真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第124話 ユグドラシルファイターズ

 真月の話に同意して。

 次の議題は「いかにベリアルを六本木の外に連れ出すか?」になった。

 

 それに関して2人は暫く考え。

 

 スッと。

 忍が手を上げた。

 

 そして

 

「なあ、すごく外道なことを言うけどいい?」

 

 少しだけ不安げな顔でそういうことを。

 それを受け真月は 

 

「なぁに?」

 

 興味深そうに夫の目を見る。

 忍はそんな自分の妻に

 

「……アリスを誘拐して六本木の外まで連れて行ったらどうだろう?」

 

 そんな、あまりにも人の血の通っていないアイディアを提示した。

 そして彼の妻はそんな夫の言葉に

 

「……奇遇だね。私もそれしかないかなと思ってたんだ」

 

 真顔でそう返し。

 

 忍はその妻の返答に

 

「なんだ。そうだったんだ」

 

 ホッとしたような顔で笑った。

 

(この人たち、容赦なさ過ぎる……)

 

 そしてそれを例によって傍で見つめていたフツコは。

 自分の契約主とその夫の恐ろしさを目の前で見せられ。

 

 仲魔の身でもとより逆らうことは敵わないが

 この人たちと敵対することにならずに済んだことを彼女は神に感謝した。

 悪魔の身でそのようなことを考えるのはおかしなことであるが……

 

 

  

 2人の行動方針が決まったため。

 

 一行はゲームセンターに入ることにした。

 

(久々だなぁ。ゲームセンター……)

 

 もう長らく遊んでいないが。

 真月は学生時代に対戦格闘にハマっていた過去を思い出す。

 

 見ず知らずの他人と技量を競うこと、相手の出方を読むこと。

 全力で戦うことが面白くて。

 

 プレイ代金が安かったこともあり、通っていた。

 ボディーガード代わりに忍を連れて。

 

 デートなのに彼女の対戦格闘に付き合わされる彼には少し申し訳なかったけど、やりたかったので我儘を聞いて貰っていたのだ。

 夫には感謝しかない。

 

 そんなことを思いつつ、彼女はゲームセンターの中身を見回す。

 

 そのゲームセンターの中には……

 

 数々のゲーム筐体が立ち並び、人もそこそこ入っている。

 その人々はそれぞれゲームに興じていた。

 

 

 ゲームセンターとしてのゲームの中身は。

 

 

 ガンシューティング

 

 対戦格闘ゲーム

 

 ベルトスクロールアクション

 

 

 それらのゲーマーが喜びそうなタイトルのみで。

 

 ……プリクラやクレーンゲームは無かった。

 

(なんというゲーマー仕様のゲーセンなの……!)

 

 特に彼女は、自分が一番好きだったタイトルが置いてあるのに気づき、歓喜した。

 

 

 ユグドラシルファイターズ。

 

 

 世界樹の戦士と呼ばれる9人の冒険者から1人を選び、他の8人を倒していく2D格闘ゲーム。

 個性豊かな9人の戦士はどれ1つとして同じような性能を持つ者がおらず、誰を選ぶかで個性が出る。

 神調整のバランスが讃えられていた、超名作ゲームである。

 

 

(何これ最高!)

 

 

 元ユグドラプレイヤーとしては興奮するしかない。

 

 そしてひとしきり興奮した後。

 

 ゲームセンター内を見回すと、そのユグドラシルファイターズの筐体で、ひとりプレイに勤しんでいる幼女が居た。

 

 金髪の白人の幼女である。

 

 彼女はユグドラシルファイターズのゲームに集中し、周りが全く見えていないように見えた。

 

 

(……多分、あの子がアリスね)

 

 

 そう思った真月は、傍に立つフツコに視線を向け。

 幼女をそっと指差すと彼女が頷いたので

 

(どれ、いっちょ揉んであげようか……)

 

 そう思って真月が一歩を踏み出した

 

 そのとき

 

 

「我に任せい」

 

 

 ……イザナミが彼女の前に出てきたのだった。

 

 真月は「イザナミ様、できるんですか?」と言おうとしたが

 

 彼女は自信たっぷりに言う。

 

「任せておけ。児戯のひとつじゃろ。見た目年齢的に我が行くのが適当というもの」

 

 そして腕をぶんぶん振りながら、イザナミがアリスの座っている筐体の向こう側に座った。

 

(……あ。そこは知ってるんだ)

 

 真月はそこに感心した。

 対戦格闘ゲームの、その部分は知ってるのかと。

 

 

 

 アリスはブシドーを使用していた。

 ブシドーは高い攻撃力と速度を誇り、代わりに防御力が最低クラスの強襲型キャラ。

 

 テクニックが無いと使いこなせない上級者向けキャラだった。

 

 見た目はさらしを胸に巻いた姿の半裸の女侍で。

 刀を武器として、敵の懐に飛び込んで連続斬りを叩き込む戦闘スタイル。

 

 私の見たところアリスはこなれていた。

 コンボも洗練されているし、技が暴発してるふうにも見えない。

 

(この子、しっかりやりこんでるわね)

 

 真月はアリスを中々の強者と判断した。 

 

 そして。

 

(イザナミ様はどのキャラクターで挑むのかしら?)

 

 そこが真月の関心事になった。

 イザナミはどんなキャラを使いたがるのか? と。

 

 そして見ていると。

 アリスのプレイ画面に、挑戦者ありの字が。

 そしてキャラ選択画面に切り替わり、イザナミは……

 

(カースメーカーか)

 

 ……イザナミは、カースメーカーを選択。

 

 カースメーカーは、漆黒のローブを身に纏った死の雰囲気を漂わせる魔術師と言った風体のキャラ。

 名前の通り、呪いを操るキャラで。

 

 敵の動きをおそくしたり、スリップダメージを与える一撃を加える癖つよキャラ。

 ……これも上級者向けのキャラであった。

 

(まぁ、見た感じ死神っぽくも見えるしね)

 

 真月としてはイザナミがこのキャラを選んだ理由は納得は出来たが。

 

 果たして、その腕は……?

 

 

「いくのじゃああああ!」 

 

 

 レバガチャしながら、イザナミ様は一生懸命戦っている!

 

 ……という状態であった。

 素人丸出し。散々である。

 

 

 しゃがみ弱攻撃を連打して、必殺技を出そう出そうとしているのが見え見えの動きしまくりで。

 

 それを当然の如く、その隙を突かれて畳み込まれ。

 

 ぼっこぼこにされていた。

 

(しゃがみ弱攻撃の連打が許されるのは、幼稚園までですよね?)

 

(必殺技が出せたからと言って、強いわけじゃ無いんですよ?)

 

 真月の脳裏に、色々と辛辣な言葉が浮かぶ。

 上級プレイヤーのサガである。

 

 時間は30秒無かったかもしれない。

 

 ザンザンザンッと小気味よい斬撃音が響き渡り、イザナミのキャラが五体バラバラになり

 画面に「勝者ブシドー」の文字が表示され。

 

 そして

 

「1日に1500人縊り殺してくれるわッ!」

 

 ……そう吐き捨てて、イザナミが席を立ってしまうまでの所要時間は。

 

(負けて怒るのは良くないですよ格ゲープレイヤーとしては)

 

 真月はプリプリ怒りながら戻って来るイザナミの姿を見つめつつ。

 そう思ったのだった。

 

 ……黙って、入れ替わるように新挑戦者として乱入をしながら。

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