真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
忍がギリメランダが物理攻撃を反射すると判断した根拠は2つ。
1つは今言った通り、ドッペルゲンガーが忍の記憶を読んでいる可能性が高いこと。
そしてもう1つが、ギリメランダが肥満体の姿をしているということだ。
忍の記憶を読んでいるのであれば、忍の究極合体魔法「トリスインパクト」も知っているだろう。
そしてトリスインパクトが無効化されてしまうのは、対象が物理無効相性以上の防御相性を持っている場合であることも。
魔王アリオク戦の記憶を覗けば、そこはすぐに露呈する。
そして……
忍がその防御相性をさらに無効化する方法を知っていることも。
それは相手が肥満体であることが条件ではあるわけだが、ちょうどギリメランダは肥満体。
無効化できる条件が揃っている。
……ただ、それは。
ギリメランダの防御相性が「物理反射ではない」という前提条件ではあるが。
悪魔が持つ防御相性というものは4種類存在する。
まず耐性相性。
その属性攻撃が満足な効果を発揮しないという防御相性だ。
2つ目が無効化相性。
その属性の攻撃を一切無効化するというもの。
3つ目が吸収相性。
その属性の攻撃をエネルギーとして取り込んでしまうという相性だ。
そして4つ目が……
反射相性。
その属性攻撃を、攻撃者にそっくりそのまま跳ね返す相性。
この相性だった場合、さすがにトリスインパクトで防御相性を突破するのは不可能である。
その理由は、突破前に連続蹴りを叩き込む必要があるから。
それが成立しないと、トリスインパクトは物理系統の防御相性を突破することができない。
何故なら、蹴りが逐一忍本人に跳ね返って来た場合、連続蹴りは流石に不可能であるからだ。
だとしたら……
ドッペルゲンガーがギリメランダに全く何も警告しないのは納得できる。
何故なら推測通り物理反射持ちなら、トリスインパクトを警戒しなくていいのだから。
……これは全て推測ではあるが、無視できる内容では無かった。
何故なら、攻撃した瞬間反射があった場合、それが隙になるからだ。
それは真剣勝負をする場合、軽視できる問題ではない。
忍は無理な体勢で攻撃を中断した影響で、その後のギリメランダの鉤爪の連続攻撃をギリギリで躱し、羽ばたきながら
「メギドフレイム!」
その右手から、火炎魔法を撃ち出してギリメランダに浴びせた。
撃ち出された火炎弾はギリメランダを直撃し、その身を炎で包み込む。
「ウアアアアアア!」
ギリメランダは身悶えする。
効いているらしい。
致命打では無いらしいが。
だが、しかし
「ディアー!」
「ディアラマ!」
燃え上がるギリメランダに、輝く光の雨が降り注ぐ。
周囲からのサポートの回復魔法である。
クルセイダーたちは、標準的に回復魔法を習得しているのであろうか?
降り注ぐ回復魔法の輝きの雨は、焼かれて大きくダメージを受けたギリメランダを回復させていく。
これは……
(即死させないと無理だ)
忍はそう思った。
ダメージを積み重ね、倒す方法は取れない。
回復の物量作戦で、どんなダメージも瞬時に回復してしまうからだ。
とはいえ……トリスインパクトは使えない。
トリスインパクトなしでクルセイダーを瞬殺する……
果たしてそれは、可能なのだろうか……?
そのとき。
「妖魔召喚!」
真月が鞭型COMPを振るい、妖魔ヴァルキリーを呼び出す。
魔法陣の中から出現する青い甲冑を身に纏った戦乙女。
戦乙女は呼び出され、背中の翼を大きく羽ばたかせ
「マスター! ご命令を!」
「私の旦那のサポートをお願い!」
「了解いたしました!」
すぐさま主人が指差した標的に向かって突進していく。
(あっ)
忍は思った。
まずい、と。
ヴァルキリーは剣を抜き放ち、ギリメランダに斬り掛かった。
ギリメランダはその一撃をただ見つめていた。
一切、回避行動を取ろうとしなかった。
そして
剣が振るわれる。
袈裟の軌道で。
だがその一撃は
パキィィン! という金属かガラスが砕けるような音と共に
ギリメランダでは無く、ヴァルキリーの身体を切り裂いた。
青い甲冑が切り裂かれ、血しぶきが飛ぶ。
「ウッ!」
血を流した自分の胸を押さえ、驚愕に目を見開かせるヴァルキリー
そんな女悪魔に
「ハハハハハッ! ギリメランダは物理反射相性! ただの物理反射相性ではないぞ!? 倍返しだ!」
ドッペルゲンガーは勝ち誇ったように高笑いした。
そのままベラベラと喋る。
「ギリメランダは邪鬼ギリメカラと鬼女ランダの両方の特性を併せ持つクルセイダー! 仕掛けられた物理攻撃を2倍にして反射する! どうだ手出しできまい!?」
ハハハハハハハ!
勝ちを確信している高笑い。
忍と真月はその声に返すものが無かった。
物量による無限回復。
そのうち前衛を張る戦闘員の増員もあるだろう。
ハッキリ言って絶体絶命だ。
(どうする……? どうする……?)
忍は必死で思考を巡らせる。
この状況をひっくり返す方法について。
そのとき。
彼は、自分の左手の薬指に嵌めている結婚指輪が頭に浮かんだ。
愛する妻の真月と、1つのダイヤモンドの石を2つに割って作り出したペアリング。
そこから……
彼の中に、閃くものがあった。