真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第110話 ジャーナリスト留井

「へえ、ジャーナリストなんですか」

 

 真月はその若い女に応える。

 この時代にジャーナリストを名乗るなど、違和感を感じるが。

 メシア教の放送を考えるなら居てもおかしくないとは思う。

 

「ええ。東京中の街を取材して、メシア教団の広報部に情報を売ることを仕事にしています」

 

 そしてその若い女……留井は少し照れ臭そうにそう言った。

 真月は彼女に

 

「えっと、やはりメシア教徒なんですか?」

 

 気にはなるところだ。

 そこは確認するべきだ。

 

 メシア教徒は敵なのだから。

 

 だが留井はその質問には

 

「いいえ、違いますよ。まあ、メシア教徒の前ではメシア教に賛同しているフリしてますけどね」

 

 そう返し、首を左右に振る。

 苦笑いを浮かべつつ。

 

 ……なるほど、と思える返し。

 あのメシア教徒たちと接触するなら、そうならざるを得ないだろう。 

 

 真月はその返答に、留井が嘘を言っていないと判断した。

 筋が通っていると思ったのと。

 自分のことを「メシア教に賛同しているフリをしている」と言ったことだ。

 

 あのメシア教徒が、自分たちの教義を貶めることを言うとは思えない。

 非メシアを偽装するなら、わざわざ言う必要の無いことである。

 

 しかしまぁ

 

「やはり身の危険を感じたりしますか?」

 

 念のため。

 メシア教徒であれば激昂しかねない質問をしておく。

 

 ここはミスできない箇所であるから当然といえた。

 それに関しては

 

「まあ、洗礼を勧められるので」

 

「それを躱すために言い訳用意するのが大変ですかね」

 

「メシア教、報酬が良いんですよ」

 

 ペラペラと流れるように。

 留井は返答してくれた。

 

 そして

 

 クシュン!

 

 留井はくしゃみをする。

 

 ずぶ濡れであるから、身体が冷えたのか。

 真月としては夫の前にこういう女を置いておくのは不快である。

 

 こんな目のやり場に困るような格好の女を置いておきたくない。

 でもだからといって着替えを用意することもできないので

 

「濡れた服の着替えって無いんですか?」

 

 そこを訊ねる。

 それに対して

 

「一応あります」

 

 そんな返答。

 ならば

 

「着替えた方がいいですよ」

 

 とりあえず着替えがあるなら着替えて貰おう。

 夫には向こうを向いて貰って……

 

 そう思ったときだった。

 

 

「くおらァ!」

 

 

 ぞろぞろと。

 

 大量の、背中に翼を生やした顔面鳥の悪魔が建物の奥から現れた。

 身に着けている衣装が修験者のそれに近く、手に錫杖を持っている。

 

 自分たちの前に現れたその悪魔に、真月たちはなんとなく見覚えがあった。

 いや、日本人ならそれは普通かもしれない。

 

 何故なら

 

「この、ハナタレどもがァ! ワシら妖魔テングが守護するこの館へ、何しに来たかァ!?」

 

 しゃん! と錫杖を鳴らしながら。

 大音量でそう名乗りをあげる。

 

 妖魔テング。

 

 天狗である。

 顔が鳥であるから、カラス天狗だろうか?

 

 天狗を知らない日本人はいないはずだ。

 

 真月は突然のことにギョッとしながら

 

「ええと、申し訳ありませんが、雨宿りしたくてお邪魔しました」

 

 軽く頭を下げて事情を説明する。

 その真月の言葉に 

 

「ならば(カネ)じゃああ!!」

 

 また錫杖を鳴らしつつ、そんな要求をしてくる。

 

 お金。

 一体いくらなのだろうか?

 

 なので

 

「……おいくらなんでしょうか?」

 

 金額の確認。

 すると即座に返答。

 

「1人1000マッカじゃあ!」

 

(ちょっと待った)

 

 1000マッカは高い。

 体感であるが、1マッカの価値は約10円である。

 

 つまりこの悪魔は雨宿りで1人1万円を取ろうとしているのだ。

 なので

 

「マグネタイトで代わりに支払うことは……」

 

 代替案を提示したが

 

「いつもニコニコ現金払いじゃあ!」

 

 金しか要らない。

 そうテングたちは言い切る。

 

 そして

 

「払えぬなら出ていけ! 即刻出ていけィ!」

 

 正直真月は雨宿りで1万円も払いたく無かった。

 しかも1人1万円もだ。

 

 だとしたら、これはもう――

 

 そのときだった。

 

「マハジオンガ!」

 

 留井が一歩前に進み出て雷撃魔法を繰り出した。

 どうやら彼女は魔法使いであったようだ。

 

 彼女の突き出した手から迸る雷撃の嵐。

 

 この荒れ果てた東京を1人でジャーナリストとして戦うために。

 当然のことかもしれない。

 

(チャンス!)

 

 真月は留井が魔法使いであることに驚きはしたが。

 テングたちが感電した隙を見逃さず。

 

 自分のアームターミナルを操作した。

 

 床に描かれる輝く魔法陣。

 

 

『AMATSU-KAMI SUMMON』

 

 

 魔法陣の中から呼び出されるのは。

 ツインのお下げの髪型をした、ピンク色のワンピースの幼女。

 

 天津神イザナミの仮の姿である。

 

 イザナミは腕組み仁王立ちの姿で召喚される。

 

「イザナミ様! 彼らにボコ殴りお願いします!」

 

 真月は召喚されたイザナミに、テングを指差し素早く要件を口にする。

 それは即座に

 

「うむ!」

 

 受け入れられた。

 

 イザナミはバックステップし、跳躍。

 そのまま全身に黒い雷を纏い。

 右手を突き出し左手を添えて。

 

 ロケットのように空中を突き進みテング向かってに突撃する。

 

 ……突進系必殺技だ。

 

火雷(ほのいかづち)!」

 

 黒く帯電した幼女が空中突撃し、黒い稲光をまき散らしながら、敵を蹴散らす。

 木っ端のように吹っ飛んでいくテングたち。

 

 忍も変身なしで次々にテングに連撃を叩きこんで、一方的にテングを殴り倒していく。

 

 ……そして。

 

「わ わかったッ! もういいッ もう勘弁してくれい!!!」

 

 勝ち目がないと悟ったのか。

 そう言って全てのテングが平伏し、敗北を認めた。

 

 それを見下ろしながら 

 

「……ここで雨宿りしていいですか?」

 

 真月はもう一度、それを訊く。

 するとテングたちは叫ぶようにこう言った。

 

「いつまでも居てくれい! 何なら悪魔召喚契約を結んでも良いぞッ!?」

 

 ――こうして。

 

 真月は雨宿りの許可を取り、そして新しく妖魔テングを仲魔にしたのだった。

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