙な雰囲気に包まれていた。
オカルト研究部は、表の生活では所属学年の異なるグレモリー眷属達が集団活動を行っても不自然ではないように設立された部活だ。リアスを筆頭に、彼女と並んで人気の高い姫島朱乃、イケメンで知られる木場祐斗、合法白髪ロリの塔城小猫、女装のギャスパー・ヴラディ、と駒王学園の有名人が勢揃いである。
少年少女が普段では見せることのない表情を浮かべている理由は、今回新たに加入した眷属仲間にあった。
兵藤一誠。覗きと猥談の常習犯にして生徒会からも敵視されている、悪い意味での有名人である。部室までの道程をリアスに案内されている間、周囲から悲鳴が飛び交ったぐらいだ。
そんな危険人物が加入してきただけでもメンバーは──特に彼の悪い噂を耳にすることの多い朱乃や小猫は内心穏やかではなかったというのに、更に意味不明なのは、実際に現れた一誠が噂と百八十度異なる好青年である点だった。
「不思議そうですな、姫島先輩。大方、私が異性の乳ばかり追い求める変質者の類だと信じていたのではありませんかな? いけませんな、リアス様の懐刀ともあろう方が風評に踊らされていては」
「……まさか、敢えてあのような痴れ者を演じていたということですか?」
「私も少し事情を抱えていたのですよ」
朱乃の疑問に、一誠はリアスと共に考えたカバーストーリーを並べていく。以前の人格が広めた悪評により、同僚との仲が険悪になる可能性を考慮しての措置だ。
つまり、兵藤一誠は幼少期から神器とは似て非なる特殊な異能に目覚めていたが、それを狙ったはぐれ悪魔に襲われた経験から、自分のみならず家族や周囲にまで危険が及ぶかもしれないと危惧し、変態の汚名を背負うことで裏の住人から狙われないように過ごしてきた。
しかし今回、その偽装を堕天使に見破られてしまったばかりか、住宅街の中の公園での戦闘を強いられたことにより全力を出し切れないまま敗北。その後、駆け付けたリアスの誘いに乗って眷属悪魔に転生した──という筋書きだ。
かなり強引なシナリオだが、裏の事情に詳しいリアスが監修したとあって説得力だけはある。神器や異能が所有者の人格のみならず人生までも歪めてしまうケースは、決して少なくない。ましてやそのせいではぐれ悪魔の襲撃を招いたとなれば、一誠が嫌われ者を演じてまで周囲を守ろうと決意したのも当然だ。
事実、その悲痛なまでの覚悟は、似たような過去を抱えるオカルト研究部メンバーの胸を打った。
「……そうとも知らず、噂で判断していたことを深くお詫びしますわ。そして改めて挨拶を。副部長の姫島朱乃と申します。階級は″女王″です。今後は心強い先輩として頼ってもらえれば嬉しいですわ」
「リアス様の″騎士″、木場祐斗です。一誠くんとは同学年だし、これから仲良くしていこう」
「″戦車″の塔城小猫です。好物はスイーツ全般なのでたまに差し入れてもらえると喜びます」
「あ、″僧侶″のギャスパーです……」
「そして、私が″王″のリアス・グレモリーよ。こちらの世界にようこそ、兵藤一誠くん。オカルト研究部はあなたを歓迎するわ。お祝いに廃教会を貸し切って派手な晩餐会を開いてあげる」
リアスは机の上に数枚の写真を放り投げた。浮かべた笑みは無論、言葉通りに晩餐会を楽しみにしているわけではなく、狩りの状態に入った大型肉食獣の獰猛なそれに似ている。
写真の人物は合計で五人。どれも隠し撮りしたと思しきアングルだ。
首から十字架をぶら下げた白髪の青年。
ゴスロリと金髪が特徴的な幼女。
紺色のコートを着込んだ壮年の男。
胸元を開けたボディコンを纏う高身長の女。
そして、以前の一誠を殺害した
「以上が私の領地に無断侵入し、あまつさえ愛する領民を殺害した連中よ。私は、領主として彼らを許すわけにはいかない。討伐作戦の決行は明後日の夜よ。みんな、準備と覚悟をしておくように」
「……それはつまり、私も敵の本拠地に乗り込むということだ。腕がなる」
「ええ、期待しているわ。だけど主役の一誠には特別にもう一つの任務を用意したの。この少女を探して、可能なら捕縛してほしいのよ。今朝、駒王町に入ったことが監視していた使い魔からの報告で確認されたわ。このタイミングで合流するなんて、どう考えてもキナ臭いもの」
差し出されたのは、金髪のシスターの写真だ。
「アーシア・アルジェント──かつて悪魔を治療したことで教会を追放された聖女よ」
コアクアンのおつかい
UC 水文明 (3)
呪文
自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中から光と闇のカードをすべて自分の手札に加え、それ以外のカードを墓地に置く。