真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第133話 機動刑事アイギス

 アイギスは少女の姿をしていた。

 ショートカットの金髪の白人の美少女をイメージした姿である。

 

 人間年齢で言えば16才くらい。

 顔は人間の少女そのもので、耳の部分が耳カバーのようなパーツで「無い事」が隠されている。

 そして首から下が……

 

 どう見ても機械であった。

 

 女子を意識してか、赤いリボンタイのような装飾がついてはいるが。

 胴体部分は人工物であることが隠せず。

 両手両足も同じで。

 特に関節部分が誤魔化しようもないほど機械であった。

 

 その機械人形の乙女は、待機状態がそうなのか機械の椅子に腰掛けた状態で目を閉じている。

 

「そこまでよ!」

 

 真月は言葉を叩きつける。

 悪の企みを阻止しに来た者として、当然のことである。

 

 白衣の男が振り返る。

 

 男は痩せ気味の眼鏡の男で、見た目は穏やかそうな顔をしていた。

 とてもじゃないが、この今の東京都民を虐殺する殺人機械を解き放とうと企む人物には見えない。

 

 男は眼鏡の(つる)に触れ、その位置を正しつつ

 

「……おや、どこから入ったのかな? この警視庁に」

 

 もの珍しいものを見る目で、そう言う。

 穏やかな声で。

 

 真月はそれに答えず

 

「あなた! そこのアンドロイドにメチャクチャな法律を設定して東京に解き放つつもりなんでしょう!? そんなことはさせないわ!」

 

 そう、言い放った。

 

 その言葉に男は

 

 フッと笑い

 

 そして

 

「メチャクチャなのは今の世の中じゃないかな……? 秩序が崩壊し、悪魔がうろつく……この東京は人の世の中ではないよ。元に戻さないと駄目なのさ」

 

 何を馬鹿なことを言ってるんだ?

 そう、言いたげに。

 

 まるで諭すような調子でそんなことを口にする。

 真月はその言葉に一切怯むことなく

 

「そのために何故『犯罪者は一律死刑』なのよ!?」

 

 ハッキリと、そのことについて触れる言葉を口にした。

 これには男も片眉を上げる仕草をする。

 

「……ほほぅ。何故私がやろうとしていることを知ってるのかな? すごく興味あるね……」

 

 そして男は

 

「まあそれは、やむを得ないことなんだよ。悲しいことだけど」

 

 少しだけ悲しそうな口調でそう言った。

 男は

 

「新しい秩序を立ち上げるため、無法状態に慣れ切った穢れた魂を消さないといけない。……荒療治なんだよ」

 

 説明をはじめた。

 

 曰く、新しい秩序を齎すために。

 この状況でも秩序を守ろうと人の道を貫く人間以外を殺し尽くす必要があると。

 

 政府が消えたと知った瞬間、強盗や殺人鬼に変貌するような獣の本性を現した人間は壊れている。

 ただの一度でもそうなった人間はもう手遅れ……

 

 それが男の言い分であった。

 

(ふざけてる)

 

 真月は男の言葉が許せなかった。

 

 誰だって、守りたいものがある。

 それを守るために罪に手を染めた人も居るだろう。

 

 無法状態を良い事に、略奪者に変貌した者ばかりでは無いはずだ。

 

 それなのにそれを全て「穢れた魂」と切り捨てる。

 欠陥品、粛清対象だと断じる。

 

 だから真月は

 

「あんた何様よ!?」

 

「それで自分だけは特別だと言いたいの!?」

 

 怒りの言葉を男に叩きつけた。

 

 だが男は

 

 その穏やかな表情を崩さず。

 

「……いいや?」

 

 何故か。

 真月のその言葉「自分だけは特別」を肯定せず。

 

 その懐から

 

 スッ、と。

 

 拳銃を取り出して。

 その銃口を流れるようにこめかみに向けた。

 

 あまりにも自然な動きで。

 そして

 

「私も含めて、穢れた魂さ。……当たり前だよね?」

 

 その言葉と同時に

 

 パンッ

 

 発砲音がして。

 その場にバシャッ、と

 

 血液と脳の一部がぶちまけられた。

 

 拳銃自殺。

 

 それを真月が理解するのに数瞬を要した。

 

 命を失った男の身体が、モニタ前の操作盤の上に倒れ込む。

 そこにドクドクと、血液が広がっていく……

 

 立ち込める血の臭い。

 そこで彼女は考える

 

(何故自殺したの……? 穢れた魂だから?)

 

 だから自殺したのか。

 

(ということは)

 

 そこから考えられること。

 それは1つしか考えられなかった。

 

 真月は叫ぶ。

 アイギスと思わしき、機械仕掛けの乙女を指差しながら。

 

「忍! あの機械の女の子を破壊して!」

 

 つまり、あの男は全ての作業を終えていたのだ。

 だからこそ、殺戮機械を起動させた罪を償うために、自ら命を絶ったのだろう。

 

 真月のその言葉に素早く忍は反応する。

 

 背中の翼を羽ばたかせ、地を蹴り、真っ直ぐに飛び出す。

 

 玉座めいた機械の椅子に座る乙女に向かって。

 

 だが

 

 

 そのとき。

 機械の乙女は目を開けた。

 

 その瞳の色は空のような青で。

 

 同時に乙女は立ち上がり、太腿の一部を変形させ、そこにバーニアのようなものを出現させる。

 それはその背中にも及び、背中に航空機の翼のようなユニットが出現。

 

 背中と太腿のバーニアを噴射させ、飛び立つ。

 

 

 間に合わなかった。

 

 

 バーニアから火を噴かせ。

 空中でホバリングする機会の乙女は、忍と真月を見下ろす。

 その澄んだ青い目で。

 

 そして乙女は話し出した。

 

「……わたしは警視庁所属人型戦車試作機アイギス……現在の役割は機動刑事……」

 

 機械仕掛けの乙女・アイギスの名乗り。

 彼女は続ける。

 

「……悪魔と銃刀法違反者を確認」

 

 自分の与えられた役割に忠実な言葉を。

 

 彼女は忍と真月に視線を向け。

 

 2人を悪魔と銃刀法違反者と判断した。

 

 そして彼女は

 

「――処刑するであります!」

 

 そう言い放ち。

 

 激しくバーニアを噴かせながらまっすぐに忍に向かって突っ込んで来た。

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