真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
主に、国が責任を持つ書類に押される。
帝の印鑑である
暫定政府職員の公務員証にはその
通常、公務員証程度のものに
旧世界では、の話だが。
現在の暫定政府の職員は、全員が国家元首の直属の臣下であるという位置づけである。
なので、その証明書に
アイギスの目がそれを捉える。
そして瞬時にそれを情報として処理し。
彼女はこう言った。
「……正真正銘の国璽の印影と確認しました。暫定政府職員とはどういうことでありますか?」
その瞬間。
アイギスが止まった。
強制停止ではない。
戦闘モードを解除したのだ。
(良かった)
半ば賭けだった。
真月はこのアイギスという人型戦車に感情があることを感じ取り、彼女をこのまま破壊することに疑問を感じたのであった。
もしかしたら、内心は嫌悪感を感じつつも「それが使命である」と思い込み、心を殺して任務に当たっているのかもしれない。
だとすれば、そんな存在を破壊するのは酷過ぎる。
だから試したかったのだ。
「現在、国の中枢は京都御所に移っています。私たちはその職員です」
まず真月は、アイギスの質問への回答を口にする。
質問に質問を返すのは相手の話を聞く気が無い証拠である。
話し合いとしては下の下だ。
そして続いて
「私たちは今、国の命令で三種の神器を取り返しにこの東京に来ています」
自分達のスタンスを口にした。
「三種の神器でありますか」
アイギスは真月の話を理解していた。
三種の神器という言葉が出たとき、その目に重大さを理解する色を見たからだ。
(助かる……いけるかも)
真月は手ごたえを感じた。
アイギスはこちらが日本政府の職員であると理解し、手を止めた。
ならばいけるかもしれない。
それは……
「あなたの使命は何ですか?」
「わたしの一番のたいせつは、悪魔と……法律を破った日本国民を殲滅することであります」
真月の問いにその返し。
アイギスの答えは狂っている。
……というのは簡単だ。
真月はそこで終わらなかった。
そこでこう言った。
「その使命の遂行は私たちの仕事の邪魔になりますので、行動開始を延期して下さい……5週間くらいで十分です」
使命の遂行の延期。
真月はこれが通ると踏んでいた。
何故なら……
法律には例外がある。
現に、アイギスは真月が政府の職員だと知った途端、戦闘モードを解除した。
理由は「政府の人間なら、銃刀法違反の武装していることに正当性があるかもしれない」からだ。
武器の所持を禁止する銃刀法という法律は確かにある。
だが警官も、自衛隊員も、銃器の所持を許可されている。
彼らは銃器の所持で処罰も拘束もされない。
つまり、警官と自衛隊員は銃刀法という法律の例外なのだ。
こんな事例は他にもある。
刑法では人の監禁、金銭の強奪、殺害を禁じている。
だが人の監禁を禁止しているのに「禁固刑はある」
金銭の強奪を禁止しているのに「罰金刑はある」
殺害を禁止しているのに「死刑はある」
刑罰は刑法で禁じている略奪や殺傷の例外なのだ。
つまり……
(より重大な任務の邪魔になるからという理由で、自分の使命の遂行開始を延期する……通るかもしれないよね)
言うまでも無いが、三種の神器の確保は日本のあらゆることで最優先しなければならないことである。
これを上回る重大性を持った使命などあるはずがない。
その邪魔になるから、お前の任務遂行開始を遅らせろ。
別にメチャクチャな内容ではないはずだ。
そしてアイギスが任務開始を遅らせている間に自分たちの使命を完遂し。
メシア教徒たちから草薙の剣を取り戻し、無事日本から悪魔を駆逐した後に専門家にアイギスへの狂ったプログラムを解除してもらう。
それが彼女の狙いであった。
そうすれば誰も犠牲にならずに殺戮を止められる。
真月はアイギスの目をじっと見た。
こういうときは目を逸らしてはいけないのだ。
真月の言葉を聞き、アイギスは……
「分かりました」
ホバリング状態もやめ。
緩やかにバーニアを噴かして床に降り立ち。
彼女は元々座っていた機械の椅子に戻って行った。
それを目にして、真月は大きく息を吐いた。
そこに
「それではこれより35日の間、わたしはこの部屋で待機するであります」
アイギスのこの言葉。
(良かった。通じた)
それを聞いたとき。
真月は本気で胸を撫で下ろしたのであった。
「こういう流れを期待して、私たちに頼んだのかしらね? ……あの
そして。
2人は任務を終えて警視庁の外に出た。
正面玄関を抜けた後、真月は大きく伸びをした。
正直、メチャクチャあの交渉は緊張した。
あれが通らなければ、アイギスを正面から打ち破って破壊するしか道が無かったから。
「ひょっとしたらそうかもね……異様な人物だったし。あり得るかも」
忍は真月の言葉にそう返し。
続けて
「お見事だったね」
彼はそんな妻を労った。
彼女のお陰で、制圧に多大な労力を伴う敵をほぼ無傷で対処することができたのだから。
彼女はそんな夫の言葉に
「夫婦は助け合いでしょ」
そう笑顔で返し。
そして
彼女は立ち止まり、地図を広げた。
……東京の地図である。
それによると、警視庁から銀座へのルートは確立されているようだ。
(銀座に着けば……次は品川)
品川。
いよいよ、それが迫って来た。
クルセイダーロードがいるはずの、メシア教の本拠地……!
(絶対に、取り戻すんだから)
彼女は強く思う。
自分達の使命の完遂を。
絶対に奪われた草薙の剣を取り戻し。
絶対に、安全で平和な日本を取り戻してみせる……!