真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第140話 メシア教徒に凸してみた

 ふたりはまた、メシアとガイアの言い合いが起きていた場所に戻った。

 

 だがそこでは

 

 ガイア教徒が撤退準備をはじめていた。

 それに対してメシア教徒は

 

「逃げるのか悪魔の手先たちめ!」

 

「邪悪なる存在よ! この世からも消え失せろ!」

 

 勝ち誇り、喜びの声をあげている。

 

 正直、助かったと思った。

 ガイア教徒たちに顔を見られると面倒なことになりそうだと思って、2人とも顔を隠す意識を持っていたから。

 

 それは一応、嘘を教えないということを徹底するために、あのガイア教徒に自分たちの顔を忘れろという命令をしなかったからだ。

 

 あのときはどうせ二度と会わないと思っていたので、それで構わないと思っていたが、今考えると正直失敗である。

 その前にいなくなってくれて助かった。

 

 まあ、六本木が空っぽなのがほぼ確実視されるなら、速攻で確認に向かうのは当然のことではある。

 早い者勝ちになってしまうからだ。

 

 ここでグダグダ争っている場合ではない。

 

「正義は勝つのだよ!」

 

 そしてガイア教徒たちが逃げ出しはじめたと判断し、困惑するよりも先に勝利に酔いしれるメシア教徒たちに。

 

 真月は再び近づいた。

 

 そして

 

「もしもし。すみません」

 

 今度はマントで口元を隠しつつ、声を掛ける。

 

「メシア教について教えてください」

 

 

 

 宗教の熱心な信者に、自分たちのことを教えてくれと言う。

 それはほぼ確実に相手が喰いつく話題(エサ)である。

 

「メシア教は旧世界で、大教祖様が神の啓示を受けて立ち上げた最も正しい教えなのです」

 

「メシア以前には正しい宗教など1つもありませんでした。比較的神の御心に近づけた者はおりましたが、いずれもノイズが掛かった全く不完全なものでした」

 

「メシア教以外の宗教と名のつくものは、全て邪教だと思うべきです」

 

 忍と真月を取り囲み、複数のメシア教徒たちがメシア教の素晴らしさを説く。

 真月は頷きつつそれを聞いていたが

 

(……集団で威圧しながら布教……完璧カルト)

 

 内心彼女はそう思い、心の中で親指を下に向けていた。

 

 他人の宗教を侮辱し、自分達こそ最高と説く。

 

 説いている教えが正しいかどうかは問題ではない。

 彼らの態度が問題なのだ。

 

 誰でも大切なものがあり、否定されたくないものがある。

 それを全く意に介さない……

 

 関わり合いになりたくない。

 それ以外の言葉が無かった。

 

 だが

 

「素晴らしい教えだと思います」

 

 真月は話を合わせ

 

 そして

 

「……品川に入信しに行きたいのですが、どういけばいいでしょうか?」

 

 そう、切り出す。

 その言葉にメシア教徒は

 

「おお、入信したいのなら即入信の儀式を行いますが?」

 

 別に品川に行かなくても、と返すが

 真月は首を横に振り

 

「できれば品川でやりたいんですよ。……一生に一度のことじゃないですか」

 

 微笑を浮かべつつ、内心の嫌悪感を丸のみにして真月。

 隣で見ていた忍も、作り笑いを浮かべていたが、正直

 

(女性はこの辺怖いな)

 

 そんなことを考えていた。

 

 メシア教徒たちは

 

「ふむ。……まあ、その気持ちは分からないでもないですね」

 

 真月の言葉に納得を示し。

 

 続けて

 

「ええと、だったら服のサイズを教えてくれますか?」

 

 そんなことを聞いて来た。

 

 

 

「とりあえず、そのメシア服を着ていけば品川の関所を抜けていくことは出来ると思います」

 

「どうもありがとうございました」

 

 どうしても品川で入信したいという2人の要望に応え、メシア教徒たちは2人のためにメシア服を用意してくれたのだ。

 洗脳無しでまんまと重大アイテムをせしめた2人。

 

 そして服だけではなく、詳しい道順を示した地図まで描いてもらえた。

 

 至れり尽くせりだ。

 

 ふたりは丁寧に頭を下げて。

 続けて

 

「ああ、そうだ」

 

 真月はハッとした表情で。

 

 彼らに

 

「お聞かせしたいことが……ガイア教徒たちなんですけど」

 

「はい?」

 

 神妙な顔でこう言ったのだった。

 

「彼ら、六本木に基地を作る気みたいですよ。……だから急にいなくなったんです」

 

 まるで親切心であなたたちに特別に教える、みたいなやり方で。

 メシア教徒たちの顔色が変わった。

 

 メシア教徒たちは顔を見合わせ、それぞれが目で「どうする?」と言っている。

 そして

 

「しかし六本木には魔王ベリアルが……」

 

 彼らの中での当然の疑問についてそう訊ね。

 そんなことはきちんと想定していた真月は

 

「どうも、彼らあそこの2体の悪魔が倒されたという情報が本当らしいという確証を得たらしいんですよ」

 

 そう、教える。

 その言葉は、メシア教徒たちの度肝を抜いたらしい。

 

「なんと……」

 

 真月のタレコミに、メシア教徒たちがざわつく。

 そして。

 

「ありがとうございます! 情報感謝する! 我々も六本木に急行せねば!」

 

「いえいえ。将来の同じ教えの下の信徒ですし」

 

 礼には及ばない。

 そう言いたげな表情で真月。

 

 ありがとう、ありがとうを連呼し、メシア教徒たちは足早に去って行った。

 

 そしてその場にガイア教徒もメシア教徒もいなくなったとき。

 

「さて……これで邪魔者は2つともいなくなったね。あなた」

 

 真月はそう言って微笑み、口元を隠していたマントを外し、夫に向かって微笑みかけたのだった。

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