真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
「赤伯爵を名乗る魔王ベリアルに、黒男爵を名乗る堕天使ネビロスか」
フツコを仲魔に入れることで、彼らはこの六本木の街の構造を知った。
この2体の悪魔は六本木の街を復興させ、街の繁栄を餌に人間を呼び込み。
新しい住人を増やすため、訪れた人々を誘い出して殺害することを繰り返しているらしい。
そしてその死体はゾンビにして街の住人、つまりアリスの友達に。
その魂は堕天使ネビロスが街を動かすエネルギーに使用しているそうだ。
「人の魂をエネルギーに使用するなんて……絶対に許せない」
「……そんな悪魔、倒さないわけにはいかないな」
2人の気持ちは決まった。
この街が存在する限り、人が殺されて魂を奪われ、ゾンビが増えていく。
放ってはおけない。倒すしかない。
ただ問題は……
魔王ベリアルと堕天使ネビロスの強さだ。
それを調べなければならない。
今の2人の戦力は……
魔王マーラ、天津神イザナミ、魔神フロストエンペラー。
いずれも強力な悪魔である。
そして悪魔人間である仮面ライダーアモンもいる。
一見無敵の布陣だ。
だがその強さを頼みに、調べもせずに勝てるに違いないと踏んで乗り込むのは危険だ。
そんな行為は必ず最後に破滅に繋がる。
慢心してはいけないのだ。
「まず、赤伯爵と黒男爵の弱点を調べようか」
真月はそう提案する。
一行は街の住人……フツコ曰くゾンビたち。
それに話を聞いて回った。
この街の支配者である赤伯爵ベリアルと黒男爵ネビロスについて。
だが、まともな情報が何も無かった。
2体の悪魔を敵に回した場合にどう立ち回るのが正解なのかを匂わせるような。
分かったのは黒男爵が六本木の地下エリアに居ることが多いことと
赤伯爵がアリスが住んでいるというビルから出ないことくらいである。
赤伯爵は本当に動かないらしい。
この六本木の街の外に出ることがあるのは黒男爵だけで。
赤伯爵は六本木から出たことが、住民の知る限りただの1度もないとのこと。
そしてもう1つは
「伯爵は壺を恐れている……」
これくらいである。
(壷)
壺と言われて。
真月は考える。
彼女は悪魔に関わる壷を考えた。
それは
「脇見の壺……」
因縁深い壷である。
彼女らはその壷に封じられた魔王アモンを回収したことが運命を分けた。
まあ、それはそれとして。
伯爵は壷を恐れているらしい。
何故だろうか……?
その壷が脇見の壷であるという仮説を立てるとして。
何故恐れるのか?
そもそも、脇見の壺とは悪魔を封印する壷である。
その壷を恐れるのは悪魔として当然のことである。
封印される可能性があるからだ。
……だったらこの情報は意味のない空っぽの情報なのだろうか?
(違う)
真月はその結論を真っ向から否定した。
おかし過ぎるからだ。
自分を封印してしまうから恐れているというのであれば
自分を殺せる存在は?
自分では絶対に勝利できない存在は?
そんなものも同時に恐れないとおかしい。
壷しか恐れていないのは変だ。
無論、魔王ベリアルは強力な悪魔で。
名の知れた存在であるが。
だからといって何物も並ぶことのない究極の存在ではない。
ベリアル以上の悪魔は他にも居る。
それなのに「壷以外恐れていない」というのは変だ。
彼女はこれを傲慢故の言葉だとは思わなかった。
何か理由があると考えた。
そして彼女はしばらく思考し。
それについてこう仮説を立てた。
それは……
(……ベリアルは魔術で無敵になっているんじゃないかな? ひょっとして)
無敵。
特定の条件下で無敵化する悪魔の話はそれなりにある。
特にインド神話に多い印象だ。
例えばナラシンハという悪魔の話は
苦行によって、昼と夜、屋外と屋内の地面と空中で、神、アスラ、人、獣のどんな武器でも死なない肉体を得たアスラを
人でも獣でも神でもアスラでもない神獣であるナラシンハが、昼でも夜でもない夕刻に屋外でも屋内でもない出入り口でそのアスラを討ち取る話だ。
ベリアルもこのアスラと同じことをしているのかもしれない。
例えば
六本木の街に居る限り無敵である。
……というような。
真月はそういう話を
「……と、思うんだけどどう思う?」
この六本木の街で唯一のゲームセンターGiGOLOの傍で、忍相手にコソコソ行った。
突撃前準備としてイザナミの他に、フツコも召喚しながら。
……フツコを呼んだのは、アリスの顔を知っている者が彼女しかいないからである。
「ベリアルが六本木限定で無敵になる魔法を掛けてると思った根拠は?」
「赤伯爵が街から1歩も出ないということ。……変でしょ。普通に考えて。黒男爵は普通に外に出ていくみたいなのに」
「引き篭もりでない限り、たまには外に出たいよな。……確かにおかしいかもしれない」
真月の言葉を真剣に思案し、忍も同じ結論に達する。
夫婦の意見はまとまったようだ。
そして
(……なんであれだけの情報でそんな結論に辿り着くの……? あたしの契約主……!)
傍で真月の話を全て聞いていたフツコは。
自分の契約主の異様な鋭さに戦慄していた。
伯爵は壷を恐れている。
その言葉だけで、仮説とはいえここまでの結論に達した自分の契約主に。