真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第125話 上には上がいるものよ

(さて、はじめましょうか)

 

 学生時代の興奮の日々を思い返しつつ。

 彼女は対戦台の席に座り。

 

 筐体のゲームスタートボタンを押した。

 

 ……このゲーム機は全て無料でできるようだ。

 ここにも、この街の本質がある気がした。

 

 人をおびき寄せるための餌。

 だからこそのこのシステム。

 

 稼ぐことを考えていないのだ。

 人の社会としてはおかしい状況。

 

(タダより高いものはないってね)

 

 そんなことを思いつつ。

 彼女はこのゲームでの持ちキャラを選択した。

 

 そのキャラクターは「ダークハンター」

 ダークハンターは鞭モードと剣モードを切り替えて戦う技巧キャラである。

 

 その姿は縦ロールの髪型で、ボンテージ衣装を身に纏った女王様然としたもので。

 真月はそのビジュアルをカッコイイと思い、そこも気に入っていた。

 

 対戦が始まった。

 画面内に胸にさらしを巻いた半裸の女侍と、縦ロールヘアのボンテージ女王様が対峙する。

 

 先に動いたのはアリスが操るブシドーであった。

 ダッシュで踏み込んで来たブシドーは、居合斬りを繰り出して来る。

 

 居合斬りは出が速く、リーチが長いので使い勝手がいい技なのであるが。

 

 そのダッシュが途中で停止する。

 

 それにニヤリ、と真月は微笑んだ。

 

 トラッピング。

 

 相手が突進技を出して来ることを予測し、罠を張っておく特殊技である。

 アリスのブシドーは、地面から飛び出して来た剣の刃の檻で拘束されていた。

 

 真月は開幕で居合斬りが来ることを予測していたのだった。

 

 そして

 

「ヒュプノバイト、ショックバイト、ミラージュバイト……」

 

 剣モードのダークハンターによる連続攻撃。

 コマンドを正確に入力し、溜息の出るような見事な連続斬りを叩き込む。

 

 突き、突き、薙ぎ払い、切り上げ……

 

 ダークハンターの剣で、ブシドーの体力ゲージがグングン減っていく。

 

 そして

 

「……いくよ」

 

 超必殺技のゲージ「ブーストゲージ」がフルチャージされていた。

 彼女は最後のコマンドを入力した。

 

「カタストロフ!」

 

 真月操るダークハンターは闘気を纏った姿でブシドーに突っ込み。

 そこから凄まじい速さの剣による突きを連続で繰り出し。

 

 最後に突き抜け、ブシドーの向こう側に行って

 

 そこでダークハンターの剣の血振るいのモーションと同時に、ブシドーが石化し。

 そして砕け散った。

 

 そのまま2本目に突入し。

 ほぼ何も出来ずに、ブシドーは再度敗北。

 

 ……真月の圧勝である。

 

 ちらり、と真月は筐体の向こう側にいるはずのアリスに視線を向ける。

 姿は見えないが、アリスは沈黙していた。

 

 ほぼ一方的に負けて、悔しがっているのだろうか?

 

(動きが無いなら)

 

 そう思い、真月が席を立とうとしたとき。

 

 再び動き出した。

 

 今度は向こう側の乱入で。

 

 アリスは今度はブシドーではなく、ソードマンを選んだ。

 

 

 ソードマン。

 

 剣と斧を使い分ける冒険者。

 キャラクターとしては初心者向けの、所謂「特に優れた部分は無いが、劣った部分も無い」安定したキャラ。

 

 その姿は長剣を構え、腰に片手斧を吊り下げた、青い髪の若者の姿をした戦士。

 

 状況的にこのキャラがアリスの一軍キャラなのだろうか?

 そうでなければ、敗北しておいてキャラを変える意味がない。

 

 そしてそれは

 

「今度は負けないよ!」

 

 筐体の向こう側からのアリスの声で。

 決定的なものになった。

 

 

 

 実際、アリスのソードマンは強かった。

 ブシドーは斬撃が中心で飛び道具が無いことが欠点であったが、このソードマンは剣風で竜巻を巻き起こすトルネードという遠距離技があった。

 

 それで真月のトラッピング対策をし、的確に攻めてくる。

 

「……やるわね」

 

 対戦しつつ。

 真月は呟く。

 

「やったあ!」

 

 そしてアリスの歓喜の声。

 

 辛勝であったが。

 この勝負を制したのはソードマンで。

 

 そのアリスの声は喜びに満ちていた。

 

 そしてヒョコ、と筐体の横からこちらに顔を出し

 

「今度は私が勝つからね!」

 

 ニヤニヤ笑いを浮かべてそう宣言。

 真月はそれを見つめ

 

「どうかしらね……?」

 

 アリスに聞こえないように。

 小さく呟いた。

 

 

 

(えげつないよな)

 

 真月のプレイを後ろで見ていた忍は、自分の妻の容赦の無さにそんな感情を抱いた。

 

 彼女のこのゲームでの持ちキャラはダークハンターで。

 彼女は通常プレイのときに、ある縛りを自らに課していた。

 

 それは

 

(鞭モードを使わない……鞭を使うと勝負にならなくなるから)

 

 ダークハンターの鞭モードを使用しないことであった。

 鞭技で攻めた場合、勝負にならずに一方的な試合になる。

 

 2戦目が始まると同時に、真月はキャラのモードを切り替えた。

 

 すると……

 

 

 縦横無尽に、ダークハンターの鞭が踊る。

 それはソードマンの技の起こりを潰す形で振るわれ続け

 

 ソードマンは何も出来ず、体力ゲージがガリガリ減っていき

 

 そして

 

「……終わりよ」

 

 連続攻撃でフラフラ状態のソードマンに向けて。

 

 真月は超必殺技のコマンドを入力する。

 

 その瞬間に

 画面の中のダークハンターはソードマンの首目掛けて鞭を繰り出し。

 それを画面上部に引っ掛ける形で首吊りの構図を作り出す。

 

 バタバタ暴れるソードマン。

 

 そしてダークハンターは有名な殺し屋キャラそっくりな動きで

 

 まるで鞭を鳴らすように弾き。

 

『ジ・エンド』

 

 そのボイスが鳴ると同時にソードマンがこと切れ。

 この試合の勝者は、真月操るダークハンターとなった。

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