真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第13章 警視庁人型戦車
第131話 車椅子の男の目的は


(誰だ?)

 

 忍は目の前の車椅子の男……赤いスーツの初老の紳士を観察する。

 

 知的な風貌の男性で、スクエア眼鏡が良く似合っていた。

 霊鳥アルゴスが騒がなかったことから、敵である可能性は低い。

 

 体型は中肉中背。太ってもいないし痩せてもいない。

 髪の毛の色は銀髪。

 口元には柔らかい笑みを湛えていて、穏やかな印象を受ける。

 

 そういう男性だ。

 

「えっと」

 

 おそらく、初対面のはずであった。

 見覚えはまったくない。

 

 だけども

 

 やあ、こんにちは。

 

 ……とても親し気に、この男は忍と真月のふたりに話し掛けて来たのだ。

 

「どちら様ですか?」

 

 真月はそう訊ねる。

 彼女の夫が訊ねる前に。

 

 するとその男性は

 

「私はSTEVEN(スティーヴン)。悪魔召喚プログラムの開発者だ」

 

 にこやかに、そう答えてきた。

 

(え……?)

 

 悪魔召喚プログラムの開発者。

 

 悪魔召喚プログラムは、アームターミナルやCOMPに入っているプログラムの名前である。

 悪魔との召喚契約の締結や使役について、それを全て電子的にやれてしまう異常なプログラム。

 

 その作成者は不明、と聞いていた。

 

 ……大破壊が起きる少し前、メールによる無差別配布が行われ。

 そのせいで、あのとき世の中には悪魔使いが乱立したらしい。

 

 当時の政府は悪魔召喚プログラムに最適化したコンピューターの開発は行ったが、プログラムそのものは作っておらず。

 実のところ完全には理解していないプログラムを悪魔使いたちは使用している。

 

 そう、聞いていた。

 

 だがここで、悪魔召喚プログラムの開発者とは……?

 

 

 いや、それよりも

 

 

「確か……東北に住んでいたとき、邪教の館に謎のプログラムを私宛に送りつけて来た人が……」

 

 あのときの、合体召喚では本来の力量では持て余すほど強力な悪魔を、条件付きで契約可能にするプログラム。

 

 その送り主の名が、STEVEN(スティーヴン)だった。

 

「私の送りつけた特別プログラムを最大限有用に活用してくれて嬉しい」

 

 STEVEN(スティーヴン)は穏やかな表情で、真月の言葉を肯定した。

 

 色々訊きたいことはある。

 どうやって自分の存在を知ったのか?

 何故自分宛てに送ったのか?

 

 そして……

 

「私にあれを送りつけて、何をさせようと思ったんですか?」

 

 あのプログラムは無差別ではなかった。

 何故なら、真月に名指しで送って来たからだ。

 

 ということは、真月に何かをさせたかったのではないかという予想が立つ。

 

 その問いに関しては

 

「キミなら自分の未来を切り開くために使ってくれると思ったからね」

 

 STEVEN(スティーヴン)はそう、答えになっていないような答えを返して来た。

 

「未来を切り開くって……」

 

 戸惑う真月にSTEVEN(スティーヴン)

 

「あの特殊プログラムがあったから、手に入ったものがあったんじゃないか?」

 

 その言葉を聞き。

 彼女は思った。

 

(ガイア教徒の盗賊団を討伐しに行ったとき、女神ヘラが居なかったらあの勝ち方が出来たかどうかは分からない)

 

 あのときの戦いは別に負け確の劣勢では無かった。

 相手が手強く感じただけである。

 

 でもあの場で圧勝出来たのは、間違いなく真月が女神ヘラを仲魔に持っていたお陰だ。

 

 あの場で圧勝出来ていなければ、ガイア教徒たちを取り逃がしていたかもしれない。

 魔王アモンを封印した脇見の壷と共に。

 

 もしそうなっていたら、その後のメシア教徒たちの襲撃で自分たちは生きてはいなかっただろう。

 夫が魔王アモンと合体して、仮面ライダーになることが無いからだ。

 

(この人は、それを予測していたっていうの……?)

 

 それはあまりにも異常すぎる。

 人を越えた予測である。

 

 何でそんなことが分かったのだ?

 理解できない。

 

 いや、そもそも……

 

(この人は人間では無いのかもしれない)

 

 なんとなく彼女は。

 そして彼女の夫の忍もそう思った。

 

 ただ。

 

 この紳士が味方である。

 

 同時に、それをふたりは理解していた。

 

 だから……

 

「色々ありましたが、ありがとうございました」

 

 真月は深々と頭を下げた。

 あのとき夫の命を救ったのは、結果としてあのプログラムで。

 今があるのもそのおかげだ。

 

 そして彼女は

 

「……それで。何の御用でしょうか?」

 

 この紳士が、ここに姿を現したのは何か理由があるはずだ。

 それも確信していた。

 

 ただの挨拶のはずがない。

 

 紳士は真月のその言葉に

 

「話が早くて助かるね」

 

 そう穏やかに言い。

 

 話し始めた。

 

 彼がここに現れた理由。

 それは……

 

「ここから少し離れた場所に、警視庁だったビルがある」

 

 旧世界で日本の治安を守っていた建物「警視庁」

 そこの最上階には、一般には公開されていない秘密の部屋があるらしい。

 

 それが警視庁人型戦車制御室。

 

 警視庁人型戦車……

 これは所謂アンドロイドで。

 

 旧世界で、治安維持の最終手段として導入されようとしていたモノだった。

 

 人間の警官は、しがらみがある。

 家族があったり、友人がいたりする。

 恋もする。

 

 それは当たり前のことである。

 

 だがそれは治安維持の観点で見れば、マイナスにしかならない。

 

 犯罪組織に顔がバレれば「家族を人質に取られる」「友人に報復をほのめかされる」

 そうなった場合、断固として戦うのは楽な事では無い。

 犯罪者相手に恋をしてしまえば、寝返ることもあるだろう。

 

 だからこそのアンドロイドである。

 警察官としての職務を感情に左右されずに忠実に遂行できる存在。

 法の番人たる機械。

 

 それが警視庁人型戦車試作機「アイギス」なのである。

 

 

 そしてSTEVEN(スティーヴン)がこの場に現れたのは

 

「……何者かが、その試作機を起動させ、大幅な設定変更を加えて殺戮機械に仕立て上げようとしている……キミたちに、それを止めて欲しいんだ」

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