真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第12章 死者の街六本木
第116話 六本木の街


 四天王の館を出て10分少々。

 核ミサイルの洗礼で、ボロボロになった東京の街をサイドカーで疾走し。

 

 ついに行く手に六本木が見えてきた。

 

 彼らが目指す六本木の街は…… 

 

「綺麗すぎるよね」

 

「……だな」

 

 真月の言葉に頷く忍。

 

 六本木の街は綺麗すぎた。

 大きく、煌びやかで。

 

 まるで

 

 大破壊など無かったのだ。

 

 そう思えてしまうぐらい。

 

 いきなり違っていた。

 あるポイントから、急に違うものになっているのだ。

 

 ボロボロの街からネオン輝く理想的な大都会。

 田舎者である忍と真月、2人の頭に思い描く理想の六本木になっていた。

 

(一体どういうことなんだ)

 

 困惑する。

 メシア教徒によるニュース放送で、六本木は死の街であるという情報があった。

 

 おそらくそれと無関係ではあるまい。

 

(まぁ、気を付けていこう) 

 

 結論としては六本木を避けることは不可能である。

 ならば、先に進むという選択肢は変わらない。

 

 彼らはそのまま六本木入りを目指してサイドカーを走らせ続けて

 あと少しで、大破壊後のボロボロの世界から大破壊前の煌びやかな世界に切り替わる。

 そう思えたとき。

 

 急に 

 

 ぶよん、と

 

 サイドカーが何かと衝突した。

 

 驚き、忍はサイドカーを停め、降りて 

 

「……なんかあるね」

 

 そのサイドカーの前にある「何か」の存在を確かめた。

 

 そこには何か、壁のようなものがあった。

 透明な、柔らかい壁である。

 

 侵入者を防ぐためなのか、その「透明な柔らかい壁」はそこだけでなく

 広く、六本木を覆うように存在しているように思える。

 

 いや、おそらくそうだろう。

 なんとなくそう思った。

 

「なんだろ、これ……?」 

 

「……どうしよう?」

 

 この壁があるせいで、六本木に入ることは無理そうだ。

 一体どうすれば良いのか。

 

 忍はそう思い、何か手掛かりが無いかあたりを見回した。

 

 すると

 

「あ、真月見て」

 

 忍が指差した先。

 そこには地下鉄の入口があった。

 

 そして都合の良いことに、この柔らかい壁の向こう側にもう1つの地下鉄の入り口を見つけた。

 

 これは……

 

「あそこを通れば、中に入れそうじゃないか?」

 

「……確かにそうだね」

 

 忍の言葉に真月が同意する。

 確かにそのとおりである。

 

 普通地下鉄の入り口同士は繋がっているものだ。

 

 問題は、サイドカーを置いて行かなければいけないことであるが。

 

 どうせこのサイドカーはガイア教徒処刑ライダーから奪ったものである。

 

 拘る部分ではない。

 

 なので 

 

「歩こ」 

 

「だな」

 

 2人はあっさりサイドカーを捨てて、徒歩を選択した。

 

 そして2人は地下道に入って行った。

 

 

 

 地下道は大破壊の影響を受けていないように思えた。

 外のように瓦礫に埋まっておらず。

 暗い以外は元のままのようだった。

 

 電気がついておらず、暗黒空間。

 下に向かうにしたがって、その傾向が強くなる。

 

 忍は道具袋から電灯を取り出して、行く先を照らした。

 そして 

 

「暗いな。足下に気を付けて」

 

 忍は自分の後ろに居る妻にそう声掛けする。

 真月は夫の言葉に

 

「躓いたらあなたにしがみ付くから踏ん張ってね」

 

 そんなことを。

 忍は苦笑しつつ「分かった」と返す。

 

 そのまま、階段を踊り場状のところまで降りたとき。

 

 ……そういえば。

 

「真月、イザナミ様を召喚するのは?」

 

「あ、そうだ。いけない」

 

 忍の言葉に真月は

 

 忘れてた、とばかりにアームターミナルを操作する。

 

 ここから行く先は死の街であるから、死と縁深いイザナミを召喚するのは当たり前のことであった。

 

 真月が打ち込んだコマンドで、地面に魔法陣が描かれる。

 そして、髪の毛を2つに括ったワンピース幼女が召喚される。

 

「……今日は何の用?」

 

 呼び出された幼女モードのイザナミは、姿に相応しい幼い口調でそう言って。

 真月は 

 

「これから死の街と呼ばれている場所に行くので、それで」

 

 速やかに要件を伝えた。

 すると

 

「なるほど……了解じゃ」

 

 納得してくれて。

 口調を神として相応しいものに切り替える。

 

 

 

 そして

 イザナミと、霊鳥アルゴスを入れて3人と1匹で。

 

 階段を下まで降りたとき。

 

「うぉれは気づいているかぁぁぁ!」

 

 アルゴスが騒ぎ出した。

 

(敵か!?)

 

 アルゴスが騒ぐということはそういうことだ。

 

 忍は懐中電灯の光を周囲に向けた。

 懐中電灯の光は闇を切り裂き、地下道の様子を照らし出し

 

 そこに 

 

「アアアアアア……」

 

 ……死体の山があった。

 

 正確に言うと、死体の山が互いに融合した、巨大な死体の山の成れの果てである。

 

 屍鬼コープス。

 

 それがこの、悪魔の名前で

 

「クルシイ……」

 

「タスケテ……」

 

 死体の山は、苦しみの声を吐きながらこちらにゆっくりと這い寄って来る。

 

 このコープスという悪魔は、複数の死体が1体の悪魔として蘇ったものである。

 悪魔としては1体であるが、意識は複数あるらしい。

 

 意識が複数あるのに、他者と融合し巨大な塊として存在する。

 まともに動くこともできない状態で、ただ苦痛だけを感じ続ける存在。

 

 そんな存在に

 

「変身」

 

 忍は速やかに変身をした。

 

 それは

 

(放っておくわけにはいかないだろ)

 

 その思いがあったから。

 忍は右手をコープスに向け

 

「メギドフレイム」

 

 火炎魔法メギドフレイムを使用した。

 彼の手からバレーボール大の火球が撃ち出され、それは 

 

「ヒャアアアアアアアア!!」

 

 瞬く間にコープスを火炎に飲み込ませ、炎上させた。

 メギドフレイムが直撃したコープスは燃えながら身を捩り

 

 そして

 

「アリガトウ……」

 

 最後に、そんな言葉を残して。

 焼き払われ、消滅していく。

 

(やはり死の街という情報は本当なのか)

 

 コープスを焼き払い、忍はそう思い。

 変身を解除した。 

 

 

 

 一行は階段を登った。

 登り切った先は向こう側。

 

 階段の外には、華やかな明かりがあり。

 大都会のイメージそのものの光景であった。

 

「おお……!」

 

「わぁ……!」

 

 田舎者の常として。

 本物の都会を目にして感動に近い気持ちに包まれる。

 

 一瞬彼らは状況を忘れそうになった。

 

 しかしそのとき。

 

「気をつけい! ……ここには死の穢れが満ちておる……」

 

 イザナミの鋭い言葉が飛んだ。

 それで彼らは一瞬で現実に戻される。

 

 ここは本当に死者の街なのか。

 

 この大破壊前の繁栄の姿の裏には、恐ろしいものが潜んでいる……!

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