真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
(おいアモン!? 何故究極合体魔法が通じていないんだ!?)
忍は即座に自分の中にいる魔王に呼び掛ける。
魔王は
『ああ、それは……』
忍の言葉に返答する。
その内容は
『あの悪魔は魔王アリオク。……魔王アリオクには物理攻撃が通用しない。これは魔界の常識だ』
その一言で忍は理解した。
何故究極合体魔法トリスインパクトが通用しなかったのか。
それは「物理攻撃が効かない相手に使ったから」だ。
物理攻撃が通用しないということは、空手の奥義が無意味になるということだ。
トリスインパクトの構図は、魔法と打撃が共に持つ「貫通する」という特性を鍵に、威力を跳ね上げるというものだ。
なので物理無効の相手には究極合体魔法が成立しないのだ。
だからただの強力な火炎魔法になっている。
そしてそれは、魔王アリオクを仕留めるまでに至らない。
「おのれよくもやってくれましたねぇ」
魔王アリオクは怒りに震え
「マハブフーラァ!」
そして氷結魔法マハブフーラを発動させる。
魔王アリオクを中心に放射される吹雪の魔法。
その氷の嵐は
「魔反鏡!」
すかさず忍が発動させたもう1つの究極合体魔法「魔反鏡」により
ガラスが砕けるような音と共に、反射され、魔王本人に跳ね返された。
「グハアアアアアアア!」
己の魔法を己で喰らい、叫び声をあげ
「アリオク!」
そこに。
彼の上を舞っていたアスタロトが
手を翳し、回復魔法を掛けて来た。
降り注ぐ光の中、氷結ダメージから回復していく魔王。
「ヌウウウウ……! ありがとうございますアスタロト」
「気をつけろアリオク! 奴の火炎魔法は防ぐ手立てが無い!」
魔王たちは言葉を交わし、忍への警戒を深める。
そして忍は……
(なんとか、奴の物理無効を突破する方法は無いか?)
思考を巡らせる。
普通に考えれば存在しないのかもしれない。
だが、自分には究極合体魔法がある。
何か方法があるかもしれない。
彼は自分の究極合体魔法を考える。
トリスインパクト、そして魔反鏡。
共に「空手の技を魔法の特性と合わせることで効果を跳ね上げた」魔法だ。
今目の前にいる相手……魔王アリオクにはその空手が通用しない。
ならばどうするべきなのか……?
彼は考える。
自分だけでなく、他の悪魔人間……仮面ライダーたちがやっていた究極合体魔法について。
仮面ライダーベルゼブブ。
彼女の究極合体魔法「アイスエイジスマッシュ」
氷結魔法アイスエイジを、仮面ライダーのライダーキックの様式で繰り出すことで威力を跳ね上げる。
そして仮面ライダーサタン。
あの少女の究極合体魔法は「メギドアークキャノン」
あの魔法も原理は同じ。
恐ろしく強力な創作上の必殺技を模して放つことで、威力を増大させている。
つまり。
究極合体魔法は別に武術でなければ組み合わせられないわけではない。
概念だったり、法則でもいいのだ。
ならば……
(いける気がする)
彼の中で閃くものがあった。
そして地を蹴る。
矢のように踏み込み、瞬時に間合いを詰めた。
「ぬおっ!?」
アリオクはその素早さに対応できず、それを許した。
そしてそのまま
「セヤアアアアアア!」
忍はその場でアリオクの腹部に連続の蹴りを叩き込む。
それも左足限定で、だ。
アリオクは打撃が通用しない。
何の効果も齎さないその蹴り。
「ふぉふぉふぉ、私には物理攻撃が効かないのですよぉ」
非常に鮮やかな美しい連続蹴りであった。
だがその無意味さにアリオクは嘲笑う。
この速さで連続で蹴りを出せるとは、なんというバランス感覚。センス。
だが、無意味だ。
見ていろ。
蹴りが終わった瞬間にキツイ一発を叩き込んでくれる……!
彼は右手に握った剣を振り上げた。
忍を斬り捨てるために。
しかし
そのとき
「トリスインパクトッ!」
忍は連続蹴りを中断し、さらに踏み込んで。
拳を打ち込んで来た。
その一撃は……
「ぐほぉ!?」
……アリオクの内側に届いた。
彼の
彼はその身体をくの字に折って数歩よろめき
そして――
「があああああああああ!?」
突如、強烈な熱を感じた。
その身体の内側から。
「どうしたアリオク!?」
アスタロトの叫び。
「あ……熱いぃぃ!」
アスタロトは困惑した。
アリオクはそうはいうが、彼の目にはアリオクは炎上のような魔法効果を受けている様子は無かった。
なのに熱いとは……?
だが、そんな困惑は
「……火!?」
アリオクの身体にビシビシとヒビが入り、そこから炎が噴き出している様子を目にして。
粉々に吹き飛んだ。
今、アリオクは致命的な一撃を受けたのだ。
これは、その印……!
「で……」
なんで、と言おうとしたのか。
アリオクは自分に今起きていることが受け止めきれず
慌てふためき
そして
「ぶぅぅ!!」
その叫びを発した瞬間。
魔王アリオクの身体は真っ赤な炎に包まれつつ膨張し。
大爆発を起こして粉々に吹き飛んだ。
「アリオク――!」
アスタロトの絶叫が轟いた。
『一体今、何をやったのだ?』
忍の中のアモンが、彼に訊ねる。
理解できないらしい。
物理無効の魔王アリオクに、何故トリスインパクトが完全に入ったのか。
彼は答えた。
(別に究極合体魔法は武術しか組み合わせられないわけじゃない)
(広く知られた創作物の技でも構わないんだ)
そこから彼は考えた。
魔王アリオクは肥満体の悪魔である。
そんな悪魔が、物理無効を持っている。
そういう場合……
連続で腹部を蹴った後に、拳を打ち込むとまともに拳が入るという技があった。
創作物の話だが。
彼は、そのアイディアを魔法に組み込んだだけであった。
『なるほど。理解した』
忍の説明を受け、アモンは興味深そうに唸り。
そして
『やはり面白いな。人間は』
本当に楽しそうに、そんな言葉を洩らした。