真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第148話 クルセイダー・ドッペルゲンガー

「えっと、俺のことですか?」

 

 忍はそう返しつつ。

 

 もう駄目かもしれない。

 内心彼はそう思っていた。

 

 正直、見苦しい。

 しかし。

 

 そうそう簡単に投げ出していい使命を持って、彼らはここに来ていなかった。

 

 だが 

 

「……あー、そういうの良いから、異教徒」

 

 現実は非情である。

 もはや、ごまかしようがないようであった。

 

 ほぼ白装束に蒼い帽子という、テンプルナイトの制服を着た2人組の男女がいた。

 この階にいる以上、おそらくクルセイダーの2人組。

 

 そのうちの1人。

 男の方。

 

 眼鏡を掛けた、糸目の中年男。

 

 年齢は30才くらいに見える。

 髪型は黒髪長髪のオールバックで、後ろでその長い髪を括っていた。

 

 この男から受ける印象は、爬虫類であった。

 

 その一歩後ろに女が控えている。

 中年男と同じテンプルナイトの制服を着た女が。

 やせっぽちで、小柄な女であった。

 彼女はくせ毛が酷く、髪が短かった。

 

 立ち位置的に、女の地位は中年男より低いのかもしれない。

 

 

 忍たちを異教徒と断定する言葉を口にした後。

 糸目の男はさらにこう続けた。

 

 

「……名前、佐上忍。既婚者。特技は佐上流実戦空手。体育以外の得意科目は数学。幼少期からの幼馴染と浄化の日のあった年に結婚。その後ずっと一緒に居る……と」

 

 

(……え?)

 

 忍は完全に絶句してしまった。

 糸目の男が滔々と忍のプロフィールを語ったからだ。

 

(何で知ってんだこいつ?)

 

 自分の名前は兎も角。

 自分の得意科目まで知っているとは。

 

 理解できなかった。

 

 そして驚きのあまり硬直する彼に

 

「……異教徒、驚いたか?」

 

 糸目の男は蛇のように笑った。

 

 そのとき、その細い目が見開かれ。

 不気味なほどに小さい瞳……異様さを感じるような四白眼が明らかになる。

 

 

 そして。

 

 

 その次の瞬間。

 

 糸目の姿が変化した。

 

 

 ……佐上忍……彼の姿に。

 

 

「!」

 

 完全に彼の姿だった。身長も、体型も、服装も、顔も……

 忍の姿になった糸目の男は、彼の顔で彼とはまるで違う笑みを浮かべて

 

「……クルセイダーロード様を狙って入り込んで来たのか。残念だったなぁ? 品川大聖堂には私が居るんだよ。この私が!」

 

 そう宣言し。

 

 女に呼びかけた。

 

「ギリメランダ! 変われ!」

 

「……はい!」

 

 上司の言葉を受け、陰気だが力の籠った声で女はそう応え、変身する。

 

 女の身体の輪郭がぼやけた。

 

 そして……

 

 漆黒の長い髪、赤紫色の肌と長い爪を持つ、でっぷり肥満した姿。

 身長も伸び、忍より頭3つは高い。

 そして顔はほぼ象そっくりで。

 長い牙と鼻を持っていた。

 違うのは単眼であることのみ。

 

 変身前の姿が貧弱そのものなのに、この変身その後の姿はどうだ……?

 真逆ではないか!

 

 ブオオオオオオ!

 クルセイダー・ギリメランダはその鉤爪を構え、大きく吠える。

 

 女の変身を見届け、忍の姿に変身した男は名乗った。

 

「私はこの階を守るクルセイダー・ドッペルゲンガー!」

 

「そして彼女はギリメランダ!」

 

 クルセイダー・ドッペルゲンガー。

 そしてクルセイダー・ギリメランダ。

 

 それが彼らの名前であった。

 

 ドッペルゲンガーは言う。

 

「愚かな異教徒め! これぞ飛んで火に居る夏の虫だ!」

 

「追い求めていた生贄の巫女が、自らこの品川に出向いてくれるとはな!」

 

 その表情はこちらを見下しており、同時に狂った喜びの感情に満ちていた。

 ここで真月を押さえれば、自分たちの悲願が叶う……そんな思いであろうか。

 

「これぞ神の御導きだ!」 

 

 ハハハハハハ! そう、ドッペルゲンガーは忍の顔で嗤う。

 そしてドッペルゲンガーは忍を指差し

 

「やれ! ギリメランダ!」 

 

 ギリメランダに、忍を襲うように指示を出した。

 

 

 

「覚悟なさい!」

 

 ギリメランダはその肥満した醜い象の化け物の姿とは裏腹に、女の声でそう叫び。

 忍に襲い掛かる。

 

 そして忍は

 

「変身!」

 

 両手を腰の前でクロスし。

 即座に変身をコールした。

 

 クルセイダーを相手するのに、生身は無理がある。

 変身しない理由が無かった。

 

 ギリメランダはその鉤爪の生えた手を振り上げる。

 クルセイダーはテンプルナイトのエリート集団。

 戦闘訓練を受けているはずだが

 

 何故か忍にはそれが隙だらけに見えた。

 

 隙がある相手が向かってきたら、反射的に迎撃するのが武術家である。

 なので忍は、そのがら空きの腹部に待ちの直蹴りを叩き込む……

 

 そうしようとしたとき。

 

(……待てよ?)

 

 そこで彼は思った。

 

 クルセイダー・ドッペルゲンガーが彼のプロフィールを語ったことを。

 何故そんなことが出来たのか?

 

 彼の記憶を読んだのか……?

 そのことに思い当たったとき。

 

 彼は思い出す。

 

 ドッペルゲンガー。

 それは流石に彼も知っていた。

 

 自分そっくりの姿をした怪異で、出会うと間もなく死が訪れるという。

 そんな、死を予告する怪異……。

 

 ならば説得力十分である。

 自分そっくりに化けられるから、記憶もコピーできたのだ。

 結果ドッペルゲンガーは彼のプロフィールを話した。

 

 当然、そこに辿り着いた。

 

 そして

 

(じゃあなんで、このクルセイダーを何も指示なしで俺に差し向けたんだ?)

 

 その疑問が湧いた。

 おかしい。

 

 記憶が読める以上、忍が悪魔人間であることも発覚しているはずだ。

 にもかかわらず、指示なし。

 

 それは仲間を無用に死闘に追い込むだけではないか。

 致命の一撃を受けないように、何か言うべきだろう。

 

 ……ということは

 

(まずい!)

 

 忍は意識して蹴り足を緊急停止させ、バックステップし距離を取る。

 

「ハアアアアア!」

 

 追撃して来るギリメランダの鉤爪攻撃を躱しながら。

 

 彼は気づいてしまったのだ。

 

 このギリメランダというクルセイダーは……

 

 

(……おそらく、物理攻撃を反射するタイプだ!)

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